失せ物探し 探偵奇談26 後編
あの日保健室で、彼は同じことを言った。郁の顔を間近で見つめながら。あのときと同じだ。赤くなった耳。余裕のない困った表情。そんなことを言われたら、どきどきしてしまう。どうしよう、なんて答えればいいかわからない。彼の意図が読めない。パニックだ。言葉に詰まった郁からふと顔をそらし、瑞は立ち上がった。
「…さき戻るね」
「うん…」
遠ざかる背中をぼんやりと見送る。食堂の椅子に足をぶつけて躓いている。なにしてんのーと同級生に笑われている瑞。
あれ?ポンコツ…治ってなくない?
まだどきどきしている心臓をおさえながら、郁は大きく息を吸った。落ち着こうとするのだが、頭の中は大騒ぎだ。
(なんなの???!!!わかんない!!!!)
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作品名:失せ物探し 探偵奇談26 後編 作家名:ひなた眞白