悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))
そこはまだ「三方湖」だったので、再び「水月湖」に向かった。やがて、「水月湖」の東の奥にある「菅湖(すがこ)」から伸びる半島の先端が見えてきた。その水道から「水月湖」のはずだ。
そのあたりの湖側にパーキングがあったので、そこに入って、「水月湖」を眺めてから、スマホでネットの「三方五湖」を調べたところ、驚いたことがあった。
それは、幅50mもある水道でつながっている南側の「三方湖」は淡水だが、北側の「水月湖」は汽水湖とのこと。俄かには信じられなかったが、水道には水流があり、塩分測定場所によることが、その理由なのかもしれない。いずれにせよ、目の前の自然の面白さを楽しんだ。
そのパーキング内でUターンしてから、R162に戻り、北上すると若狭湾に面した小さな海水浴場に出た。
そこはリアス式海岸の谷の奥のようで、そこから西に向かうR162は海沿いから坂を上り、その先には「世久見(せくみ)展望台」があり、その駐車場に入り、小島の浮かぶ美しい景色の写真を撮った。いい景色だった。
R162で小浜方面に向かっていたが、カーナビはその先から内陸に向かう県道を案内した。そちらの方が多分、距離が近いのだろうと思い、カーナビに従って走ると、やがて県道沿いの道の駅「おばま」(福井県小浜市)に到着した。
そこは小浜市街から離れた場所で、もちろん港も海もない。小浜らしくない場所だと感じたが、舞鶴若狭自動車道の小浜ICに近いことから、道の駅ができたのだろう。
ロードマップで確認すると、小浜市街までは2kmもない場所で、小浜港あたりならば駐車できる場所はあるだろうと考え、道の駅を後にした。
道の駅から小浜港方面に進むと、市役所の前に、NHK朝ドラ「ちりとてちん」の記念碑を見付け、走っていたのは反対側の車線だったが、路肩に寄せて停車して、デジカメでズームアップして写真を撮った。
この朝ドラは毎朝欠かさず見ていた。特に、青木崇高が演じる徒然亭草々(つれづれてい・そうそう)と貫地谷しほり演じる主人公の喜代美が結ばれるのを羨ましく見ていたのを思い出し、さらには、その草々の落語の中の「せをはやみ・・・」の意味を知らないままだったが、何年経っても記憶に残っている。
紀行文を執筆している今、この「せをはやみ」が気になり調べたところ、第75代天皇の崇徳院(すとくいん)が詠んだ百人一首77番の和歌の「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ」の発句(ほっく)で、「川の瀬の流れが速いので」という意味とのことだった。
そして、あの魚屋食堂の焼き鯖を食べたかったのだが、街の再開発で、その店舗はなくなってしまったとのことだった。この食堂のあった「いづみ町商店街」が「鯖街道」の起点だと聞いた。
「ちりとてちん」の記念碑からはどこにも寄らず、埋め立て地の川崎エリアにある小浜漁港に向かった。温泉に入るためだ。
漁港に面した広いスペースに数台のキャンピングカーが停まっていて、その前を通過して、温泉施設もある「御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館」の駐車場に「ジル」を停めた。
「濱の湯」はかなり遅くまで営業していることが分かったので、今夜の車中泊場所を探すことを優先した。
先ずは、この受付で、キャンピングカーで車中泊できそうな場所のアドバイスを頂いた後に、この施設の海側の広い駐車場に見に行ったが、早朝には釣り客がやって来そうな場所だったため、その喧騒で目が覚めてしまう気がした。それに、トイレもなさそうだ。
そこで、先ほど見たキャンピングカーが停まっている場所の方に歩いて向かった。
そこにはキャンピングカーが3台停まっていて、そのうちの1台が車外に椅子を出してコンロで湯を沸かしていた。私より高齢のその男性に、この場所について訊いたところ、問題なく車中泊できる場所とのことで、道を渡った反対側には、きれいなトイレもあり、ここでの車中泊はおススメとのことだった。
そのトイレを見に行って戻ってきたときに、こちらに来られてはどうですかと誘われてしまった。道の駅でないこのような場所をよく知っている人の誘いは、正直、嬉しかった。
先ずは温泉に入ってから、「ジル」でこちらに戻ってきますと応えて、「濱の湯」に戻った。
「濱の湯」は温泉ではなく「温浴施設」だったが、良い湯だった。最初に漬かった薬湯は、冷えて体がじわじわと温まる良い湯で、色々な湯に漬かり、かなりまったりしてしまった。
「ジル」を移動させ、先ほどのキャンピングカーの隣に停めて、「来ましたよ」と挨拶をしてから、お互いの自己紹介になった。
彼らは北陸を回ってから小浜に到着した京都在住の夫婦で、定年後のセカンドライフで「キャンピングカーの旅」を楽しんでいるとのことだった。
異なるキャンピングカーだったことから、ダイネットの仕様やDIYの話から始まり、お互いの趣味の話になると、私のパラモーターの「空の散歩」の話題になり、かつて、空撮カメラマンの多胡氏のお手伝いをした経験談を話したところ、多胡氏のことを知っていた。偶然はあるものだと思いながら、私が撮った空撮写真を「ジル」に積んでいるので、それをお見せするため、彼らを「ジル」のダイネットに案内すると、奥さんがミカンを持って来てくれて、和やかな雰囲気で、会話が弾んだ。
最後に、彼から、このあたりの湧水の情報を紹介して頂き、明朝、そこで、水を補給することにした。
色々とお世話になりました。サンクス。
この日の夕食は、小浜漁港での車中泊にも拘わらず、味付き鶏肉(鶏ちゃん)とサイコロステーキになった。冷蔵庫の在庫状況でそうなってしまったが、腹一杯になり満足した。美味いものはどこで食べても美味い。
【今日の一言】 キャンピングカーで旅をしている人とのゆっくりした雰囲気での会話は、この上なく楽しいものだ。