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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 後編

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瑞の眼前を、映画の早送りの様に映像が流れていく。

焼け野原の町。戦争。貧しい家。母と、弟。

これは少女の記憶か。映像と一緒に声が聞こえてくる。

全 部 な く な っ ち ゃ っ た …

バラック小屋の粗末な布団に横たわる少女。

お 母 さ ん が 好 き っ て 言 っ て く れ た 歌 も う 歌 え な い

少女の身体には包帯が巻かれている。ところどころ血が滲んでいた。

あ や と り が 上 手 だ っ た 指 も な く な っ ち ゃ っ た

手に巻かれた包帯。指先が、ない。瑞は呻いた。少女は今まさに死にゆこうとしているのだ。

も う 走 れ な い 

少女には右足がなかった。きっと空襲で、彼女は。

き れ い な お 花 畑 見 た い な あ

欲しいな、欲しいな、と少女は潰れた瞳から涙を流した。

も う 全 部  な く な っ ち ゃ っ た …
お 母 さ ん も 死 ん じ ゃ っ た …
わ た し ひ と り ぼ っ ち だ …
な に も な い …

瑞は少女のそばにしゃがみ込んだ。だらりと垂れた手に触れた。命の灯は、もう微かにしか残っていないことがわかった。それでも瑞は、語り掛けずにはいられなかった。

「大丈夫だよ…泣かないで…」

大丈夫、と安心させるように繰り返す。

「きみがこれから行くところは、きみの欲しいものがなんでもある…きみは自由で、体もとっても元気だ。行きたい場所に行って、会いたい人にちゃんと会えるからね」

本当に?というように少女の視線が瑞を捉えた。