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「共犯の因果応報」と「一周回った完全犯罪」

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「ノルマ制ということでもないので、最低賃金で暮らすということもなく、安定した収入を得ることができる」
 ということで、
「タクシー会社を辞めて、万々歳だ」
 という人も一定数いることだろう。
 そうなると、
「誰がタクシー業界などに戻るものか」
 ということになる。
 だから、タクシー会社とすれば、
「なかなか、昔の社員が戻ってこない」
 と思っているに違いない。
 もちろん、
「世界的なパンデミック」
 というのが直接的な人手不足の理由であるが、実際には、
「旧来のブラック気質」
 というものが尾を引いていて、ひょっとすると、一触即発状態だったものが、
「世界的なパンデミック」
 というものに誘発されて、
「静かに破裂してしまった」
 と言ってもいいだろう。
 これが、
「タクシー業界の事情」
 というものであった。
「世界的なパンデミック」
 ということが原因ということであれば、もっと切実なのは、
「医療従事者」
 というものではないだろうか?
 これは、本当にひどいものだ。医者だけではなく、看護婦にも言えることであり、
「看護婦が、医療従事者ということで、その家族は、学校や会社で、いわれのない誹謗中傷を受ける」
 ということが実際にあった。
「奥さんが看護婦をしているということで、感染している可能性が高いと思われるので、あなたは、しばらく、出社せずに、自粛していてください」
 というものだった。
 もちろん、最低保障の給料はもらえるだろうが、それ以上に、
「奥さんは、社会のために、危険に身を晒して、感染のリスクを負いながらも、毎日過酷な勤務に従事させられているわけで、本来なら英雄ではないか」
 という思いがあるのに、確かに、会社としては、
「蔓延が一番怖い」
 というのは分かるが、ちゃんと、完全防備をしているというのに、このような誹謗中傷があっていいものなのだろうか?
 という世間の理不尽さを感じさせられるのであった。
 それを考えると、医者も同じことであった。
 会社や学校で、
「出社や登校ができない」
 ということで、世間からの冷たい目が向けられたのだ。
 確かに、心ある人たちは、医療従事者に感謝の気持ちを表していたが、それでも、言い方は悪いが他人事である。励ましにはなっても、それ以上に精神的に追い詰められていては、
「やってられない」
 と思うのは当たり前というもので、
「いくらいい給料をもらったとしても、割に合わない」
 と思うことだろう。
 確かに、誰も医療従事者の気持ちは分からない。
 特に、ワクチン問題もそうだった。
「医療従事者や、疾患がある人、老人を中心に先に接種する」
 というと、
「優遇されている」
 という見方が、最初だったが、中にはワクチンに対して、
「十分な治験も行われていないのに、いくら緊急を要する」
 と言っても、それはひどい。
 ということで、
「利権に絡むこと」
 という
「陰謀論まで出てきたほどだった」
 という。
 それを考えると、最初に接種する人たちは、優遇されているわけでもなんでもなく、
「体のいい実験台だ」
 ということになるのだ。
 そもそも、ワクチン接種に、国家は躍起になっていた。
 表向きは、
「蔓延防止」
 ということであるが、
「外国からワクチン割り当てをもらった分だけ接種しないと、自分たちの利権が保てない」
 ということになるからだろう。
 だから、接種をなるべく促して、
「もし何かあれば、国家が保障する」
 という甘い言葉に乗せられて、接種した人が、
「どう見ても、ワクチン接種によって死亡した」
 ということは一目瞭然であるにも関わらず、
「因果関係が認められない」
 などと言って、保障をしたくないという姿勢を見せたのだ。
「保障は国家がするから、接種をお願いします」
 と言っていた、舌の根の乾かぬ内のことである。
 それが、国家というものだ。
「陰謀論」
 というものが出てきても、それは当たり前のことであろう。
 そんな、
「ウソのような話を誰が信じるか」
 というレベルのものだったのだ。
 そんな人手不足は、
「2024年問題」
 ということで、深刻化しているが、実際にはそれだけの問題ではない。
 いろいろなところで、
「人手不足」
 という問題が発生し、
「騒ぎ立てても、世間が混乱するばかりだ」
 ということで、
「大っぴらにできない」
 というだけのことであった。
 だから、
「交番が街から減った」
 というのも、実際に何かあって、交番を利用しようと思わなければ気づくということはないだろう。
 それを思えば、
「交番が減った」
 ということを、市民はそれほど気にすることはないのだろうが、実際に、警備を行う警察としては、由々しき問題だと言ってもいいだろう。
 なぜなら、
「交番の数が減り、警察官が人手不足だ」
 といっても、犯罪は待ってくれないからである。
「交番の数が減って、犯罪が減るのであれば、これに越したことはなく、最初から交番の数を制限していた」
 ということであろう。
 交番の数が減ったのは、犯罪が減って必要がなくなったわけではなく、
「経費節減」
 という観点からであろう。
 その都度リストラが行われていたわけであり、この場合も、
「タクシー会社の人手不足」
 というものと、背景や事情というものが、多少違っているであろうが、似たようなものになるのかも知れない。
 だから、一度刑事を辞めた人間が、刑事に戻るということはありえないかも知れない。
 特に、
「理不尽だ」
 と感じて辞めた人間は、警察組織に恨みを持っていることであろう。
 特に、
「本当は辞めたくはなかったのに」
 という思いがあるからで、そこには、
「警察独特の、上下関係」
 であったり、
「階級制度」
 というもの、さらには、
「キャリア、ノンキャリ」
 という差別的な待遇。
 昔からある独特な、
「縄張り意識」
 と言われる、横の関係の確執などである。
 警察は、
「縦の関係だけではなく、横の関係のぎくしゃくしている」
 ということで、常人には理解できない環境下にあると言ってもいいだろう。
 そんな中、
「元刑事が殺された」
 という事件が起こった。
 それが、鈴木元刑事だということが分かったのは、鈴木元刑事の遺体が発見されてから、一週間が経ってのことだったのだ。

                 第一発見者

 二十年という時の経過は、実にあっという間だったような気がする。
 しかし、それは、
「いつもそばにいる人に変化がない時」
 ということになるのかも知れないと、清水警部はそう感じていた。
 清水刑事は、二十年前の事件から数年後から、所轄を転々とするようになり、その間に、昇進試験を受けて、今は警部に昇進していた。
 ただ、もう少しすれば、
「定年退職」
 ということで、本人としても、
「その時を静かに迎えられることを願っている」
 ということであった。
 警察の仕事というのは、
「我々が暇だということは、それだけ世の中が平和だということだ」
 というので、
「暇であることを半分は願っている」
 と言ってもいいだろう。