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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
novelistID. 69613
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))

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 さて、九頭竜湖を後にして、再び、道の駅「九頭竜」に立ち寄った。昨夜、営業が終わっていた駅舎のショップに入るためだ。
 そこには、ここの特産の舞茸の弁当が何種類も売られていて、昨夜、もしそれを買うことができていたならば、夕食は、地元の味を堪能できていたのだろうと、残念に思った。

 道の駅を後にしてからは、R158はずんずん標高を下げていき、九頭竜峡あたりで、正面に巨大な山容が見えてきた。福井県内で唯一の日本百名山の荒島岳(あらしまだけ、標高1,523.5m)で、別名、大野富士とも呼ばれている。
 R158は九頭竜峡沿いに走っているため、場所によっては、運転席からバンクベッドが庇のように出ているため、体をハンドルに近づけて、山容を見上げる運転が続いた。あとで気付いたのは、見上げてばかりいたので、九頭竜峡を見下ろすことを忘れていた。

 九頭竜峡の山間を走り終えると、いきなり、平野になった。
 その先に、道の駅「越前おおの 荒島の郷」(福井県大野市)の案内標識があり、カーナビにも、ロードマップにも、道の駅ガイドにも載っていない道の駅だったので、多分、新設の道の駅なのだろう。立ち寄ることにした。
 R158のラウンドアバウト(ロータリー)に、道の駅の入口が面していた。

 そうそう、日本の交差点がロータリーに造り変えられ始めた頃、その名称が「ラウンドアバウト」になる旨のニュースを聞いた時、何故「ロータリー」じゃないのと思ったものだ。
 このところ、「ラウンドアバウト」という名称にも慣れてきたが、ロータリーとは何かが違う部分があるようだが・・・、詳しくは知らない。
 いずれにせよ、安全運転をしながら、ラウンドアバウトに入ってすぐに左折して、道の駅の駐車場に入った。

 広い駐車場には多くのクルマが停まっていたので、駅舎からはかなり離れた場所に「ジル」を停めることになった。そこから見える駅舎は大きく新しい。
 先ず向かった先は、道の駅に併設されているmont-bell(モンベル)のショップで、かなり広い店舗面積だった。特に買いたいものはなかったので、店内をぶらぶらと見て回っただけだった。
 以前から思っているのは、アウトドアショップとキャンピングカーショップがコラボすれば、Win-Winの関係で売り上げ増になるのではないかと。旅が終わったら、自宅近くのアウトドアショップと「ジル」のビルダーのバンテックに提案してみよう。

 駅舎のショップに入った。ここもたいへん広かった。品揃えも良く、色々と買いたくなってしまい、昼食用に「舞茸弁当」、夕食用に「鶏ちゃん(味付きの鶏肉)」、「舞茸カレー(レトルト)」をつい買ってしまった。
 まだ午前11時半だったが、購入した「舞茸弁当」を「ジル」のダイネットのキッチンのレンジで温め、湯を沸かして作ったインスタントの味噌汁で昼食。
 ダイネットの窓から荒島岳の頂上付近が見え、経ヶ岳(奥越高原内の日本三百名山、標高1,625 m)の岩峰もよく見えた。道の駅の芝生の中のベンチに座って、弁当か何かを食べているカップルがいた。いいね。

 岐阜県から両白山地(りょうはくさんち)を越えてここまで来たが、この山地は岐阜県、富山県、石川県および福井県にまたがる山域で、白神山地(青森県から秋田県にまたがる山地帯の総称)に次ぐ規模のブナ原生林が見られ、冬は豪雪地帯とのこと。
 この両白山地は、北部の白山(はくさん)が主峰の加越山地と、南部の能郷白山(のうごうはくさん)を主峰とする越美山地に分かれ、「両白」とは、それぞれの山地を代表する二つの白山を示したものとのことだ。
 そして、九頭竜川が両山地の境界になり、荒島岳は加越山地の山で、経ヶ岳は越美山地の山だ。
 このように私は、旅先での風景を地理的に理解するのが好きなようだ。

 食後のコーヒーを飲みながら、道の駅で入手した観光パンフレットで、これから向かう大野の町の概要を掴み、道の駅を後にした。
 R158で大野市街に入った後に、六間大通り、そして七間通りも走り、寺町通りは道幅が狭かったため入らず、「ジル」の駐車場を探した。
 「越前おおの結(ゆい)ステーション」のパーキングは満車だったため、その対面の「まちなか交流センター」の駐車場に「ジル」を停めた。

 この「結ステーション」には、高さ約10mの木造のシンボルモニュメント時鐘(ときがね)があり、大野市を訪れる来訪者の「ランドマーク」になっているという。
 後で知ったことだが、この旅の2日目に見た岐阜県美濃市内の長良川の上有知湊(こうずちみなと)の川湊灯台(かわみなととうだい)をモデルに建造されたとのことで、よく似た雰囲気だと思っていた。

 「雲海に浮かぶ天空の城」として有名な亀山の山頂に建つ「越前大野城」だが、今日は青空の下で天を突いていた。天守閣の最上階から城下町や荒島岳などを見渡したくて、登ってみることにした。
 「結ステーション」から城の方角に向かうと、山の麓に鎮座している神社が見え、その鳥居をくぐり、参道を歩き始めた。その左側に、長く出ている軒下に時代物の古い農機具が幾つも並ぶ大きくて古い家があり、古民家にしては大き過ぎるため、資料館か何かと思いながら歩き進むと、家の入口に掲げられた縦書きの看板に「大野市民俗資料館」と書かれていた。
 明治時代に建てられた裁判所の建物の一部を移築した資料館で、明治期の裁判所建物では県内で唯一現存するものであり、大野市の指定文化財とのこと。
 その前を通過するとすぐに、古めかしい神社の前に出た。その本堂に掲げられた扁額(へんがく)には「柳廼社」と書かれており、読めなかったので、ネットで調べたところ、「やなぎのやしろ」と読むようで、いつものように、旅の安全を祈願した。

 その裏手が城の登山口になっていて、20分のプチ登山で「越前大野城」の入口にたどりついた。天守閣の内部に展示されている写真や説明文を見ながら、さらに20分弱で天守閣の最上階にたどり着いた。
 そこからの展望は素晴らしく、予想どおりの、荒島岳の加越山地と経ヶ岳の越美山地に囲まれた盆地の城下町の景色が見えた。
 多くの人がつい取る行動だと思うのは、景色の中に駐車したマイカーを探すことなのだろう。私もそうで、「ジル」を探し出すと、意味もなく安心してしまう。そうなると、「ジル」も景色の構成要素として、広大な景色の写真を撮った。あとで、その写真の中の「ジル」を見ると嬉しくなるものだ。
 天守閣の最上階からの別の方角の景色は記憶に残っておらず、写真も撮っていなかった。それほど、見続けた大野盆地の風景が気に入っていたのだろう。
 あとで気付いたのは、武家屋敷を探すのも、行ってみるのも忘れていた。いずれの日にか、また戻って来ることに決めた。

 大野からR158を西へ走り、南下する県道に入り、向かった先は一乗谷。
 戦国時代、そこは信長の上洛の要請に従わなかった朝倉義景は浅井長政らと同盟して戦ったが敗れ、その際に全てを焼かれた朝倉氏の本拠地で、そこで義景は自刃し、朝倉氏は滅んだ。