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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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失せ物探し 探偵奇談26 前編

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痛い。本当に目から火花が出たかと思った。瑞は両手で額をおさえながら、暗澹たる気持ちで保健室に向かう。隣の郁が心配そうに声を掛けてくれるが、瑞は自分が心底情けなくて顔を見られない。

(サイアク…)

郁の前でこんなかっこ悪い姿をさらすことになるなんて。あのガキンチョ許すまじ。あと颯馬も。

「失礼します」
「はいはい」

優しいおばちゃんといった風貌の保健医は、ちょっと待っててねーと瑞と郁に声をかけた。椅子に座って治療を受けている男子生徒がいた。膝を擦りむいたらしく消毒してもらっている。

「おでこ、大丈夫?ちょっと見せて」

ソファに腰掛けると郁が言った。

「でもこれ、手はずしたら大出血とかしてそうで怖いんだけど…。あと前髪もげてるかも。はげたかもしんない」
「ぶつけたくらいではげはしないよ多分。それに血は出てなさそう」

郁に言われてそっと手をのけると、たんこぶになってるねと郁が言った。心配そうに額の様子を見てくれている。

一之瀬は、いまでも俺のことを好き?

そう聞いてしまいたい衝動に駆られる。長い時間を一緒に過ごす中で、郁のたくさんの表情をみてきた。同じように郁も、瑞とたくさんの経験を重ねた。自分のどこを好いてくれているのかは、瑞にもいまいちよくわからない。情けないところも弱いところも、たくさん見せてきてしまったけれど。彼女は幻滅していないだろうか。好きだと言えない情けない部分も含めて。

「…一之瀬さ、伊吹先輩の言ってたこと、守ってね」
「え?」