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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))

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 まもなく舞鶴西港が見えてくるはずだが、R27の海側には建物や倉庫が建っていて、港はなかなか見えなかった。一瞬だが、R27から直角に東港に向かう道路の交差点付近からは、停泊していた船が見えた。
 東港は海上自衛隊の基地で、一方の西港は海上保安庁の巡視船の停泊地のため、視界に入った船は多分、海保の巡視船だったのだろう。
 西港はコンテナ船の埠頭もある貿易港でもあり、漁港もある。関西に近いことが、この舞鶴港のメリットのようだ。

 西舞鶴の街の中でR27は直角に曲り、南下する。その交差点を直行してR175に入ると間もなく、道の駅「舞鶴港とれとれセンター」(京都府舞鶴市)の看板が見えたが、伊根に到着する時間が遅くなるため立ち寄らなかった。
 ここには日本海側の最大級の海鮮市場があるので、このあたりにいつか来ることがあれば、必ず立ち寄りたい場所で、その時は、海鮮で満腹になりたいものだ。

 R175はやがて山間を抜けて、京都府で一番長い由良川(ゆらがわ)を渡り、丹後半島をぐるりと回って鳥取県まで続くR178に右折して入ると、由良川の左岸を下り始め、若狭湾に出た。
 夕暮れに近い海の景色を見ながら暫く走っていると丹後半島の付け根の宮津の街に入った。

 道の駅「海の京都 宮津」(京都府宮津市)の看板が見えてきた時、立ち寄って小休止しようか、それとも先を急ごうかと迷っているうちに、入口を通過してしまった。
 やはり小休止したいと思い直した時、道の駅の別の看板があり、その交差点を右折してすぐ右側の道の駅の駐車場に入った。
 そこには駅舎はなかったが、駐車場の横には倉庫か何かの大きな建物があり、それは、交差点からの道を挟んだ海側のショッピングセンターの立体駐車場の様だった。
 トイレと駐車場のみの道の駅もあるため、ここは多分、その類の道の駅だろうと勝手に解釈したものの、ひょっとしたら、立体駐車場の周囲や裏側に、道の駅の駅舎があるのかもしれないが、そこまで歩いてゆく気力は失せていた。
 さらには、たとえ有っても、午後5時を回った今、もう閉店しているだろうと勝手に決め込み、「ジル」から降りずに、運転席に座ったままの小休止になった。

 日が暮れて、あたりは薄暗くなり始め、駐車場のライトの中に、目立つバスコンが見えた。
 それは大型バスのサイズで、それだけでもすごいのだが、その中央部が外側にスライドしていた。
 愛読しているキャンピングカーの月刊誌「オートキャンパー」で、このようなバスコンの内部写真を見たことがあり、ただでさえ広いダイネットがバスコンの左右に広がり、自宅のリビング並みになる仕様だ。キャブコンの「ジル」が小さく感じた。

 ぐたーっと小休止しながら、このままここで、車中泊しようとも思ったが、宮津の街の中の道の駅の駐車場のため、多少の喧騒があるかもしれないと思い、午後5時までに車中泊場所に到着するという「マイ・ルール」から外れるが、あと20kmほど走れば、伊根にたどり着くので、出発することにした。

 走り始めてからすぐに、天橋立(あまのはしだて)の案内標識があったが、そちらには行かず、R178を直進した。
 以前から妻が、天橋立に行きたいと言っていたので、今回ではなく、別の機会に妻と訪れることに決めていたためだ。それでなくとも今行っても、暗い中では天橋立は見えないだろう。

 R178をそのまま直進するとR176に入ってしまう交差点を右折して、半島の沿岸を走るR178に入った。
 若狭湾内の宮津湾が天橋立によって仕切られてできた内海(海跡湖)は阿蘇海(あそかいorあそのうみ)の沿岸を走っている今、夜の帳がすっかりと下りていて、夜間走行の車窓風景は暗闇だった。
 ここを明朝に走るならば、阿蘇海越しに天橋立の風景を見ることができたのにと、「最初の後悔」が始まった。そう思ってしまうと、この暗闇が恨めしく感じてきた。

 このR178の道幅はさほど広くなく、特に若狭湾沿いを走る際は、山側は崖で、海側はガードレールの道になり、車幅が2mの「ジル」の運転には注意を要した。加えて、多少のカーブが続く道で、対向車が来ない間はハイビームで道の先を照らしながら走るという余裕のない運転になった。これが「二つ目の後悔」だった。
 後日、この海沿いの道から見える景色を調べたところ、右側には宮津湾越の栗田(くんだ)半島と若狭湾越しの大浦半島、前方には伊根湾を形成する亀島(「島」は付くが島ではなく半島名)などの景色が広がっていた様だが、夜間走行を決行した結果、これらの景色を見る機会を失ってしまい、たいへんもったいないことをしてしまったのが、「三つ目の後悔」だ。
 さらに、海面から数メートルの高さの国道だと思っていたが、海面からの高さは1mほどで、若狭湾の海面の状況も見ることができなかったのも残念だった。

 伊根トンネルを抜けてからすぐに、R178からUターン気味に左折して、ぐるりと左回りで、伊根湾の方向に下り、その途中で左折して、トンネルを抜けて、今度は右折して、今日のゴールの道の駅「舟屋の里伊根」(京都府伊根町)に到着した。そこは古いトイレのある広い駐車場だった。
 丹後半島の幹線道路R178からかなり離れた場所のため、トイレのある駐車場だけの道の駅なのだろう。夜間走行して、やっとたどり着いた道の駅がこの状況とは・・・、かなり落胆した。

 この「キャンピングカーの旅」で初めて今、疲れを感じた。
 先ずは湯を沸かしてコーヒーを淹れて、スティックシュガーを1本入れて、自然とひと休みになってしまった。
 その時に思い出したのは、「キャンピングカーの旅」を始めた頃から「ジル」に積み込んでいた疲労回復の錠剤で、それを服用した。そして、夕食の準備を始めた。
 小浜での車中泊の際に隣のキャンパーさんからいただいたレンコ鯛をホットサンドメーカーで火に通し、小浜の「おさかなセンター」で買った鯖のから揚げを電子レンジでチンして、そして、おこわもレンチンして、湯を注げばできあがるインスタント味噌汁、海沿いでの車中泊らしい夕食が出来上がり、全てを平らげた。
 錠剤と夕食で、明朝には疲労回復しているだろうと期待した。

 夕食後に眠気を感じたので、今夜は早めに就寝しようと思ったが、「旅のメモ」だけは書き残さないといけないと思いながらも、途中で、寝落ちしてしまった。
 まだ午後11時だが、今日はもう、気分の限界って感じになり、バンクベッドに上がった。

【今日の一言】 愛読している月刊誌「オートキャンパー」に、キャンパーが経験した「キャンピングカーあるある」の特集を載せて欲しいと、切に思っている。