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もう一人が犯人

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 本来であれば、探偵とすれば、同じ依頼を二人にしてくるなど、プライドが許さないと言ってもいいはずなのに、それを否定する気にはならなかったのだ。
 それが、別に構わないと感じたのは、
「実際に探偵業などという怪しい商売をしているということで、宣伝も大っぴらにできない」
 ということで、
「お金にならない」
 と考えると、
「背に腹は代えられない」
 ということになるのだ。
 それを考えると、坂本としても、依頼を受けないわけにはいかない・
 ただ、そうなると、
「もし、相手にこちらが調べていることを知られるとやりにくい」
 と感じたので坂本としては、
「浪川さん、そのもう一人の探偵に対しては、自分が調べているということをお知らせしているんでしょうな?」
 と訊ねた。
 浪川は、依頼したことを自分に話はしたが、その相手が誰かということまでは知らせていなかったのだ。
 だから、相手も同じで、
「誰かが調べているということを知りながら、自分のことは相手に知らせていないだろうな」
 とは思っていたが、念のためと思い聞いたのだった。
「ええ、もちろんそうです。お互いにライバルがいるということは分かっているでしょうが、その相手が誰かということは教えてはおりません。もっとも、調査の合間にお互いに知ることになるとは思っていますが」
 と言って、ニンマリとした怪しげな笑みを浮かべた。
 それを見ただけで、
「悪趣味極まりないな」
 と思ったが、これが、
「この男の正体なんだろうな」
 と感じた。
 そもそも、私立探偵に何かを依頼するというのは、
「何かの事件で切羽詰まった状態になり、警察ではあてにならない」
 ということで、真剣に探偵に依頼をしてくるのか、あるいは、
「浮気調査」
 などという捜査を、
「他に頼める人はいない」
 ということで、
「探偵を雇って捜査してもらう」
 と考えるのだろうが、その時、裕福な生活をしていて、異常性癖な男であれば、
「もっと刺激を」
 と考え、
「このような悪趣味極まりない」
 そして、
「もっと刺激があることを」
 と考えるに違いない。
 それが、坂本が感じた、浪川という男の正体であり、それを、果たして迫田が知っていたのかどうか気になるところであった。
 迫田という男で気になったのは、
「元弁護士」
 ということだった。
 聞こえはいいが、あくまでも弁護士というのは、
「依頼人の利益を守る」
 というのが仕事である。
 そんな男が、
「私立探偵に転身した」
 ということであれば、それは、
「さらに危険な性格になるのではないか?」
 と感じたのだ。
 そもそもの、浪川という男の性格を考え合わせると、
「どうもこの事件には、気持ち悪さしかない」
 と感じるのだった。
 それは、偏執的な意味ということであったのだ。

                 大団円

 坂本が、
「この依頼でどこまで分かっていたのか?」
 そして、
「依頼を受けていたことをどこまで報告していたのか?」
 ということで、その差があるのは当たり前だった。
 報告は、毎日のようにしているわけでもなく、
「最後に一度だけ」
 という契約でもなく、
「できるだけ分かったところで、話をしてくれればいい」
 ということであった。
 浪川という男は、経営手腕としては、それなりの人間だったのだろう。
 仕事上で、彼のことを悪くいう人はおらず、調べれば調べるほど、悪く言われるのは、奥さんの方だったのだ。
 それを考えると、
「浪川が、探偵に奥さんの浮気調査を依頼するというのも分からなくもない」
 といえるだろう。
 ただ、二人の探偵に同じ内容を依頼するという、悪趣味というか、怪しげな精神状態を持っているのではないかと思えば、迫田が殺されたということも、何かそのあたりに関係があると考えた。
 それを考えたのが、実は。浪川と一緒に会社を立ち上げた人間で、浪川が、
「一番信頼を置いている」
 という男だった。
 名前を坂巻というのだが、彼とすれば、
「社長が依頼した探偵が殺されたということで、このままだと、社長に嫌疑が向いて、会社が立ち行かなくなる可能性があるので、調査を依頼したい」
 ということであった。
 坂巻がいうには、
「うちのような零細企業は今まで社長の手腕で何とかやってきたが、社長に殺人容疑がかかったり、下手をして起訴でもされると、ひとたまりもないんですよ。だから、あなたに警察ではできない捜査をお願いしたいんです」
 という。
「どうして私に?」
 と聞くと、
「あなたも社長から、殺された迫田探偵と同じ内容の依頼を受けていたわけですよね?」
 という。
 そう、この坂巻というのは、そこまで知っていたのだ。
 ということは、
「坂巻という男は、社長にそれだけ信頼されている」
 ということなのか、それとも、
「社長に対して立場が強く、それこそ、何かの弱みを握っているのではないか?」
 という両面が考えられるが、坂本としても、せっかくの依頼人が死んでしまったということでを考えると、気持ちとしては中途半端な気持ち悪さがあったので、依頼を引き受けることにしたのだった。
 坂本が、今まで、
「浮気調査」
 として知りえたこととして、
「奥さんは、浮気をしているわけではなかった」
 ということであった。
 そして、
「ただ、そのわりには、奥さんの行動に不思議なところがある」
 ということであった。
 というのは、
「奥さんは、探偵が自分を調査しているということを知っているのかどうなのか、その行動は、いかにも浮気をしている」
 と言わんばかりだったのだ。
「どうして、あんなに露骨に、そして、自由に振舞えるんだ?」
 と考えたが、すぐには分からなかった。
 しかし、さらに調べてみると。
 というのは、素人が見るだけでは絶対に分からないが、そこは探偵として見ると、一目瞭然というあたりに足を踏み込んでくれば、そこに見えるのは、
「誰か、奥さんにはついている」
 という、
「誰かの影」
 というものであった。
 そして、
「それが女?」
 ということが分かったのだが、それによって、
「奥さんに異常性癖」
 というのが分かったのだ。
 そこで、その女との、
「密会」
 というものを突き止め、いよいよ、報告書を作るための資料として。
「奥さんの本当の顔」
 ということで、盗撮まがいのことをしていると、その顔に浮かんだ表情が、
「どこかで見たような表情じゃないか?」
 と感じたのだ。
 それが、
「ああ、旦那の浪川が俺に対してした、あの気持ち悪い、異常性癖を思わせるあの時の顔ではないか?」
 ということであった。
 奥さんは、確かに異常性癖だったということになるだろう。
 もちろん。今の時代は、
「LGBT」
 などというものがあり。
「性の同一性」
 というものであったり、
「同性愛」
 というものの正否が言われているが、
「異常性癖である」
 ということに変わりはない。
 だから、今回の奥さんのレズというのも、
「彼女の異常性癖がレズに走らせたのか?」
 それとも、
作品名:もう一人が犯人 作家名:森本晃次