悠々日和キャンピングカーの旅:⑭西日本の旅(山陰(前編))
■11/5(旅の4日目):福井県南越前町 ⇒ 福井県小浜市 小浜漁港
【走ったルート】 道の駅「河野」から敦賀湾沿に南下し「フェリーターミナル」へ。敦賀の街を抜けた先の「気比の松原(けひのまつばら)」に立ち寄り、その後は敦賀半島の先端を目指し東海岸の県道を北上、「敦賀原発」の前を通過し、県道の行き止りに「ジル」を駐車して、プチ登山で「立石岬灯台」へ。
下山した後は、半島の南北の中央部分を横切った先の「水晶浜」から「美浜原発」を見渡し、そこから半島の北側の白木(しらき)漁港に行き、高速増殖炉「もんじゅ」を眺めた。
敦賀半島を南下した後はR27を走り、道の駅の「三方五湖」と「若狭おばま」に立ち寄り、小浜湾に面した温泉に漬かり、その近くの港湾内の空地で車中泊。【走行距離:153km】
【忘れられない出来事】 敦賀半島の先端の「立石岬灯台」に徒歩で向かう際に見た「クマ出没注意」の警告が気になりながらも歩き続け、誰にも会わない登山道で不安になったこと。わずか15分のことだが、現時点で、この旅一番の不安且つ緊張した時間だった。
【旅の内容】 道の駅に出入りするクルマのエンジン音やクルマのドアを閉める音で、5時に目が覚めてしまった。普段は気付かないが、静かな場所や時間帯では、クルマのドアを閉める音は意外に響くものだ。少しうつらうつらしていたが、5時半頃に起床。それでも6時間以上は熟睡していた。
「ジル」のバンクベッドは、厚さ10cmほどのマットで出来ていて、その広さは約1.8m×1.8mの畳2畳分で、その助手席の上に当たる側に敷布団を敷いて、毛布と掛け布団使って寝ている。その横には小窓があり、就寝時に閉めたシェードを開けると外は明るくなりかけていた。
ダイネット側のカーテンを開けて、梯子でダイネットに下りた。
パジャマの上に、秋から春に掛けての旅の際には常備しているベンチコートを羽織り、駐車場の海側の展望台まで行ってみた。
朝の日本海を眺めると、今日の天気も晴れだと言い切れるほど、空が広かった。
昨日は目の前の景色ばかりを見ていて気付かなかったが、右側の北の方角を見ると、丹生山地が日本海に落ち込むさまが手に取るように見えた。
そこには、昨年「ジル」で行った能登半島の旅の時に走った越前海岸沿いのR305が見えた。この展望台の直下は崖の木々で見えないが、そこに繋がっているはずだ。
このR305は、真横に見える日本海が荒れでもしたら、越波で塩水を被ってしまい、決して走ることはできないと直感で分かるような道で、こんな断崖絶壁や岩礁が続く場所に、よくぞ作ったと思えるほどで、明治になって漸く開通した道だ。それ以前は、道を通す技術がなかったのだろう。そんなことを思いながら景色を見ていた。
「ジル」に戻り、湯を沸かしながら、朝食の準備を始めた。
今朝は、定番のホットサンドではなく、旅の準備の中で買い揃えた食品のひとつの肉まんだ。
袋から二つ取り出し、ひとつはレンチンでふんわりと仕上げ、もうひとつはホットサンドメーカーを使って、ちょっと押さえた感じでの仕上りになり、コーヒーを飲みながら食べた。どちらも美味かった。
これからの旅では、肉まんは「キャンピングカーの旅」に必須の食料として加えることにした。
最後に、皮をむいた柿を食べた。満足した朝食だった。
この道の駅には、燃えるごみのゴミ箱があり、ちょうど朝の清掃が終わり、ゴミ箱が空になったので、「ジル」で溜まったゴミを捨てさせてもらった。サンクス。助かった。
旅に出ると「困ること」が三つある。
ひとつは、溜まったごみの処理だが、数日の旅ならば自宅に持ち帰るのだが、それ以上の場合は、どこかで捨てなければならない。そうしないと、キャンピングカーの中がゴミで溢れてしまい、臭いもしてくる。このところ、ゴミ箱を設置していない道の駅が多くなった様だが、それは、ゴミ箱がゴミで溢れていても、その周囲にゴミを置いてしまうマナー違反の人がいるからなのだろう。日本人として、見苦しさを覚える風景だ。
二つ目は、次第に溜まってしまう排水の廃棄だが、「ジル」には、飲み水用の「清水」を30リットル、それ以外の用途の「生活水」を80リットル、合わせて110リットルも積み込んでいるので、それを使えば排水が溜まってしまう。その廃棄は、家庭などからの排水が流れている下水があれば、そこに廃棄するのだが、そのような場所探しがたいへんだ。
三つめは、無くなる水の補充だが、名水のような湧水があればすぐに補充するが、通常は、道の駅やGSでお願いして、水を分けてもらっている。なお、その際に必要になるホースは「ジル」に積み込んでいる。これが結構、役に立つ。
話を「キャンピングカーの旅」に戻そう。
朝のルーティンのNHKの朝ドラを見終えてからの8時半頃に、お世話になった道の駅を後にして、敦賀湾の奥の西側半分を占める気比松原(けひのまつばら)に向かうことにした。
しかし、このままR8で向かうならば、越前海岸の真横の道を走れないことになり、それはもったいないため、少し遠回りになるが、R8を少し戻り、R305で海岸線まで下った。
穏やかな今日、波は殆どなく、安心して走ることができた。
途中で「ジル」を停めて、この雰囲気の道の写真を撮った。あと1ヶ月もしないうちに北風が強くなり、荒れた越前海岸になるのだろう。
やがてR8に合流して更に南下していると、フェリーターミナルが見えてきたので、少し立ち寄ることにした。
いつかは、ここ敦賀から日本海を走って北海道まで「ジル」を運ぶ船旅を楽しみたいと思っていることもあり、下調べをすることにした。
ここは、新日本海フェリーの「敦賀フェリーターミナル」で、苫小牧(とまこまい)や新潟向けに運航していて、若狭湾の西側の舞鶴からは小樽まで運行するフェリーもあるようだ。
苫小牧行きのフェリーの料金については、全長は5m未満の「ジル」とドライバーを含んだ運賃(2025年1月現在)は、37,500円~50,500円と季節により幅があり、妻とのふたり旅の場合は、12,000円~20,000円の追加になる。
豊富な時間のあるセカンドライフでは、時間を金で買う必要はないが、走って北海道に向かう費用とフェリーを活用した旅費を比べるならば、走った方が安価だが、船旅の魅力は強烈で、妻と北海道に向かう際は、フェリーを活用することに決めた。
ところが、後日、妻にその旨を伝えると「札幌まで空路で向かうので、そのタイミングに合わせて、本州を走って来てね」と、まだ働いている妻から言われると納得せざるを得なかった。
この港では、フェリーは夜中に寄港し出港するようで、今のこの時間は、フェリーは停泊していなかった。フェリーの写真を撮りたかったのだが、その代わりに、ターミナルビル内のフェリーの模型をデジカメで撮った。
ターミナルの2階から、フェリーが接岸する岸壁の反対側の北側の堤防を見たところ、大勢の釣り人が、不思議なことに数メーターの等間隔で、釣り糸を垂らしていた。