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表裏の性格による完全犯罪

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「あれの何が割り切りだというんだ。いや、割り切りという言葉の意味はそもそもそういうことで、感情のないただの、性行為だけと考えると、それこそ、癒しどころか、ストレスがたまるというものだ」
 といえるだろう。
 その点、風俗であれば、キチンと目的に対して、答えてくれるのだ。
 テレクラなどが、
「自由恋愛」
 といって、それは、ただの。
「割り切りという意味で、不倫や浮気ではない」
 という一種の、
「免罪符」
 として使っているだけのことであろう。
 しかし、風俗は、時間内での、
「疑似恋愛」
 ということだ。
 客もそのことを分かっている。もちろん、中には変に勘違いする人もいる場合もあるが、相手が店の女の子ということで、間に店が入っている以上、変なことをすれば、
「出禁」
 になり、さらには、ひどい時には、警察に通報ということにもなるのだ。
「自由恋愛の割り切り」
 というのは、完全な非合法であるため、何かあっても、警察には通報できない。
 それは、男の側であっても、オンナの側であっても同じことだろう。
 だから、後ろに組織などがいたりすると、
「割り切り」
 という名目を逆手に取り、
「美人局」
 と呼ばれるような、脅迫行為をされても、
「警察にはいえない」
 ということになるだろう。
 男とすれば、
「金で解決できるのであれば」
 と考えて、金を渡す。
 男は、
「これで終わった」
 と思うのだろうが、相手はそう金づるを逃がすわけはない。
 下手をすると、死ぬまで付きまとわれるということになり、最悪、
「殺人事件」
 に発展することもあるだろう。
 そういう意味で、素人相手というのは、実に恐ろしいものではないか?
 だから、この時話を聴いている方の人は、
「素人は怖い」
 といつも思っていたのだ。
 彼は、目の前にいる、
「常連予備軍」
 と女の子が呼んでいるその男が、自分をターゲットにして話始めたというのは、
「ただの偶然だ」
 と思っている。
 たまたま、店に来ると、カウンターでちびちび飲んでいた自分を捕まえて、
「話をしよう」
 と思い立ったのかも知れない。
 時間的には、誰もいなくても不思議のない時間帯であり、この日、その常連客が早くからきていたというのを偶然だと思っているだろうと感じたからであった。
 ただ、この常連客は、いつも結構早い時間からいる。そのことは、この、
「常連予備軍」
 という男が、
「常連」
 と呼ばれるようになるくらいまでになれば、おのずと分かってくることなのであろう。
 二人は、最初、それぞれ無言で、ちびちびとやっていた。
 空気は、緊張感に溢れていたので、決していいものではないといっても過言ではないだろう。
 女の子たちもその雰囲気を感じてはいたが、幸いにも、開店準備からの流れで、それぞれに仕事が忙しいということで、相手をできないのが客も分かっているということで、気は楽だった。
 ただ、さすがに10分くらいで、
「常連予備軍」
 と呼ばれる男が、しびれを切らしたのか、
「おもしろい話があるので、テーブル席で話しませんか?」
 と声を掛けたのだ。
 そこで、二人はテーブル席に移って、向こうで話を始めようとしたのだった。
g そんな時、ちょうど、新しい客が入ってきた。
 その客は、いつも一人で飲んでいる人で、常連ではあるが、
「完全に、放っておいていい相手」
 ということであった。
 だから、女の子も敢えて相手をすることもしない。
「あの人は、話したくなったら自分から話をする人だからね」
 ということで、女の子からすれば、
「一番気楽に相手ができる人」
 ということで、
「まるで石ころのような人」
 という認識を持っていた。
 このような店では、客をそれぞれ、スタッフ側で、
「ランク付け」
 のようなことをしていた。
「常連かどうか?」
 というのも、そのランク分けの一つの指針でもあったが、
「店の女の子に対する態度」
 さらには、
「客同士の対応」
 ということでも、ランクに分けられていた。
「それらの人を見分けることで、対応をどうするか?」
 などは、しっかりと、オーナーの手によって、
「マニュアル化されている」
 ということであった。
 これは、
「女の子を守るため」
 ということと、
「客を守るため」
 ということでもあり、女の子にとっても、死活問題ということで、その内容はしっかりと熟知していたのであった。
 基本的には、
「あまり客にかかわらない」
 ということが、その鉄則ということであった。
 ここのオーナーは、昔から、バーテンダーとして、世界各国を回り修行した人ということであり、そんな中、経営に関しても、ある程度の年齢になると、興味を持つようになり、
「いずれは、自分の店を」
 と思うようになり、
「やっと念願の店が持てるようになった」
 ということであった。
 実際に店を持てるようになると、まずは、
「どのような店」
 ということで、最初は、
「誰かバーテンを雇うかどうか?」
 と考えた。
「自分がバーテンをしてもいいが、経営では勉強したとはいえ、素人なので、最初は、経営に専念する」
 ということが大切だと思ったのだった。
 それを考えると、
「男だと、寂しいな」
 と思うようになった。
 別に自分が女好きというわけではないが、
「ガールズバーというのが流行っている」
 という話を聴いたことで、
「どうせバーテンダーを雇うなら、女の子というのも、しゃれていていいよな」
 と感じた。
 それに、
「自分が客だったら、癒しを求めるということと、一人孤独に飲みたいと思う人がいれば、そっと目の前にいるだけで癒しになる女の子というのがありがたい」
 ということになると思ったのだった。
 それで、
「ガールズバー」
 ということにしたのだが、だからと言って、
「店の外装を派手にする」
 ということはなかった。
 逆に、シックな雰囲気にすることで、
「大人の店」
 という雰囲気を醸し出し、
「女性が却って、映えるのではないか?」
 と感じるのであった。
 この店は、そういうコンセプトで始まったところで、開店してから約3年、
「十分に、馴染みの客も増えてきた」
 と思っていたのだ。
 この
「常連さん」
 も、店に来るようになってから、1年くらいであろうか。女の子も大体分かっているのだった。
 常連といっても、毎日来るわけでもない。
「週に、一度か二度」
 そういう意味では、この、
「常連予備軍」
 と呼ばれる客からすれば、
「この常連さんに声を掛け、話を聴いてもらう」
 というシチュエーションは、偶然だといってもいいのかも知れない。
 あとから入ってきた客は、
「常連予備軍」
 にもなっていない人で、
「初めて見る客ではないが、まだ、来店は二度目か三度目か?」
 というくらいだろうと、女の子たちは思っているのだ。
 そういう意味で、
「この客はランク的には、石ころのような人だ」
 といってもいいかも知れない。