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もろ刃の剣の犯罪

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 そんな彼が設計したのが、今から3年前に都心部にある、中心ターミナル裏手にできた、
「矢冨公園」
 という、
「都心部での、憩い公園」
 だったのだ。

                 耽美主義

「矢冨公園」
 を設計し、約2年くらいで出来上がったのだが、その場所は、元々、あるゼネコンが、「自社ビルを建設する」
 ということで計画していた場所であった。
 しかし、その計画が、建設のためと考えて前もって手配していた下請け会社が、
「不当たりを出した」
 ということで、
「工事を請け負うことができない」
 ということになり、結局、
「ビル建設」
 という計画自体が、暗礁に乗り上げてしまった。
 そうこうしているうちに、下請け会社が破綻してしまったということで、他の会社から吸収合併されたのであった。
 しかし、これは間が悪いことに、その吸収合併した会社というのが、工事を計画していた会社と、ライバル会社だったのだ。
 そのために、その会社を下請けにしようとしていた計画すら、まったく白紙になってしまったのだ。
「今から、他の下請けを探すわけにもいかない」
 ということで、ビル建設を諦めざるをえなくなり。結果、
「土地を売却する」
 ということになった。
 ちょうど、
「公園建設をもくろんでいた」
 という市とすれば、
「その土地が売りに出されている」
 ということで、買い上げに成功したというわけであった。
 ちょうど、まわりの公園となっているところを、
「中心街改造計画」
 という中にあることで、
「元からあった公園を潰して。ビルにする」
 ということが決定したことで、ちょうど、公園になるようないい土地というものを求めて、物色しているところだったのだ。
 しかも、その場所は、元々公園があったところよりも、駅に近く、ビルを四方に囲まれていることで、
「ビルの中庭」
 といってもいいところで、ただ一つは、
「日当たりが若干悪くなる」
 というのが欠点だということであったが、それも、すぐ近くに、
「地下街の入り口がある」
 という利点があることで、補えると市は考えたのだった。
 その計画を請け負ったのが、佐久間教授の大学で、
「佐久間教授のデビューとしてはふさわしい」
 ということになったのだ。
 それを聴いて、佐久間教授も、
「相手にとって不足なし」
 と考えたのか。彼なりの工夫というものが、公園設計に、かなり生かされたようだった。
 彼は最初に、
「ここでは日当たりが悪い」
 ということは見抜いていた。
 他の設計には、それほど苦労はないということで。まず最初に、
「日当たり問題から取り掛かる」
 ということで、
「少しでも、日当たりがいいように」
 という計画を立てたのだった。
 さすがに、佐久間教授が、今まで自分の頭の中で温めていた、いろいろな草案というものがあり、今回の、
「日当たり問題」
 というのも、
「彼の草案の中にあった」
 ということで、それ以降の計画もうまく出来上がり、市の方からも、
「これは素晴らしい」
 ということで工事に入ったのだ。
「見えないところに工夫が施されている」
 ということであったが、見えるところにも、その効果てきめんなところがあった。
 それが、
「芝生を使ったもの」
 ということであり、前述のように、
「芝生を張り巡らせ、森を作らない」
 ということを基本に作るようにしたのだ・
 それが、この街の、
「モデルコース」
 ということになった。
 それから、この街で、
「老朽化による、大規模整備」
 を行っている時、
「なるべく、木や林を植えない」
 という設計になっていた。
 場所によっては、芝生ではなく、
「花時計」
 というものを作ることで、
「花壇の様相を呈している」
 ということで、光が当たるきれいな公園が出来上がった。
 その時、そばには小さな噴水を作ることで、
「夏の暑さをしのぐ」
 ということも計算されていた。
 花には新鮮な水が絶えず当たるということになり、公園の中心部に大きな噴水と作るよりも、
「花との共存」
 という形での、
「明るく広々とした公園」
 というものを作り出していたのであった。
 それが、結局、
「まわりをビルに囲まれた場所であったとしても、光が当たるがごとく、ビルから見下ろしても、ビルを見上げても、生命の源といってもいい明るさに満たされた公園」
 ということになるのであった。
 そんな公園が、全国でも話題となり、
「K市の公園は、他の自治体でもモデルコース」
 ということで、手始めに、
「県下では、K市をモデルに」
 という県からのお達しがあり、
「人口20万人以上の市には、少なくとも一つは、これに似合った公園を作る」
 ということになったのだ。
「県下で、人口20万以上の市というと、5つである」
 ということで、佐久間教授が、その設計を担うことになったのだ。
 もちろん、K市においても、
「この矢富公園をモデルとした公園をあと2つは作る」
 ということになった。
 K市というのは、県庁所在地ではないが、県下では、
「県庁所在地に次ぐ第二の都市」
 ということである。
 そもそも、大都市が隣接しているところで、
「K市へのベッドタウンとすれば、少し遠い」
 というところであったので、
「市町村合併ということが叶えば、かなり潤うのに」
 ということで、
「人口が多い街の4つが合併するだけで、政令指定都市になりえる」
 ということであったが、そのうちの一つの市が、かたくなに拒否していたのだ。
 しかし、
「バブル崩壊」
 の折りに、それまで、
「工場の誘致」
 によって、潤っていた市の財政が、
「工場の撤廃」
 というのが、複数起こったことで、市の財政が立ち行かなくなった。
「しょうがない」
 ということで、他の市が勧告したように、
「市町村合併するしかない」
 ということで、今のK市が出来上がったのだ。
 K市の面積の半分を持っていた、元々反対していた市とすれば、
「何とか、一つの行政区を持つことができる」
 という妥協で、何とか、K市が出来上がったということだ。
 とはいえ、財政逼迫ということでの合併だったので、それほど大きなことが言えるわけもなく、公園建設についても、しょうがないことになったのであった。
 それが、K市の、?区というところであったが、この?区では最近、
「芸術的な街」
 ということで、生まれ変わっていたのだった。
 元々、住宅地というには、
「人が住める範囲が少ない」
 というところであった。
 というのも、山間部が多く、
「山を切り開くには、予算がない」
 ということで、交通の便のいいところは、住宅街に生まれ変わることができたが、どうしても、山間部に行くと、そこは、森や林というのが、乱立していて、
「開拓するには、難しい」
 ということであった。
「それならば」
 ということで、大きな池があるところを切り開いて、
「湖畔のペンション群にしよう」
 という計画があった。
 バブル崩壊」
 というものから、すでに、20年以上が経っているので、さすがに、
「工場誘致」
作品名:もろ刃の剣の犯罪 作家名:森本晃次