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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))

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■11/4(旅の3日目):福井県大野市 ⇒ 福井県南越前町(道の駅「河野」)


【走ったルート】 道の駅から九頭竜湖まで戻った後は、R158で西へ。道の駅「越前おおの 荒島の郷」を経て、「越前大野城」に登り、「一乗谷」を散策してから、道の駅「一乗谷あさくら水の駅」に立ち寄る。そして福井市内を走り、R8で南下しながら道の駅「西山公園」で小休止。日本海の見える道の駅「河野」で車中泊。【走行距離:127km】

【忘れられない出来事】 越前大野城からの展望は最高だった。ロードマップで見た大野の街を上から見下ろすことで、印象深い記憶になったこと。

【旅の内容】 昨夜は早く寝てしまい、トイレに行きたくなった4時までは完璧な熟睡だった。もう少し若ければ、朝まで熟睡だったはずだが、加齢の結果で仕方がない。
 トイレから戻ってきて、出来れば朝まで眠っていたかったと思いながら、バンクベッドの布団にもぐり込むと、そこは暖かく、すぐに眠ってしまったようで、次に目が覚めたのは6時だった。

 バンクベッドとダイネットの間にカーテンがあり、それを開けると、寝ていたバンクベッドの空間とダイネットの温度差を肌で感じた。
 FFヒーター(キャンピングカーの燃料の軽油を燃やす温風ファンヒーター)のスイッチを入れると、すぐに暖かい温風が吹き出し、おかしな話だが、幸せな気持ちになってしまう。
 今朝もホットサンドを作った。昨日のものは定番の中身だったが今朝は、しょう油味の卵焼きとサイコロステーキを挟んだ分厚くボリューミーなものになり、コーヒーと牛乳を飲みながら、体の内側からも暖めた。

 昨夜から気になっていたのは道の駅「九頭竜」の、いや、九頭竜湖駅の線路の反対側で、何やら色々とありそうなので、朝の散歩がてら行ってみた。   
 先ずは「和泉郷土資料館」に行ったが、まだ開館時間になっていなかった。あとで調べたところ、そこには日本最古級のティラノサウルス類の歯の化石があるという。

 もう少し歩いていると、蒸気機関車(以後、SLと表記)が展示されていた。
 それは初の国産で量産された大正生まれの8620型(愛称:ハチロク)で、SLの型式に、CやDが付けられる以前のもので、旅客向けのSLだ。
 同じ大正生まれのSLには貨物用の9600型(愛称:キュウロク)もあり、どちらも、SL時代の曙に生まれ、最後まで活躍していたSLのひとつで、D51やC62のような大型機関車ではなかったことから、山間を走る地方交通線に向いているサイズであり、優れた設計の名機だ。

 このハチロクの展示場について、ひとつコメントしたい。
 展示場の屋根を支える数本の柱が車両側面の両側に立っており、ハチロクの全体像の写真を撮る際はそれらが邪魔になってしまう。SLファンのためにも、屋根を片持ちで支えて欲しいものだ。

 ハチロクの奥の方に「笛資料館」があったが、まだ朝早い時間のため、ここも開館していなかった。
 この資料館についてもネットで調べたところ、平安末期にこの地へと落ち延びてきた源義平(源頼朝の兄)と里の娘「おみつ」の悲恋伝説「青葉の笛」ゆかりの資料館で、義平がおみつに贈ったと伝わる「青葉の笛」のレプリカをはじめ、日本の様々な笛が展示されているとのことだった。

 「ジル」に戻ってから、湯を沸かしてコーヒーを淹れて、ひと休みしてから、昨日走った道を戻り、九頭竜湖に向かった。

 岩を積み上げたロックフィル式の「九頭竜ダム」を下から見上げ、そして上から見下ろし、そこにあった掲示板を読んだ。
 日本第5位の総貯水容量を誇るダム湖とのことだが、上流を見渡すとそれほどでもない感じだったが、その先は大きく左に曲がっているようで、奥が広いのだろう。
 そこから撮った写真には、下から上に、ダム湖、紅葉、横にたなびく雲、奥越の山々の山稜までの紅葉がミルフィーユのように重なった景色が続いていた。

 そして、ダム湖沿いに走ると、右前方にダム湖に架かる吊り橋「箱ヶ瀬橋(はこがせばし)」が見え始めた。別名「夢のかけはし」と呼ばれるもので、ネットによると、瀬戸大橋の試作として建設されたもので、1/7の大きさに当たるとのことだった。
 その橋が見渡せるあたりに駐車場があり、そこに「ジル」を停めて、デジカメを持って、吊り橋に向かった。
 橋の袂には車重制限の標識は見当たらないため、車重3tの「ジル」でも通行が可能なのだろう。ただ、吊り橋の幅はそんなに広くないため、軽自動車同士ならば、すれ違いは可能のように見えるが、基本的には一車線で、交互通行なのだろう。
 ちなみに、私の実家のある福岡県の方では、すれ違いのことを「離合(りごう)」と言うのだが、九州から静岡県に出てきて、この「離合」は西日本で使われる方言だと知って驚いた。

 吊り橋を歩いて渡った。クルマは来ない、誰も渡っていない、ひとりポツンと九頭竜湖を見渡しながら、真っ盛りの秋を感じられる写真を撮り、対岸まで歩いた。
 そこには、写真を撮っている高齢の男性がいたので声を掛けたところ、良い風景の写真を撮るならばミラーレスカメラが良いと、いきなりカメラの話から始まった。
 私のデジカメは、キャノンのPower Shot G7Xなのだが、それより良いカメラを買うことを勧められた。パラモーターで空の散歩をしながら、空撮もやっているデジカメなので、一眼レフではないが、大きさや軽さに満足しているので、要らぬお節介だなと思いながら、そうですねと相槌を打った。それにしても、話す声が大きな老人だった。

 吊り橋を戻っている時に気付いたのは、R158の少し上に、新たな道路の新設工事が行われていて、それは中部縦貫自動車道のようだった。
 この紀行文の執筆を始めた2024年末頃、待ち焦がれたニュースが届いた。
 愛知県~静岡県を信号ゼロでつなぐR23の無料の「名豊バイパス道路」が、いよいよ2025年3月に全線開通を迎えるという内容だった。未完成部分の蒲郡(がまごおり)の現状は、バイパスから下りる際に渋滞し、信号のある多くの交差点を通過しなければならず、そして、再びバイパスに乗る際にも渋滞するような、回避できるルートもないため、その状況から解放されることが嬉しかった。

 そこで、このR158と並行する「中部縦貫自動車道」が開通したのかどうかが気になり、その進捗状況を調べたところ、吊り橋から見上げた工事中の現場を含む建設中の区間(九頭竜IC~油坂)の工事が難航しており(軟弱な地盤や掘削中のトンネル工事では想定以上の湧水などが原因)、設計の見直しが必要とのこと。その結果、開通見通しの「2026年春」が白紙になっているという。

 それにしても、「九頭竜川」の川の名前にはドキッとする。
 そこで、その由来を調べたところ、幾つかの説があったが、私にとって、最もそれらしく感じたものをひとつ紹介する。
 平泉寺の白山権現が衆徒の前に示現され、その尊像を川に浮かばせたところ、一身九頭の竜が現れ、尊像を頂くように流れに下って、黒龍大明神の対岸に着かれた。このことから古名は「黒龍川」(くつれうかわ)と呼ばれ、のちに九頭竜川に転じたとされているとのことだった。