小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

未来救世人

INDEX|6ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

 という風に思いたいということで、何とか生きていられるということであろうが、もし、これが、
「死というものと同じように、生きている間。苦痛というものから逃れることができないだろう」
 と思うのだとすれば、
「死を選んでもいいのではないか?」
 と考えるだろう。
 それが、自殺というもので、
 子供時代の方がその理屈を分かりずらい」
 ということになり、そういう意味で、自殺というものは、
「大人が分かってする自殺」
 に比べれば、
「子供の自殺は、まだ先が長いだけに、どちらに転ぶか分からない」
 ということで、
「早まった」
 ということになるだろう。
 ただ、自殺をする場合に、
「死んだ人間の心情」
 というよりも、
「死んだ人間の立場であったり、責任の重大さ」
 というものが大きいというものだ。
 つまりは、
「生きている人間にとっては、その人が与える影響というものが、いかに社会を動かすか?」
 ということになる。
 この場合の、
「社会」
 というのは、
「曖昧で漠然としたものではなく、明らかに、その人の目先の問題」
 ということで、実は分かりやすいものだということになるのである。
 そういう意味では、
「自分勝手」
 という言葉があり、それが、あまりいい言葉として扱われないが、結局、
「人間というのは、わが身が大事」
 ということで、もっといえば、
「自分を大切にすることができない人間に、他人を大切になどできるはずがない」
 という言葉があるが、ドラマなどで言われる、
「きれいごと」
 ということではなく、
「真理なのではないだろうか?」
 ということになるのであった。

                 もう一人の少年

 山岸研究所には、元々、同じような、
「超能力を持った少年」
 というのがいて、名前を、
「桜井利治」
 という子供だった。
 その子は、自分に超能力が備わっていることを怖がっていた。
 だから、
「最初はそんな能力があることを、まわりに知られたくない」
 と思っていたのだ。
 それを知られると、
「悪の組織に利用されるのでは?」
 と思っていたからだ。
 だから最初は病院というのも怖かったくらいで、
「病院にいくと、実験台にされてしまう」
 と思っていたのだ。
「その根底にあることが何なのか?」
 ということが、自分でも分かり、それが、
「一種の病気のようなものだ」
 ということを知ると、そこまで怖いということを感じなくなっていたのだ。
 桜井少年は、小学生の頃から、よくテレビでアニメを見ていた。
 それは、桜井少年に限らずであり、犬飼少年も同じことだったのだが、それは、
「孤独がそうさせたのかも知れない」
 というのは、
「桜井少年が、小学生の時、妹が亡くなった」
 ということからであった。
「なぜ死んだのか?」
 というのは、詳しい理由は分からなかった。
 ただ、小さい頃から身体が弱く、親が、かなり気を遣っていたということだけは分かっていた。
 実際に、
「どこか空気のいいところに療養に行っていた」
 ということで、妹と一緒にいた時期が少なかったということで、
「その思い出のようなものは、ほとんどなかった」
 と言ってもいいだろう。
 後になってから、
「妹は、生まれつき身体が弱く、長くは生きられないということは分かっていた」
 ということを両親が知っていたということを聴いて、
「あまり一緒にいるという時期があったわけではない」
 と考えると、
「寂しさだけではない、何か他のものが感じられた」
 ということだった。
 その証拠に、
「妹が死んでから、自分に何か変調が起こってきた」
 というのを感じるようになった。
 その変調というものが、
「何かいろいろな予感めいたものが備わってきたように思える」
 ということであった。
 ただ、予感があるのは、
「あまりいい予感」
 ということではなく、感じることは、
「不安に感じる」
 ということであったり、
「怖いと思うこと」
 なのであった。
 それは、まるで、夢を見た時のことのようで、
「起きて見る夢というものではないか?」
 と感じるのであった。
 ただ、予感はあるのだが、それが現実になることなのかどうか、気になっていた。ただ、一度だけ、家族の前で言ったことが、真実になったことで、両親は怖がったかのようで、さっそく、この山岸研究所に連れてきたのだった。
 親がどうして、
「山岸研究所」
 というところを知ったのかどうか、詳しいことは分からないが、桜井少年は、子供心に、
「ここが精神病院なのではないか?」
 ということは分かったようだ。
「何か気持ち悪い臭いがする」
 ということを感じていた。
 それは、外科などのような、薬品の臭いというわけではなかった。今までに嗅いだことがある臭いであったが、それが、どこで、どんな臭いだと感じたのかということが分からなかった。
 だから、通院するだけでも嫌な感覚だったのに、
「これから入院」
 ということを言われると、
「いやだ、帰りたい」
 と言って、抵抗したことを覚えている。
 今まで、両親に反抗したことはほとんどなく、黙って従っていた桜井少年だったのに、それを逆らうということは、両親も、気が引けたのかも知れないが、相手が医者で、
「入院」
 ということであれば、
「かわいそうだ」
 と言っても、
「簡単に許すことができない」
 ということで、両親も、引き下がることはできなかった。
 しょうがないので、そのまま置いてくるしかなかったということであった。
 両親もそれだけ、
「優柔不断」
 ということで、ただ、それは、子供に遺伝下した。
 ということではなかった。
 実際に両親は、
「本当の親」
 というわけではなかったからだ。
 実は、桜井少年と妹は、
「双子で生まれた」
 ということであった。
 詳しいいきさつは、桜井少年は知らなかったが、両親が、
「本当の親ではない」
 ということは知っていた。
 というのは、
「妹が死んだ時に、両親から教えられたこと」
 だったのだ。
 その理由については教えられなかった。その理由を聞いたとしても、
「たぶん、大人の事情なんだろうな」
 ということを桜井少年は考えたので、それ以上は聴かなかったのだ。
 両親とすれば、
「聞き分けのいい子だ」
 ということで、そういうところはありがたいと思っていたが、その反動のようなものがあるからなのか、桜井少年は、
「親に逆らう」
 ということのない、素直な子供だったのだ。
 それが却って、親を不安にさせた。
「何を考えているのか分からない」
 と思わせるところがあり、それが成長とともに、
「親にも分からない性格」
 と考えるようになったのだ。
 しかも、
「自分たちの子供ではない」
 と告白したものだから、その思いも、ひとしおだったに違いない。
 ただ、一つだけ聞いたのが、
「じゃあ、妹と僕とは血がつながっていないということ?」
 と聞かれた。
 その質問が実は両親にとって、一番辛いことだったようで、すぐには、答えを言えない様子で、躊躇しているのが分かった。
 少しだけ間があって、
作品名:未来救世人 作家名:森本晃次