失せ物探し 探偵奇談26 後編
「人形っていうのは古来から魂の入れ物だからなあ。ひな人形の始まりも、人間の身代わりという歴史があるし」
「でもさあ氏家さん、これって人形じゃなくて、絵じゃん。しかもその絵を更に写真にとったものでしょ?そんなものにも念てこもる?」
「なんていうのかねえ。絵に描いたものは、確かに実態のあるものじゃないね。でも、絵に描いてもいけないものってあるんだよなあ」
「絵であっても、効力があるってこと?」
人形に憑いた念が、絵にまでこもっているということか?
「そう。語ってもダメ、文字にしてもダメ、絵にしてもダメっていうものの類かなあ。念が強すぎるのか、描いた人の思いが強すぎるのか…」
でも人形だけじゃないね、と言い、氏家はお湯が沸いたポットから、急須に湯を注いだ。視線は手元だが、話は颯馬に向かって続けてくれる。
「念が入りこみやすいのが人の形ってだけで、いろんなものに入るからなあ。過去にさ、眼鏡っていうのもあったよ。戦時中だかの古いやつ。遺族がおまえんとこの神社に持ち込んだんだって」
「眼鏡?」
「眼鏡を通して、その魂が現世を見ている、みたいな。あれもレアだったなあ。颯馬んとこのじいさんが御祈祷して、持ち主に返したはずだ」
それを聞いて颯馬は思い出す。以前、お化け屋敷の調査をしたとき、大きな柱時計が魂の入れ物となっていたことがあったっけ。
(あの寮…伊吹先輩が、昔野球部が使用していたときから不可思議な現象が起きていたって言ってたな。しかもそれが原因で閉鎖したって。そこまで深刻だったのなら、問題を解決してもよさそうだけど、結局未解決のまま終わっているし、瑞くんが魅入られたことから現在進行形で続いてるってことでしょ?)
この写真そのものに憑いた念なら、写真を供養すればいいのだろうが、寮そのものに問題があるのだとすると話は変わってくる。どうすれば解決になるのだろう。写真を供養しても逃げられない。そんな気が颯馬にはした。
作品名:失せ物探し 探偵奇談26 後編 作家名:ひなた眞白