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表裏の性格による完全犯罪

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「政府がどこまで世間のことを考えていたのか?」
 というのは分からない。
 今の政府は、まるで時代劇に出てくる悪代官のようなもので、製薬会社は、それこそ、
「越後屋」
 ではないだろうか?
 そんな話が、ささやかれ、こうなってしまった以上、
「政府も製薬会社も許すわけにはいかない」
 というのが、世間の共通した意見であった。
 しばらくは、その話題で持ち切りだった。
 一か月経っても、二カ月経っても、その話題が途切れることはない。ニュースソースを賑わすだけの話が、毎日のように出てきて、話は二転三転、そうなると、話題が尽きるということもない。
 さすがに三カ月も経つと、
「この話題は永遠に続くんじゃないか?」
 と言われるほどだった。
 ここまでくれば、3年近く世界を騒がせた
「世界的なパンデミック」
 を思わせるのであった。
 ここまでくれば、それこそ、かつての、
「公害問題」
 といってもいいだろう。
 訴訟が至るところで起こり、気が遠くなるような訴訟期間となることであろう。
 考えてみれば、
「もう半世紀は経った」
 と言われる公害問題。いまだにすべての訴訟が解決しているわけではない。
 下手をすれば、今回の問題も、これから、半世紀以上もかかって、訴訟が繰り返されるということになることだろう。
 今はその入り口にもまだ経っていない。何といっても、その原因も、これ以上増えないようにしないといけないという最優先事項も、まだまだこれからなのだからである。
 マスゴミの騒ぎも、三カ月を過ぎてくると、少し落ち着いてきたように思うような錯覚があった。
 それはあくまで、
「状況に慣れてきた」
 というだけで、下手をすれば、他人事だと思っている人にとっては、
「飽きてきた」
 ということになるかも知れない。
 一種の、
「話題性としての、倦怠期」
 といってもいいかも知れない。
 そんな時期が過ぎていくと、今度は、マスゴミの勢いが次第に薄れていくのであった。
 そして、その間隙を縫うように、本当に少し話題性に陰りがあると、それまでの話題性がウソのように、次第に、いや、即行で、この話題が、下火になっていくのだった。
「人のうわさも七十五日」
 と言われるがまさにその通り、一度下火になると、この時とばかりに、話題性が失せてきたのだ。
 やはり、毎日のように聞かされる話題で、
「慣れてきたのか?」
「飽きてきたのか?」
 とにかく、話題性に疲労感が出てきたことに間違いはないようだった。
 たぶん、二転三転していたものが、次第に動きを停滞してしまったことからくるのであろう。
 誰にもこの話題を制御できなくなってしまったことで、一人歩きをし、生き物のように、話題が、疲れを感じてきたということになるということを言っているコメンテイターがいた。
 そもそも、問題はコメンテイターにもあるかも知れない。
 ニュースのように、誰もが見るものなので、あまり専門的な話でもついてこれない。
 かといって、出てくるコメンテイターが、芸人であったり、芸能関係やスポーツコメンテイターなどの、
「畑違い」
 といってもいいような人が、まことしやかに、正論をぶちまければ、これだけ長い間の話題ともなれば、
「毎回同じことを繰り返す」
 ということしかできないのも、もっともなことである。
 ニュースが二転三転しなければ、話題性もなくなり、もっと早くニュースとしては下火になっていたかも知れない。
 ただ。コメンテイターは、そんな話題に対して、
「二転三転しようが同じ主張を繰り返す」
 という人もいれば、
「変わるたびに、意見をコロコロ変える」
 という人もいる。
 そもそも、詳しいことを分からずに、専門外の話題をふられているだけなのだから、どちらの対応をしようとも、そこに信憑性など、これっぽちもない。そうなると、話題があっという間に飽きられるというのも当然であろう。
 むしろ、
「よく数か月もこのコメンテイターで話題がもったものだ」
 ということになるであろう。
 だから、ある時期になると、ピークを越えたのか、まるで、ろうそくの炎が消えるように、一気に、すべての話題が消え去った。
 ちょうどその間隙を縫うように、別の話題が出てきたのだ。
 これは、最初は地域ニュースにすぎなかったが、
「次第に全国でも言われるようになってきた」
 という、
「一種異様な事件」
 といってもいいだろう。
 その事件は、
「F県O市において、殺人事件が発生した」
 ということが発端だった。
 最初は、ただの殺人事件ということで、捜査が行われた。
 殺された被害者の名前は、
「酒井忠義」
 という男で、ナイフでの刺殺事件であったが、最初は通り魔による犯行ではないかと思われた。
 というのは、会社からの帰宅途中、静かなところに入ったところで、後ろからふいにナイフで一突き、鑑識の見立てでは、
「即死だったでしょうね」
 ということであった。
 つまり、
「初めての犯行ではない」
 というのが、警察の見解でもあった。
 彼は、県庁所在地であるF市のオフィス街に通う。普通のサラリーマンだった。会社は、
「海外貿易」
 なども手掛けている全国展開をしている商社のグループ会社だったのだ。
 彼の部署は、国内の、しかも、この地域を中心とした、商社としての営業が主で、出張もそこそこあったということであった。
 彼が死体で発見されたのは、ちょうど、例のガールズバーで、坂上と話をしたあの日から、二か月後くらいだったのだ。
 ちょうど、最初に話題にあがった
「薬の副作用問題」
 というものが、最初のピークの時で、その時はまだ。
「海のものとも、山のものとも分からない」
 という状態で、
「初期のピークだった」
 といってもいいだろう。
 だから、その話題は、確定はしておらず。毎日のように、新しい事実が出てくるということだった。
 その頃には、まさか、
「政府や薬品会社が、隠蔽を図るなどということになる」
 などということは、誰が想像できたであろうか。
 坂上が、その時、
「どうして、この薬品の副作用に関して話をしたか?」
 ということは分からなかったが、結局、あの時は、
「完全犯罪についての話」
 で終わった。
 それも、
「その完全犯罪が、何になるのか?」
 ということが明かされることはなかった。
 その当事者の心の中に、一つのものが浮かんでいたのは間違いないことであるが、それをハッキリと口にすることはなかったのだ。
「口にしなくても、皆感じていることは同じなのに違いない」
 ということであり。
 その時話を聴いていた、榊田であったり、つかさも、
「きっと同じ考えだったに違いない」
 と思える。
 それだけ、あのヒントだけで、その犯罪の種類というものが分かるというもので、それを考えると、
「坂上という男が、最後まで言わなかったのも分かる気がする」
 と感じるのだった。
 実際に、
「理論的には不可能ではないが、実際にやるとなると、その問題が大きすぎるからだ」
 といえるのではないだろうか。
 この殺人事件で、まず問題になったのは、やはり、
「通り魔による殺害なのか?」