悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))
50代の説明員から、色々と丁寧に教えて頂き、入手できる資料にもアドバイスをくれた。
「ジル」に戻り、エントランスに座って、もう一度、靴の中の砂を出し、靴下の中の砂も取り除き、ダイネットに上がった。
かなりの空腹だったが、湯を沸かしてカップ麺に注ぎ、鰊の缶詰を開けて、そんな簡単な昼食の準備が終わり、砂丘では、家族連れやカップル、友人たちと来ている人が多く、ひとり旅の淋しさを思い出しながら、カップ麺を食べた。でも、美味かった。空腹は最高のご馳走だったかもしれないが・・・。
鳥取砂丘を後にした時、以前からよく迷ったことを思い出した。それは「鳥取」の漢字だ。
PCへの入力作業はいつもローマ字で、「鳥取」の場合は「tottori」と入力しながら文字変換されて「鳥取」になるのだが、紙に書く際は、その読み方(音)から、「取鳥」と書いてしまいそうで、それは私だけなのか・・・?
砂丘の駐車場から出てからすぐのところに「鳥取砂丘 砂の美術館」があったが、今回はパスすることにした。いつか妻と来た際に入館することとし、JR鳥取駅方面に向かった。
「キャンピングカーの旅」で立ち寄るのは「道の駅」だが、地方の「鉄道の駅」にも立ち寄ることにしている。
その理由は、地方の、たとえば県庁所在地や主要都市などに行くならば、駅周辺に「ジル」を停めて、駅前の繁華街を歩いて、その賑わいを体で味わい、そこに、美味そうな名物があれば、舌でも味わいたいとも思っている。
ところが今、新型コロナウイルス感染症は第5波で、新規感染者数は下火になっているものの、旅の中で、もし感染してしまうならば、それこそ一大事。ましてや、帰省先の年老いた両親に感染させてはまずいので、この旅では昼食も夕食も、ほぼ自炊している。
そういう状況から今は、繁華街歩きを自粛しているが、「鉄道の駅」だけでも見たいと思っている。
JR鳥取駅に向かっている途中で、コインランドリーを見付けたので、この旅での最初の洗濯をすることにした。
「ジル」には1週間分の着替えを積んでいるので、まだ少し余裕はあるが、このあたりで一度、洗濯しておきたいと思っていた。
ランドリーマシンは幾つも種類があり、洗濯が終わるとそのまま乾燥が始まるタイプは、洗濯物の重量別に大・中・小の3種類あり、私の洗濯物は5kgほどだったので、中サイズを選んだところ、1,000円コースになってしまった。ちょっと高いような、そうでもないような・・・。
乾燥が終了するとスマホに連絡が届くサービスがあり、スマホの番号を入力した。便利になっているなあと感心した。
「ジル」に戻ってからは、湯を沸かして淹れたコーヒーを飲みながら、PCのスイッチを入れて、今朝からの「旅のメモ」を書き始めた。
入力しながら思い出したのは、現金の持ち合わせが少なくなっていたことで、隣の大きなスーパーに信金の窓口があればと思い、「旅のメモ」の作業を中断して、スーパーに行った。
そこのセルフレジ担当のスタッフに、「信金」のATMの場所を訊いたところ、「合銀」で引き出せるのではとアドバイスを頂いた。そのATMから現金を引き出したが、110円の手数料を取られてしまった。
少額なのだが、その手数料のことが気になり、「ジル」に戻ってから、PCで「合銀」について調べたところ、それは「山陰合同銀行」のことで、「信金」とは無関係の「銀行」だった。
「合銀」の名称から、「信金」と「銀行」が出資してできた金融機関だと勝手に思い込んだ私の早合点のせいで、手数料が必要になったのだが・・・、そこまで拘るのは理由があった。
「信金」の場合は、全国どこの「信金」で現金を引き出しても手数料は掛からないため、セカンドライフに入ってからは、年金の受け取り用に新たに「信金」に口座を設けたほどだ。
小さな話だが、銀行や信金でも、自分の口座から自分のお金を引き出すのに、ATMの営業時間外の場合は手数料が取られるのは合点がいかない。
私が南米のコロンビアに住んでいた頃、治安の悪さもあり、常にライフル銃を構えたガードマンが警備していたATM(ドライブスルーのATMもあった)からは24時間、手数料なしで現金を引き出すことができたことに比べると、治安の良い日本では、ATMを使用する際の手数料を失くしていいのではと思っている。
わずか110円のことだが、私はそう主張したい。ひとりの主張は「わがまま」だと受け取られてしまうので、皆さん、声を出しませんか!
PCでの「旅のメモ」の作業を再開していると、スマホが鳴った。あと5分で洗濯・乾燥が終わるとの合図だった。
5分後にコインランドリーに入って、そこのテーブルで洗濯物を畳み、「ジル」に持ち帰り、収納棚に入れて、無事に終わった。もう午後4時半を回っていた。
再び、JR鳥取駅を目指したところ、軽油1リットル137円の表示があり、それまでは140円以上のGSばかりだったため、そこで給油した。その後は150円になっていたので、ラッキーだった。
当初、今夜は鳥取から大山(だいせん)の間に幾つもある道の駅のどこかで車中泊すればいいやというようなラフな計画だったが、昼食時に見ていた観光パンフレットに、鳥取市から30kmほど南側の山間の若桜(わかさ)という田舎町に、SLのC12が保存されていると書かれていた。さらには、その近くには、ミニSLもあるとのことで、鉄道ファンの私にとっては垂涎の的だ。
JR鳥取駅の駅前を通過してからR29に入り、道の駅「若桜」(鳥取県若桜町)に向かった。
このR29は、山陽地方と山陰地方を連絡する国道(陰陽連絡路線)のひとつで、鳥取県側では若桜街道、兵庫県側では因幡街道と呼ばれ、それぞれ、R2とR9に接続している。
今回の中国地方の旅は、山陰を走って帰省し、山陽路で帰宅する計画だが、いずれは中国山地を抜けて走る日が来るのだろう。この若桜街道のR29を走りながら、そう思った。
若桜までのルートを鉄道網で表現するならば、JR鳥取駅からJR因美線(いんびせん)で下り、群家駅(こおげえき)で若桜鉄道線に乗り換え、その終点の若桜駅まで下り、その近くの道の駅「若桜」を今日のゴールに向かうとなる。
なお、若桜鉄道の起点は群家駅ではあるが、若桜鉄道線の半数の上り列車はJR因美線に乗入れ、鳥取駅まで運行している。
道の駅「若桜」に到着する直前に、車窓からC12が見えたので、道の駅の駐車場の端に「ジル」を停めてから、その近くまで走って行ったところ、駅構内には入れないようだった。
その手前で野良作業をやっている人がいたので訊いたところ、若桜駅で入場券を買わなければならないと教えてくれた。サンクス。
線路の向こう側に駅舎が見えたが、終着駅のためか、ホームからかなり先まで線路が敷かれていたので、ぐるっーと回りそうな気がしたので、「ジル」に乗って、線路の反対側の若桜駅に向かった。
若桜駅の駐車場に「ジル」を停めて歩いて向かうと、レトロな駅舎が見えてきた。その入口のドアを開けたところ、コーヒーの香りがした。