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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 後編

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てのなるほうへ



部活を終えたその足で、颯馬は沓薙山(くつなぎやま)のふもとにある公民館を目指していた。ここの館長である氏家(うじいえ)は神社の行事などでも面識があり、そして古物の蒐集という趣味がある老人だった。仮にも呪物を神聖な山へ持ち帰るのは憚られたし、呪物を集めている風変わりな人達が毎日出入りしているわけでもない。瑞の様子を見ると深刻なようだから、早めに解決出来るに越したことはない。

「おお颯馬じゃないか」

閉館間近だったが、氏家は颯馬を快く受け入れてくれた。生まれたときから颯馬を知っている彼は、孫のように颯馬をかわいがってくれる。事務員の女性が「お先です」と帰るのを見送り、颯馬は本題に入った。

「氏家のおじさんはこういうの詳しい?」

瑞から受け取った例の写真が撮られたスマホの画面を見せる。一応、念のため、周囲には結界を張っている。颯馬の力で、スマホから悪い物が抜け出すこともおそらくないから、氏家に障(さわ)りはないはずだ。

「うん?こりゃ写真か?」
「そう。写真を更にスマホのカメラで撮ったんだけど…これって日本人形でしょ?」
「所謂、市松人形ってやつだな。絵だから判別は難しそうだが、かなり古いなあ。着せ替え人形として、小さい子が遊んでいたやつだな」

これがどうかしたのか、とメガネを外して氏家が尋ねるので、颯馬は正直に答えた。

「なんか、これ見て呪われた子がいるんだよね」

呪いならおまえのじいちゃんに聞けばいいだろう、と氏家は笑う。

「だめだめ。また変なことに首突っ込んでからに、ってド叱りされるもん」

祖父は怖い。本当に怖い。颯馬は一生頭が上がらないと思う。
神主としての力を持っているし御祈祷もするから、「こういうの」には詳しいだろうけど、祖父は面白半分でこういったことに関わることをすごく嫌うのだ。たとえば肝試しだの降霊術だの。そういった悪ふざけで痛い目みた連中に対しては、震えあがるほどに激怒するのだ。