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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 後編

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紫暮の実習期間が今日で終わる。夕方の弓道場はいつもと違い賑やかな声が溢れていた。

「ご指導ありがとうございました」

弓道場の外で、部員全員が紫暮を見送る。花束を手にした紫暮は、部員一人一人の顔を見渡し微笑んだ。実習を終えたその足で京都に戻らねばならないとのことで、スーツケースを傍らに置いている。郁は寂しさにつんとする鼻をすすった。

「こちらこそ、有意義な時間をありがとうございました。みんなと関われて一緒に稽古した時間はとても楽しかったです。初心に返ってたくさん学ばせてもらいました。夏の大会、悔いのないよう頑張って」

はい、と部員らが声を揃えてその激励に応えた。

「瑞も悲しいだろ、明日から須丸先生おらんぞ」
「ふん、誰が!せーせーするね!」
「そんなこと言って寂しいくせに〜」
「寂しくないし!」
「嘘つけ瑞〜」
「さ、寂しくないし…」
「え?泣いちゃった?」
「おいそこ、副将に意地悪すんなー」

瑞らがぎゃあぎゃあ騒いでいる合間を縫って、紫暮が郁と伊吹のそばにきて笑う。

「二人には何て言うのか…公私ともに世話になったというより巻き込んでしまったというか。ありがとう」

紫暮はそう言って苦笑した。思えばいろいろあった。短い期間に随分濃い時間を過ごしたと思う。授業や部活以外でも関わることが多かった。伊吹は進路指導でも随分世話になったと言っていたっけ。

「俺達こそ、たくさん助けていただきました」
「先生のこと、忘れません。ありがとうございました」

頭を下げた郁と伊吹に、紫暮は優しく微笑んだ。