失せ物探し 探偵奇談26 後編
今夜も同じ夢を見る。幼い少女が、見たことのない和室に座り、棚や机に美しい物を並べて笑っている写真。瑞に背を向けているのは、白いブラウスを着た背中。痩せている。首筋が見えるくらいに切りそろえた髪。顔は見えない。
(きれいだな…)
瑞は部屋を見渡す。部屋を埋めつくす「美しい物」。生けられた咲き乱れる花、見るからに高価そうなバイオリン、美しいグラスに注がれた水、石をちりばめた装飾品、金の杯、水槽を泳ぐ名前も知らない熱帯魚…。これらはすべてこの子が集めたものなのだ。
たくさんの「美しい物」の中に、ひときわ目を惹くものがある。盆に乗せられているのは、拳ほどの大きさの青みが勝った石だった。つるりと磨かれた表面は光を反射し、中には一切の濁りがない。
「だからそれは俺のだって!」
思わず声を上げた瑞に、背中を向けていた少女が立ちあがる。
「わたしのものよ」
声は怒りを、含んでいる。
「ずるいでしょう!あなたはたくさん持ってるじゃない!」
怒らせた、とたじろいだ瑞の足元がぐにゃりを歪む。夢が終わる。
(くそっ…!)
まだ、返してもらってないのに!
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作品名:失せ物探し 探偵奇談26 後編 作家名:ひなた眞白