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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))

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■11/7(旅の6日目):京都府伊根町 ⇒ 兵庫県香美町香住区余部(道の駅「あまるべ」)


【走ったルート】 車中泊した駐車場から僅か200m先の道の駅「舟屋の里 伊根」に行き、そこから「伊根の舟屋」の景色を見渡した後、伊根湾まで下り、「舟屋」を見て回った。
 その後はR178で丹後半島を東からぐるりと回りながら、「蒲入(かまにゅう)展望所」、「経ヶ岬灯台(きょうがみさきとうだい)」に立ち寄り、昼食後は「琴引浜(ことびきはま)」に向かった。道の駅「くみはまSANKAIKAN」に立ち寄ってからは、城崎温泉の「地蔵湯」に漬かり、道の駅「あまるべ」で車中泊。【走行距離:122km】

【忘れられない出来事】 この日の朝と夕方に、決して忘れることのない印象的な風景に出会った。
 最初の風景は、伊根湾の地形と自然環境、そして人間の知恵と営みがマッチして出来上がった「伊根の舟屋」で、そのノスタルジックな情景を、時間を忘れて眺め続けた。
 二つ目の風景は城崎温泉の佇まいで、これぞ温泉地のゆったりとした温かなもので、それを目で楽しんだ後に湯に漬かり、そのゆったり感とまったり感、そして温かさを体で感じたこと。そして、行燈型の灯りに書かれていた「ゆかたの似合うまち 城崎温泉」のキャッチコピーが心に伝わった。

【旅の内容】 6時過ぎに目が覚めるまで、完全に熟睡していた。昨日の疲れは取れたようだ。小浜の魚の夕食と疲労回復の錠剤が疲れた体に効いたのだろう。
 「ジル」のキッチンの窓のシェードを開けると、この駐車場の少し先の海側に小さな公園があり、そこからは伊根湾の展望が期待できそうで、パジャマの上にベンチコートを着て、そこまで歩いていった。

 公園からは思ったとおり、伊根湾の東側の展望があり、亀島の海沿いに並んでいる舟屋の景観が印象的で、「ジル」に一旦引き返し、取ってきたデジカメで、何枚も何枚も写真を撮った。
 「ジル」に戻ってからは、コーヒー用の湯を沸かしながら着替えて、朝食の準備に取り掛かった。
 定番のホットサンドだが、その中身は、卵、チーズ、ハム、キャベツ、ジャムを挟んで、食パンの外側にはマヨネーズを塗って、栄養たっぷりに仕上げた。そしてバナナも。美味かった。

 先ほどの公園から奥の方へ道は続いていたので、「ジル」に乗って行ってみたところ、僅か200mほど先に何やら建物が見え、近付くと、「えっ?」とマジに声が出た。そこは道の駅「舟屋の里 伊根」(京都府伊根町)だった。
 昨夜、何故そこまで走らなかったのか、それが昨日の「4番目の後悔」、いや「大失敗」だったことに気付いた。それならば、車中泊した駐車場は何? そこはどこ? 道の駅の第2駐車場の表示はなかったが・・・。

 道の駅の営業はまだ始まっていなかったが、駅舎の海側の展望スポットに行ったところ、伊根湾を一望できた。舟屋の数は230軒ほどとのことで、多分、全国でも珍しい街並みだ。
 湾に沿って伊根の舟屋が立ち並ぶ景観が手に取るように見え、デジカメのズームを多用して、舟屋の写真を何枚も撮った。
 そういえば二日前、「三方五湖」の中の「三方湖」の湖畔で見た船小屋は、分厚い茅葺き屋根の2階部分のないノーマルな(?)船小屋だった。この旅ではさらに、別のタイプの船小屋を見るのかもしれない。

 この伊根湾は、東側に亀島と呼ばれる半島があるため、日本海側では珍しく南側に開いている湾で、さらには、湾口のほぼ中央に青島があり、それは防波堤の役割を果たしているようで、波や風の影響を受けにくく、湾内は穏やで、加えて、潮の満ち引きによる海面の差が小さいようで、その結果、1階部分が船の倉庫で、2階が住居や倉庫の舟屋が立ち並んだと推察した。
 展望スポットからは、舟屋に収納できそうにない大きさの漁船も見え、その船尾が舟屋に係留されていた。時が流れた結果なのだろう。

 舟屋の景観を十分に見た後、駅舎のショップの開店準備が始まったものの、営業開始時刻まではまだ時間があったが、お願いして、販売している商品を見せて頂いた。思ったとおり、多くの海産物が並んでいた。
 次回の旅で、伊根で車中泊するならば、必ず、この道の駅で泊まることにしよう。

 道の駅を後にして、舟屋が立ち並ぶ場所に向かうことにした。
 車中泊した駐車場の横を通過しようとした時、道の駅「海の京都 宮津」で見た巨大なバスコンが停まっており、今朝、車窓から阿蘇海や宮津湾を見ながらここに到着したのだろう。羨ましい。
 ここから宮津まで戻れないこともないが、ゴールの九州福岡県は遥か彼方にあるので、別の機会とした。その時は丹後半島を今回とは逆に回りたい。

 駐車場から、昨夜来た道を戻り、左折して下り切った所はT字路の交差点で、左前方の海側には伊根浦公園の駐車場があり、公園越しに舟屋が並ぶ景観が見え、そこの駐車場に「ジル」を停めた。
 道の山側に観光案内所があったので、スタッフと会話しながら、伊根の見所を教えて頂こうと思ったが、観光客相手で忙しそうな様子で、並んでいた幾つかのパンフレットを頂き、先ずは亀島側の舟屋に向かった。

 観光案内所の前の道が右に曲がったあたりから、左右に家が並び始め、道幅が急に狭くなった。
 対向車が来るならば、すれ違うのは無理で、どちらかがバックしないといけないほどだ。山が海に迫っていて、狭い土地のため仕方がないのだろう。
 いつも思うのだが、小さな漁港に面した漁村では、何故か、クルマのすれ違いが厳しい道幅の道が多く、その一方、大型船が寄港する港の道の道幅の広いこと、広いこと。雲泥の差がある。そして、漁村の中の狭い路地では魚の臭いが漂っていそうで、貿易港の幅の広い道では、様々な産業の臭いなのか、頭でそう思っているから、そんな気がしてくるのが不思議だ。観察眼を働かせる必要がありそうだ。

 伊根の狭い道の真上は、車高3m強の「ジル」で走っても、何かに接触するようなものはなかったが、慎重な運転で、気持ち速く走った。
 右の家は舟屋のはずだが、道側からはそのような雰囲気は感じられず、家と家の間から一瞬だが伊根湾が見えると、湾沿いを走っていることを思い出した。
 50mほど先に、海側の駐車場が見えてからは、対向車が来ないことが確認でき、安堵しながらも、素早く走り抜けた。
 そこから暫くの間は、左側は山の斜面になり、右側は駐車場から海になり、対向車が来ても、すれ違いが可能な空間が続いたが再び、左右に家が立ち並ぶ狭い幅員の道になり、それが繰り返した。
 それでも、海側の家が1、2軒分途絶えた時は、その空間から、海側の家が舟屋だったことを思い出させてくれた。

 今走っている道の最後は行き止りになるのだが、正面から普通車がやって来たので、どこかでUターンができるものと判断し、少し進んだところ、郵便局から赤い軽バンが出てきた。手を挙げて、運転手に尋ねたところ、キャンピングカーの大きさのクルマでも、この奥にUターンできる場所があると教えてくれた。これで心配はなくなった。ただ、対向車が来ないことを祈るのみだ。

 慎重に走る狭い道は、少しだが左右に曲がっていて先が見通せない。右カーブから左カーブに変わる瞬間に先が見え、対向車が来ていないことが分かると安堵する。