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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 前編

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「二階は男子、三階は女子が使用。各階のトイレ、一階食堂と浴場は共用だ。一階の事務室は先生達の待機所になる。とにかく生活できるよう片付けていくぞ。破損している箇所なんかがあれば報告してくれ」

伊吹に言われ、部員達が散っていく。瑞はゴミ袋を片手にペアになった男子部員と一緒に各部屋の不要物やごみを集めて回る。
かつては寮だったという建物の三階は、廊下の両脇に部屋がずらりと並んでいる。中には二段ベッドが二つずつ壁に備えられ、机と椅子が四つ。そのベッドの脇に置かれており、四人部屋として使用していたことが見て取れた。そんな部屋が三階には201〜208と番号を振られた8部屋があり、廊下の真ん中には古めかしいトイレと洗面所。西の端には談話室とプレートの書かれた十畳ほどの広い部屋がある。給湯室、リネン室が並び、寮と言うより小学生の時に臨海学校で訪れた自然の家のような雰囲気だった。

(去年の合宿、楽しかったなあ)

絨毯の上のごみを拾い掃除機をかけながら、瑞は思い出す。
たった一年のことなのに、一年前の自分と今の自分を取り巻く環境は随分変わったと思う。そして自分自身も。いろなんことがあった一年だった。本当に、いろんなことが。

(今もこうして、みんなと弓を引けてる…当り前じゃないんだ)

この当たり前の生活を守るために、幾多を手放した。しかし、手放したもののその倍、受け取ったものもある。大切な人とともにいられることが、こんなにも尊い日々だと、一年前の瑞はわからなかった。

そして今、先輩達との最後の夏が始まろうとしている。負けたら終わり、というシンプルなルール。あまり考えすぎて気負うのはよくないと思いつつ、やはりその事実が重くのしかかっている。
容赦なく時間はすすむ。変化していく。いなくなる人、残される者、突きつけられる自身の将来への選択。そして、好きになったあの子との関係。

掃除機をかけながら様々な思いに考えを巡らせているうちにぼんやりしていたようだ。二段ベッドの下に掃除機のヘッドを突っ込んでいた瑞は、その先に何かが当たったことに気づき、膝をついて覗き込んだ。

「なんだこれ…」

ヘッドにおされて壁のほうに押しやってしまったのは段ボールのようだ。難儀しながらそれをこちらへ引きずり出す。