失せ物探し 探偵奇談26 後編
そのとき――
瑞の指先に、かすかに何かが触れた。
ろ く ご ー …
「きみの名前は…」
よ ん さ ん に ー …
「かやしま…」
い ち …
「かやしま…しずこ…ちゃん」
はっと息を呑む気配がした。それは驚きと、そして微かな喜びを含んだ気配だった。
沈黙。それはとても長く感じた。
あ た り …
か え し て あ げ る …
背中にすっと、何か冷たいものが当たる。小さな手のひらのような。それが離れた瞬間、全身を覆っていた浮遊感が消えた。はっきりと、自分の輪郭を認識出来る。ひえびえとした冷気が自分を取り巻いていること、自分を射るように見つめる視線があること、それがわかる。この感じ。力があるゆえの感覚だ。
あ り が と う …
耳ともで囁かれたとき、暗闇がぱっと弾けた。
作品名:失せ物探し 探偵奇談26 後編 作家名:ひなた眞白