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未来救世人

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 ということで、ずっと続いていくものなのだ。
 しかし、天皇以外の政治家であったり、政府機関に属する役職者は、あくまでも、
「日本国民」
 として、他の人と、
「法の下の平等」
 ということになる。
 だから、
「親がいくら優秀であり、首相を務めた人間だ」
 ということであっても、息子も、
「世襲でその後を継ぐ」
 ということはない。
 逆にいえば、
「職業選択の自由」
 というものが保障されているので、
「父親を必ずしも継ぐ必要はない」
 ということになり、結局は、父親一代で終わるということもあるわけである。
 何といっても、
「子供ができない」
 ということであれば、養子でも貰わないと、
「後継者がいない」
 ということになる。
 もちろん、養子であれば、形の上では何とか体裁は整うだろうが、
「血のつながり」
 ということではないわけなので、
「優秀な血が受け継がれるわけではない」
 ということで、本当の意味での、
「世襲」
 ということではないだろう。
 それでも、今の時代の、政治家で、有名な人は、
「ほとんどが世襲」
 ということである。
「血のつながり」
 ということが重要視されるのか?
 それとも、
「英才教育の徹底」
 ということが大きいのか、とにかく、
「基盤をそっくり受け継ぐことができる」
 というのは、最初から、他の議員と、差がついていると言ってもいいだろう。
 この研究所の所員も、ほとんどが、
「親もこの研究所員だった」
 ということである。
 ただ、逆にいえば、
「他の人を受け入れる態勢にはない」
 ということも言えるだろう。
 確かに、優秀な科学者であったり、博士を引き抜いてきたということも過去にはあったという。
 しかし、実際にこの研究所では、
「もって五年」
 というのが今までの実績だったという。
 そして、ここを出ていった博士は、ここでのことを、口外する人はいなかった。
 中には、
「原因不明の死」
 というものを迎えた人もいて、その事実があることから、
「研究所も引き抜きを行わない」
 ということになったのだ。
 それだけ、
「特殊な研究所」
 ということで、
「他とは違う特化したものがある」
 ということであった。
 途中までは、本当に、
「研究所」
 ということで、
「外とのかかわりがまったくない」
 と言われていたが、ある時期を境に、
「病院としての機能」
 という側面も出てきて、
「山奥の療養所」
 というイメージが強く出ているのであった。
「山岸研究所」
 というところは、
「差別的なことが多い」
 ということをいわれていた。
 ただ、中を見ることができないので、ウワサでしかなく、そのウワサは、尾ひれがついて、
「人体実験をしている」
 というところまで言われるようになった。
 もちろん、今の、
「日本国」
 というところで、
「人体実験などありえない」
 ということで、
「ただの噂だ」
 と言われるようになった。
 しかし、これは、研究所側の、
「欺瞞」
 というもので、
「ただのウワサ」
 ということを信じ込ませるために、わざと、
「人体実験をしているのではないか?」
 ということをこれ見よがしにウワサとして流し、煙に巻こうという作戦だったようだ。
 ウワサハ、
「都市伝説」
 のようなもので、ウワサの域を出るわけではなかった。
 これが、もう少し問題となれば、
「国会で問題」
 ということになったり、
「警察や公安が動く」
 という事態になるだろうが、そんなことが起こらなかったのは、それだけ、
「噂の真意が曖昧」
 ということで、逆に、
「一度ウワサが立ち、それがウワサの域を出ない」
 ということになれば、
「それ以上、誰も疑わない」
 という心理的な作戦だったのだ。
 そもそも、日本という国は、刑法などで、
「一度、裁かれたものは、同じ罪刑で裁かれることはない」
 ということになっている。
 しかも、
「疑わしきは罰せず」
 という考え方からも、
「これほど安全なやり方もない」
 ということで、曖昧な状態を、
「正しいこと」
 ということで、国民に信じ込ませることに成功したのだ。
 しかも、
「精神疾患の患者の、医療施設」
 ということでは、他の神経内科であったり、精神病院と言われるところよりも、
「群を抜いている」
 というのは、誰もが認めるところであった。
 特に、
「海外からも注目されていて、所員の中でも、優秀な人が開く講演というのは、研究所でも、かなり奨励されている」
 ということであった。
 もちろん、実際の研究に関しては、教えるわけにはいかないが、そのノウハウであったり、考え方などは、惜しみなく、講演してくれるというのであるから、
「世界の研究員」
 からも、大いに注目されるというものであった。
 ただ、
「ここに入院できる患者」
 というのは、いろいろであった。
 他の病院からの、
「紹介状」
 というものも、一つであったが、
「紹介状を持ってきたからと言って、受け入れるわけではない」
 キチンとした検査のようなものがあり、
「研究所が受け入れる」
 という基準を満たせば受け入れるのであった。
 だから、
「どうして、受け入れてくださらない?」
 ということで、紹介状を書いた先生の、
「メンツが丸つぶれ」
 ということもあった。
 だが、今では、
「それが当たり前」
 ということで、
「一応、紹介状は書きますが、研究所の一存で受け入れは決まるので、それはご了承ください」
 と言って、
「紹介状を書いてください」
 と言ってきた患者側には、そう説明をしていた。
 そういう意味で、最初に入所した、
「桜井少年」
 の場合は、
「紹介状」
 というものはなく、逆に、研究所の方から、
「私どもで受け入れたいと存じますが」
 と言って、桜井少年の養父にお願いしての入所になったのだ。
 その頃は、まだ、
「研究所」
 ということでの存在感が強く、
「精神疾患のために」
 という意識ではなかった。
 しかし、桜井少年の養父は、
「金に目がくらんだ」
 と言ってもいいかも知れない。
 気の迷いだったのかも知れないが、実際に、桜井少年が、
「研究所で役に立っている」
 ということを聴くと、
「よかった」
 ということで、胸をなでおろしていた。
 それとは逆に、
「犬飼少年の場合は、親が精神疾患を気にして、普通の神経内科から、紹介状を書いてもらう」
 という形での、
「オーソドックスな入所」
 ということであった。
 二人は、最初の頃は、その存在を知らなかった。
 ここの入院患者は、そんなに多くはない。年齢も様々なので、あまり、
「患者同士がかかわる」
 ということはなかった。
 ただ、
「年齢が近い」
 などということであれば、同年代がそんなにいないだけに、意識をしてしまう人もいたものだ。
 特に、気になったのは、桜井少年の方だった。
「これで寂しくはない」
 という感覚ではなかった。
「今まで、同年代がいなかったことで、自分というものを顧みるということはよく行ってきたが、それが正しいのかどうか?」
作品名:未来救世人 作家名:森本晃次