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表裏の性格による完全犯罪

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「だから、その星は、近くにいても、誰にも見えるわけではなく。気が付いた時には遅く、その星にぶち当たってしまったことで、あっという間に、自分の星が粉砕されてしまったということになる」
 という話だったというのだ。
 それを、石ころの男は興味を持って聴いたのだ。
 それが、
「まさに、俺のような、石ころ同然の男と同じではないか?」
 と感じたのだ。
 もっといえば、
「男というのは、俺のように、石ころになる人が多い」
 と思っていた。
 しかし、最近になって、
「女にも言えるのではないか?」
 と思うようになると、この石ころも、それまでまったく興味を持たなかった。
「女」
 というものに対し、気になるようになってきた。
 つまり、
「遅れてきた思春期」
 のようなものか、あるいは、
「過去には女性にあまり興味がない思春期を通り越し、二度目の思春期を今迎えたのではないか?」
 ということになると思うのだった。
「石ころが、話を聴いていて、奥で、常連予備軍の男が、常連に対して話をしている」
 という構図が出来上がっていて、カウンターの中には、女の子が数人、いつもと変わりなく、黙々と仕事をしているという、何か違和感のある光景が見られた。
 しかし、それぞれ一人一人に一切の違和感はなく、これが当たり前の行動なのだろう。
 そろそろ名前を明かしておかないと、読者の方が混乱してしまうので、まず、
「常連予備軍」
 といっていた男は名前を、
「坂上修二」
 といい、自分の分かる話になると、話にかぶさってくるが、そうでなければ、まったく関与しないという人間で、それでも、話が合わないからといって、すぐに帰ってしまうというようなことはなかった。
 彼は年齢が40歳近くになっているらしいということは、女の子は知っていたが、男はあまり知らないだろう。
 というのは、坂上という男は、自分のことは女の子には話すが、相手が男性であればよほど気心が知れた相手でないと明かそうとはしない。
 それだけ、
「女性が好きだ」
 ということになるのだろう。
 だから、
「やつのことを知りたければ、女に聴かせるということをすれば、この店の女の子であれば、たいていは、べらべら喋るに違いないだろう。
 坂上は、
「お調子者」
 ではあるが、
「真面目」
 というのが、この店の女の子の評価だったのだ。
 そして、今度は、
「常連」
 と呼ばれる男だ。
 この男は名前を
「酒井忠義」
 という、何やら、先祖は大名家筋で、さらに、その前は、
「徳川四天王として有名な。酒井忠次だ」
 といっているようだ。
 酒井という人は、物静かで几帳面だが、おおざっぱで、たまに、大風呂敷を広げるというほら吹きだということである。
 実際に、ここにいる三人の客の中で、一番の常連というと、この酒井ということになるので、女の子は皆知り尽くしているといってもいいだろうが、皆が皆、同じことを思っているとは限らないようで、特に酒井の場合は、
「見る人の目によって、違って見える」
 というから面白いのだ。
 この時は、物静かに相手の話を聴いているだけだったが、女の子によっては、
「酒井さんらしい」
 と思っている人もいれば、
「あら、酒井さんにしては珍しい」
 と思っている人もいるようで、どうやら、
「相手によって、態度を変える」
 というのが、
「酒井の特徴だ」
 といえるようだ。
 年齢は、少し坂上よりも年が上だろうが、それは、小柄で少し中年太りに見えるその外形から感じるものなのであろう。
 そして、最後に店に入ってきて、カウンターに座った、
「石ころ」
 と噂される男は、
「いつも冷静沈着に見える」
 と思われている。
 名前は、
「榊田義正」
 という男で、この三人の中では、まだ若い様子だった。
 そして、この三人の共通点としては、
「三人とも、独身である」
 ということだったのだ。
 この榊田という男は、冷静沈着なところが、
「石ころ」
 と言われるゆえんなのだろうが、ここでいう、
「石ころ」
 という表現は、決して悪いことではないようだ。
 この男に対しては、まだ常連予備軍にも入っていない状態なので、その様子は、女の子には、まだまだ分からないことが多いようで、ただ、今見えている中で分かっていると思っている女の子の感想としては、
「頭がいいところはあるが、肝心なところでミスをする」
 というタイプだというのだ。
 だから、
「裏方に向いていて、クリエイターなどいいかも知れない」
 と感じていた。
 映画やドラマ制作であれば、
「俳優として表に出るよりも、脚本や、プロデューサーなどの方が向いている」
 と思っているのだった。
 なるほど、
「まさに、石ころだ」
 ということである。
 この店の女の子は、中には、ミーハーの子がいて、俳優にしか目がいかない子もいるが、半分以上は、
「俳優よりも、脚本家や監督を見て、そのドラマを見るかどうか決める」
 という女の子が多い。
 やはり、作品の本質を、
「クリエイターに求める」
 という考えが、
「一番しっくりくるものだ」
 と考えているのだった。
 この三人をそれぞれ見ていると、面白い共通点がある。
 というのは、
「皆それぞれに、長所と短所が分かり切っている」
 と感じることであった。
「他の客もそうなんじゃないの?」
 と聞いたとすれば、
「そうかも知れないけど、この三人のように、ハッキリと分かる人はいないかも知れないわね」
 というであろう。
 しかも、女の子が、ほぼ一致して感じるということなので、
「かなり信憑性のあることだろう」
 といってもいいだろう。
 それと、もう一つ、ここにいる女の子が、今日の会話が聞こえてくるのを聴いて、
「坂上さんは、話を始める時、突拍子もないところから話し始める」
 ということで、
「あの人は、他の人と同じでは嫌だ」
 という性格で、つまりは、
「自分が目立ちたい」
 という気持ちが見え隠れしているんだろう」
 と感じたのだ。
 あたかも、世間話から始めるのは、
「頭がいい」
 ということを相手に感じさせたいという思いからくるのだろうが、どうも本人には、
「頭がいいと思わせる意識はない」
 ということのようだった。
 この中で、そのことを一番分かっていたのは、榊田だった。
 それは、実際にまわりから、
「頭がいい」
 と言われているのだから、
「性格的にも似ている」
 と考えると、自分も、謙虚なところを見せたいという考えから、
「自分で、頭がいいという意識をなるべく持ってはいけない」
 と思うようになったのだった。
 この時、坂上が
「副作用の話を始めたので、そのまま、副作用の話になるかと思いきや、その話はそこで終わってしまったのだ」
 ということで、聞いていた酒井も、聞く耳を立てていた榊田も、まるで、拍子抜けした感覚になっていた。
 だが、
「後から出てくる伏線なんだろうな」
 と思うと、頭の隅に置いておくということは忘れなかったのだ。
 そこで、坂上は、話がまったく違うところに入ってきた。
 元々の副作用の話というのは、