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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 後編

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「…俺や姉ちゃんとは、兄弟じゃなくなっちゃうってことじゃないの?」

不安の一端を口にする。こんなことを言うのは情けないが、やはり自分にとっての一番の不安はそこなのだと瑞はわかっている。もう、この人の弟ではなくなる…。

「そんなものは書類の上だけの話だ。死ぬまで家族で、兄弟だよ」

紫暮はそんなことは問題ではないとでも言いたげな軽い口調で笑った。

「でも戸籍が変わるって…結構大きなことなんじゃないの」

苗字が変わるだけだ。それなのに、瑞は不安でたまらなくなる。

「別に何かが変わるわけじゃない。ただ、大切なことだから瑞にも知ってもらいたかった。話すのが遅くなったことは、ごめんな」
「それはいいけど…」
「俺はずっとお前の兄ちゃんだよ。家族が困ってるときは、絶対に助けにいく」

吐露してくれた兄の気持ちに嘘は一切ないだろう。だけど、瑞にはわかる。兄はたぶん、瑞の思いも汲んでくれたのだ。瑞にとってのこの大切な場所、祖父母との思い出、それらを失うことを強烈に恐れている自分のために、兄はここを守ろうとそう思ってくれているのだ。

(きっといっぱい、悩んだんだろうな…)

兄には、かなわない。
瑞はたぶん、生まれて初めてそう思った。器の広さも、先を見通す力も、人の内面を見抜く力も、行動力も。男としても人としても。いつだったか、伊吹が言った。おまえの兄ちゃんほんとかっこいいな、と。瑞には紫暮に対する複雑な反抗心しかなくて、それが兄の内面を読み取る目を曇らせていた。悩んで苦しんでいたかもしれない兄の思いに、瑞は甘えていた。

そうだ。自分は、本当に甘やかされて育ったのだ。兄には厳しくされてきたという思いしかなかったけれど、年の離れた弟である自分は、これ以上ないほど愛されて甘やかされてきたのだと、今やっと素直に受け入れられた。

「…ありがとう。そうやって、色んなことを、考えてくれて」
「うん?」
「俺は何も考えてなくて…甘やかされてるのをいいことに、反発して好き勝手して…俺、ご、ごめんなさい…」

自分はどこまでも子どもだった。情けないやら寂しいやらいろんな感情がこみあげてきて、瑞は両手で顔を覆った。