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もう一人が犯人

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 という意識は残っていたが、長年警察という組織にいると、染まってしまった後では、なかなか拭い去るということはできない。
 特に、
「国家権力」
 を振りかざすことができたというのは、かなりの魅力で。他の仕事が想像できないほどに不可思議な仕事であった。
 しかし、
「小説やマンガに出てくるような事件を捜査できると思ったら大間違いだ。そんな依頼はそんなには来ない。基本的には、起訴された後の弁護の仕事ということで、弁護士の方が、事件に対しての依頼は多い」
 ということであった。
 確かに、小説に出てくるような私立探偵というのは、それこそ、昔の、
「探偵小説」
 と呼ばれるものでなければ、なかなかないだろう。
「著名な探偵が、その頭脳と捜査網を使って、鮮やかに事件を解決する」
 というもので、
「その時に、トリックや事件の謎が、深ければ深いほど、探偵小説として本格派だといえる」
 ということではないだろうか・
 そんな
「探偵小説」
 といわれた時代はというと、
「日本でいえば、大正時代から、戦後の混乱期くらい」
 と言っていいだろう。
 それ以降は、
「社会派推理小説」
 ということで、
「戦後ではない復興から、隆盛の時代に入った日本で巻き起こってきた数々の社会問題に、企業と人間という形で切り込む話が、社会派推理小説」
 と呼ばれるものだったりするのだ。
 かつての探偵小説と呼ばれた時代の探偵が、そもそもの、推理小説の元祖だと言ってもいいだろう。

                 探偵業

 探偵小説の元祖尾というと、ヨーロッパ、イギリスやフランスが舞台となるものだろう。
 何といっても、最初のベストセラーというと、
「シャーロックホームズもの」
 と言ってもいい。
「オーソドックスな探偵と助手が出てきて、事件を解決していく」
 というものだ。
 ちなみに、当時の探偵小説というと、
「基本的に、探偵とその助手」
 というものが存在する。
 それがどういう理由からくるのか、知っているであろうか?
 実は、
「探偵小説というのは、一人称というよりも、三人称で書かれることが多い。これは、探偵が主人公であれば、三人称で書くのが難しいということになり、これを小説ということにするならば、記録者というものを設定する必要がある」
 ということだ。
 だから、それを小説の中で
「助手」
 という形で登場させるという方法が取られる。
 だから、探偵小説においての、
「助手」
 あるいは、
「記録者」
 として、
「新聞記者」
 であったり、
「雑誌記者」
 というのが多かったりするということであった。
 だから、探偵の中には、
「助手というものを持たないことで、途中で記録者として小説家の先生がいるということを明かし、これまでの小説は、その小説家の先生が書いてきた」
 という設定にしている、有名な探偵小説作家もいるのであった。
 だが、それはあくまでも、
「探偵小説」
 ということでの設定であるので、私立探偵に、
「助手のいるいない」
 というのは、あまり重要なことではないかも知れない。
 今の時代と、昔の探偵小説の時代とでは、まったく設定、つまりは、時代背景というものがまったく違っている。
 何といっても、探偵小説が社会派推理にとって代わられる時代というと、今から半世紀以上も前のことである。
 しかも、まだ、戦後の混乱期。。
「物資もない」
 どころか、
「満足に、衣食住が整わない時代」
 ということで、
「今の時代は、なんでも揃う」
 ということを考え、それだけ科学も発展しているということだ。
 だから、かつての、
「トリック」
 と言われるのので、今でも、通用するというのはどれだけあるだろうか?
 かつて、
「探偵小説作家」
 の中には、
「探偵小説としてのトリック」
 というもののパターンを考えた作家がいた。
 探偵小説というものが、
「出てきた探偵が、事件の謎やトリックを、明快に解き明かす醍醐味」
 というのが、探偵小説というものであった。
 だから、
「できれば、今までに存在したトリックではなく、新しいトリックを考える」
 というのが、作家としてのポリシーのようなものだろう。
 ということで、
「その当時考えられる犯罪とリック」
 というものを表した作家が数人いたのだ。
 その中で、一人が分類分けしたのだが、
「顔のない死体のトリック(死体損壊トリック)
 というもの、
「密室トリック」
「アリバイトリック」
「一人二役トリック」
「叙述トリック」
 などと呼ばれるものである。
 最後の叙述トリックというのは、
「作家の執筆テクニックによって、読者を騙す」
 というものなので、
「小説の世界でしかないことだ」
 というのであった。
 まずは、
「顔のない死体のトリック」
 というものは、
「被害者が誰であるかということを分からないようにするために、顔を潰したり、首を切って隠したり、指紋がある手首を切ったり、手術の痕を抉り取ったりしたもの」
 というのが、
「顔のない死体のトリック」
 ということで、この犯罪に関しては、
「公式がある」
 と、その作家は説を唱えている。
 というのは、
「被害者と加害者が入れ替わる」
 というものだった。
 顔を潰してしまい、被害者が特定できないことで、状況から考えて、
「顔を潰す理由」
 ということで、考えられるのは、この場合である。
 しかし、この事件において、前提となるのは、
「被害者と加害者」
 のどっちがどっちか分からないが、
「どっちかが加害者で、どっちかが被害者であることに間違いはない」
 ということでなければ、使えるトリックではないということになる。
 警察が間違えてしまえば、
「犯人は、死んだことになってしまい、本当は死んでいる人を指名手配したとしても、本人は死んでいるのだから、見つかることはない」
 ということになるのだ。
 完全犯罪としては、完璧に見えるが、
「死体損壊トリック」
 というもので、
「公式がある」
 として、警察がそのことに気づけば、何も分かっていないよりも、捜査は違った形で進むことになり、当初考えた、
「完全犯罪」
 ということにはならないだろう。
 しかも、
「昔であれば、首や手首や特徴のある部分を傷つけておけば、被害者を特定することは難しい」
 といえる。
 しかし、今の時代のように、科捜研などの存在と、その科学捜査の発展から、少々の、
「死体損壊」
 くらいであれば、身元を特定することは、探偵小説の時代からすれば、
「お茶の子さいさい」
 と言ってもいいだろう、
 それを考えると、
「DNA鑑定などもあるので、死体損壊トリックを用いることは、推理小説でもなかなかないだろう」
 と言われる。
 また、もう一つ、トリックとして難しくなったのは、
「アリバイトリック」
 というものではないだろうか?
 これも、昨今の、
「防犯カメラ」
 というものの普及、
「WEBカメラ」
 というものの存在であったり、今では、
「煽り運転」
 という犯罪防止の観点から、
「ドライブレコーダー」
作品名:もう一人が犯人 作家名:森本晃次