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自殺菌がかかわる犯罪

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 という意識があり、
「まるで子供の発想ではないか?」
 と思ったり、それこそ、
「まるで、中二病ではないか?」
 と言われるかも知れないと思えば、特に自分の刑事としての職業を考えると、
「こんな自殺菌のような発想を抱いていると人に知られるのは、まずいだろう」
 ということになるのだった。
 だが、自殺菌というものが、果たして、
「納得と、信憑性の狭間で、どこまで考えていいのかと思うと、その限界は、必ずあるように思える」
 ということであった。
 それが、
「限界」
 というものではなく、
「結界」
 というものだといえるのではないかと考えると、
「自殺菌というものは、他に何かを誘発させるきっかけではないか?」
 と考えられると思うのだった。
「ところで」
 と医者が口を開き、何かを言おうとしたのを、刑事も気づいて、
「何でしょう?」
 と聞くと、
「まだ、川崎さんは意識不明だとおっしゃいましたよね?」
 というので、
「ええ、そうですが」
 と不審に思って聴いてみると、
「これはあくまでも、可能性ということですが、もし、川崎さんの意識が戻れば、それまでの記憶を失っているという可能性があるかも知れませんね」
 というのであった。
「記憶喪失ということですか?」
 と刑事が聞くと、
「ええ、そうです」
「じゃあ、今までにも?」
「はい、今回のような自殺未遂をすると、たいてい、記憶を失っているんです。すぐにその記憶は回復するんですが……」
 とまた、少し黙り込んでしまった。
 どうやらこの医者には、たぶんに、演出的なところがあるようで、自分で
「演出し、それを演じる」
 という子供のようなところがあると見受けられたが、それは、悪戯心というわけではなく、
「これが、精神科医というものの特徴のようなものではないか?」
 と、それこそ、まったく信憑性のない考え方に見えるのであった。
 この時の精神科医との話はここまでだったが、
「また近いうちに、この先生とは話すことになるかも知れないな」
 という、根拠のない意識を持つ二人の刑事であった。
 そして、この刑事に、救急病院から、
「意識が戻りました」
 と言って連絡があり、、やっと話がでくるということで、その三日後に病院に訪れたのであった。

                 高層ビル自殺

 二人の刑事は、病院から最初、
「意識が戻った」
 ということで連絡があり、それで安心したということであったが、実際には、
「意識は戻ったが、事情聴取できるまでには、まだ少しかかる」
 ということであった。
 それは刑事にも分かっていたことであり、
「ただ、まず事情聴取をするためにも、まずは、意識が戻らないと何にもならない」
 ということは分かっているということであった。
 そして、その許可が医者から出た時、二人の刑事は救急病院に赴いたのだが、その時は、すでに集中治療室から、個室に異動していた。
 そして、まずは、主治医に話を聴かないことにはということで、主治医を訪れたのだが、その時、聞かされた言葉に、
「驚きはしたが、最初から分かっていたことのように思う」
 ということであったが、それは、そもそも、
「精神科医から言われていたことではないか?」
 ということで、
「分かっていた」
 ということだった。
 というのは、
「川崎という患者は、記憶を失っている」
 ということからであった。
 確かに、精神科医は、
「今まで自殺を何度も試みていたが、その都度、記憶を一時期失ってしまっていた」
 ということが多かったことを事前に話してくれていた。
 だから、そんなに驚くこともなく、
「ああ、やっぱり今回もそういうことだったのか?」
 ということになってしまったということであろう。
「どのような状態なんですか?」
 と聞くと、
「けがの様子は、意識を取り戻すまでの間にだいぶ回復はしてきているんですが、どうしても頭を打っているからなのか、記憶を失うのも仕方がないと思うのですが、どうも彼の場合は、何か、自分が意識して記憶を失ったかのように思えるんですよ」
 という。
「それはどういうことですか?」
 と刑事が聞くと、
「そういうのは、意外と珍しいことではなく、患者が、忘れたいという意識を、自分でコントロールしているというのか、記憶を失うテクニックを身に着けていると言った方がいいかも知れないですね」
 と言いながら、看護婦が出してくれたコーヒーを一口口に含んだ状態で、医者はいうのだった。
 刑事としても、
「本当にそんなことができるのか?」
 と半信半疑の状態で聴いていたが、少し考えれば、
「できないこともない」
 と思えてきたのだった。
 だから、そこで出てきた言葉が、
「それは、夢に近い感覚なんですかね?」
 と聞いてみたが、
「そうですね、何に近いかといわれえば、意識とすれば、夢に近いといえるでしょうね。一般的に言われている夢というのが、潜在意識が見せるものだというのが夢だということですよね。そうだとすれば、コントロールできるということが、ここでいう、潜在意識ということだと考えれば、納得もいくというものです」
 と医者がいった。
「なるほど、そう考えると、記憶の格納に、意識をコントロールさえできれば、意識的に記憶を失うこともできなくもないということになるわけですね?」
「夢というものは、皆さんの中で、万能なものだというものがあるのではないかと私は思っているんですが」
 という医者に対して、
「そうですね、夢だったらなんでもできるという意識はありますね」
 と刑事は答えたが、その中で、納得のいかない夢というのもあれば、
「夢に疑問を持つことで、その夢に信憑性というものを感じ、自分で納得できると考えられる」
 という考えに至ることもあったのだ。
「夢だから、なんでもできる」
 という感覚は、
「現実世界のことだから、そう思う」
 と考える人が多いかも知れない。
 しかし、医者の言葉を聴いているうちに、刑事は、医者が次にどのようなことを言い出すのかということが分かってきているように感じたのだ。
「夢だからと言って、現実ではありえないことは起こらないという意識を、夢を見ている時に感じたりすることって往々にしてあるものだといいます」
 といい、医者は、考えながら話しているようだった。
「現実ではありえない」
 という言葉は、それなりに重みがあった。
 一人の刑事は、その話を聴きながら、今朝見た夢を思い出していたのだ。
 その夢は、確か。
「これは夢だ」
 という意識が選定としてあり、
「夢だったら。空だって飛べるはずだ」
 ということで、飛ぼうと考えたが、
「夢なのに、恐怖が走った」
 と感じたのだ。
 だから、
「高いところから飛び降りる」
 ということは恐ろしいと考え、歩いているところからでも、
「自由自在に飛べるはず」
 ということで、身体を、
「空気中に投げ出す」
 つまりは、
「空気の中に飛び込んでみる」
 ということをしてみたのだ。
 すると、結局は、
「ただ宙に浮く」
 ということしかできず、
「空を飛ぶ」
作品名:自殺菌がかかわる犯罪 作家名:森本晃次