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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 後編

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「弟のことをよろしく頼みます」

そんなことを言われ、郁は伊吹とともに恐縮してしまう。

「しかしあの瑞がなあ…」

そう言って紫暮がまじまじと郁を見つめた。

「な、なんでしょうか!」

真正面から見つめられ、郁は大いに戸惑った。紫暮は膝を折って視線を合わせると、少しだけ顔を近づけ声を潜めて言う。

「一之瀬さんが思ってる10倍くらいは、あいつチョロ甘いと思うよ?」
「え?」
「早く骨抜きにしてやんなさい。もうだいぶ抜かれているとは思うけど」

こうして紫暮は去って行った。たくさんの学びを、郁らの心に残して。




「まだ泣いてんのか瑞」
「誰が…!寂しくないもん!」
「おまえ、なんかまだポンコツ?」

伊吹の笑い声が夕焼け空の下に響いている。郁は、紫暮の去った寂しさと、これまでに積み上げてきた経験を思いながら、決意を新たにする。

一日でも長く、先輩達と弓を引けるように。

それぞれの決意や戸惑いをつれ、夏が始まろうとしている。








END