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真実探求

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 つまり、出版社としては、
「相手に信頼してもらえるだけの内容を提示し」
 作家の方では、
「知りたいことを教えてもらえることで、ここなら信じられる」
 ということになるのだ。
 それまでの出版社と作家を目指す人間の関係は、
「完全な一方通行」
 ということであり、目指す方とすれば、
「何を信用すればいい」
 ということになり、それに気づいた人は、
「小説執筆は趣味でいいか」
 と考えていたことであろう。
 しかし、結果とすれば、
「趣味でいいか」
 というのが、本当は一番幸せだったのかも知れない。
 原稿を送れば、相手の審査する人間から返事が返ってくる・
 その内容は、作品をキチンと読んで、
「いいところ、悪いところ」
 というものを的確に指摘しているのである。
 相手のうまいところは、
「まず、短所を述べておいて、その後に長所を書く」
 というところであった。
 最初に挙げてから落とすのであれば、ショックが大きいし、いいことだけしか書かないと、
「あからさまで信用できない」
 と思われると感じたのであろう。
 最初に欠点をやんわりと書いておいて、
「しかしながら」
 といって、長所をまくし立てるように書けば、
「ああ、相手は悪いところまで指摘してくれている」
 ということで、その評価にも信憑性を感じることができるというものである。
 だから、相手が、その後、
「営業に入ってきた」
 としても、簡単に、
「いや、それならいいです」
 とは言い切れないのだ。
 だから、相手が巧みに話をしてくることに、いちいち関心してしまうと、相手は。
「脈あり」
 と感じてさらに攻めてくることになる。
 そうなってしまうと、
「プロ作家になるには、この人についていくしかない」
 と思わせれば、相手の思うつぼである。
 実際に、その頃はすでに、
「出版業界のピーク」
 というのは過ぎていて、正直、
「その期間は短かった」
 といってもいいだろう。
 短かったその期間というのは、出版関係ということで、
「自費出版社は分かっているが、世間一般の人には分からないだろうから。まだまだ出版業界もこれからがピークだ」
 という感覚に、容易にさせられるといってもいいだろう。
 ただ、そういう意味で、彼らも、
「引き際さえ間違えなければ」
 ということだったに違いない。
 自費出版社というものは、あまりいいイメージではない。
 一種の、
「詐欺だ」
 と思っている人もたくさんいるだろう。
 何といっても、実際に、お金を出資し、本を作ったはいいが、販売路線に乗ることもなく、本屋の店頭に並ぶこともない本の在庫で膨れ上がり。それがそのまま負債となってしまったというのは、それこそ、
「バブルの再来」
 といっていいかも知れない。
 バブル経済というものが、
「実態のないもの」
 ということであれば、自費出版社系の会社の口車に乗せられ、お金を出したはいいが、そのまま本を作らされて、結局、会社が破綻してしまった。これは、ちょっと考えれば分かることである。
 基本的な考え方として、
「アマチュア作家の本が、どうなるか?」
 ということを考えれば容易に想像がつくというもので、
 プロの小説家が書いた小説であっても、いつまでも、本屋のその小説が置かれているであろうか?
 ベストセラーであれば、平積みで、ポップをつけて宣伝をするから、売れるだろう。
 しかし、
「では、昨年大流行した本が、今も、平積みされているだろうか?」
 あくまでも、ブームを過ぎれば、次男年には他の小説と同じで、どこかの棚に置かれ、一冊だけが置かれていればいいという感じで、あって三冊というのがいいところであろう。
 もし、読みたいとお能人がいれば、
「取り寄せ」
 ということになるだろうが、それで
「売れるかも知れない」
 と調子に乗って入荷させても、その一冊しか売ればければ、入れたぶんだけ返品ということになる。
 実際に相手が言ってくるのは、最低でも、
「数百冊単位」
 ということである。
 基本的には、一千冊という単位になり、それが、定価で一冊千円ということになれば、
「ざっと百万円ということになるだろう。
 出版社のやり方としては、そもそも企画段階で、
「出版社が総額負担する企画出版」
 というものと、
「出版社と作者が、お互いに出資するという。協力出版という方法」
 そしても一つは、
「安い値段で、作家が半分は自己満足という形で本を作るという、昔からある、自費出版という形のもの」
 という出版方法である、
 最後の、
「自費出版」
 というものは、
「作者が全額払う」
 ということを納得ずくなので、何ら問題はないのと、最初の企画出版の場合も、
「出版社がすべて出資」
 ということなので、基本的に問題はない。
 しかし、その間の、
「協力出版」
 というものだけはそうはいかない。
「作者がお金を出資しているのだから」
 ということよりも、それだけに、
「いかに、作者に金を出させるか?」
 ということが大切なので、その後の、
「本を出した人へのフォローも大切」
 ということだ。
 しかし、実際に、予算から考えると、そう簡単にいかないといってもいいかも知れない。なぜなら、予算というものがどう運営されているかということを考えれば分かるというものだ。
 まず、この
「自費出版社系」
 というものの考え方として、
「本を出したい」
 という人をたくさん募ることである。
 ここが、
「バブル経済と仕掛けは一緒」
 と言ってもいいことなのかも知れない。
 要するに、
「自転車操業だ」
 ということである。
 これは、バブル経済というものが、
「事業を拡大すればするほど儲かる」
 というもので、バブルの時は、それが、
「何をやっても嵌った」
 ということであった。
 何しろ、元々は、
「実態がない泡のようなもの」
 ということから、
「バブル」
 と言われたのであり、だから、歯車が噛み合わないと、崩れ始めると早いということであった。
 つまり、バブル経済も自転車操業だった。
 といってもいいだろう。
 給料が入ってから、次の給料までに、お金を使い果たしてしまうことで、同僚などにお金を借りたとしても、
「給料が入れば返す」
 ということで、
「一時期、お金がプラスになる」
 ということであるが、元々、返してしまうと、実際の給料の手取り文の半分以下ともなれば、またお金を借りないといけなくなる。
 見た目には困っていないかのように思えるが、実際には、
「プラスの時期もあれば、マイナスの時期もある」
 ということで、見方によっては、
「困っている」
 というように見える人もいれば、
「お金に困っていない」
 と思っている人もいるだろう。
 お金を借りる相手という一部の人から見れば、
「あいつはいつも困っている」
 と見え、まったく関係のない人には、
「困っていない」
 と見える。
 だから自転車操業では、
「資金を提供してもらえる人に、お金に困っていない」
 という風に思わせれば、何とかやっていける。
 それが、
「自転車操業」
 というものである。
作品名:真実探求 作家名:森本晃次