(新)大日本帝国
「記憶力が低下してきたような気がするな」
と感じるようになっていた。
しかし、その反面、歴史の勉強をすることで、
「ゲームでは無敵に近づいてきた」
という自覚があることで、
「記憶できない」
ということに対して、
「さほど気をもむことはない」
と考えるようになってきたのだ。
そんな中で、
「中学時代の勉強が、なぜか思い出されてくる」
と感じた。
まるで、
「昔のことを思い出している間に、最近のことを思い出せなくなってきた」
と言ってもいいのではないだろうか?
と考えるのだった。
記憶というものが、確かに、
「時系列によるものではないのではないか?」
ということを、前から感じていた四郎だったが、
「まさか、自分でそのことを証明しようとは思ってもいなかった」
ということを感じるのであった。
「今までとは、考え方が変わってきたのではないか?」
と感じるようになった四郎だったのだ。
洗脳
今までの、研究所から、病院という風に様変わりしたことで、名称は、
「研究所」
のままであったが、医療関係に従事するようになっていた。
名前が変わっていないのは、その医療内容が、
「精神疾患に特化する」
ということから、
「この研究所が、臨床も一緒にやっている」
ということを示すものだった。
実際に、この病院は、一般の、「
「精神疾患関係の患者」
を取り扱う病院では対応できないところを特別に扱うという、
「本当に特化した病院」
ということであった。
だから、中にか、
「人に危害を加える可能性のあるような人」
もいたりして、
「危険な病院」
ということであった。
そもそも、この病院ができたのは、
「殺人事件であったり、残虐な事件を犯した人が、精神疾患ということで、罪に問われないほどの、ひどい疾患を持っている人を、更生させる」
ということに特化した病院だったのだ。
だから、病院に入院した患者の中には、
「鉄格子の嵌った部屋」
というところに隔離状態になっている人もいた。
彼らは、今の時代であれば、
「患者の人権」
などと言われるようなものも、
「無罪」
ということと引き換えに、かなりの部分で、
「自由を制限されている」
というわけである。
それこそ、
「人権がない」
ということで、それこそ、
「刑務所の方がまだ自由がある」
ということになるのだ。
だから、刑務所であれば、
「刑期というものが決まっている」
ということだが、精神鑑定で、
「責任能力を問えない」
と言われているこのような人には、
「人権がないので、少々のことは、自由を制限できる」
そして、
「他の人に危害が加わらないようにするのが最優先」
ということで、下手をすれば、
「殺害することになっても、かまわない」
と言われる、
「国家における、最高国家機密に当たるところ」
と言ってもよかった。
ただ、今はそこまでのことは行われていない。
実際に、今までこのような状態において、
「殺害された人がいたのかどうか?」
ということは、
「最高国家機密」
なので、分からないが、それだけに、
「過去のことは分からない」
ということで、この施設ができて。15年くらいになるが、5年くらい前から、
「最高国家機密」
という部分の、
「最高」
という部分が取り除かれたのであった。
「七年くらい前から、外来の患者を受け入れる」
というようになり、
「五年前から、入院患者も受け入れる」
というようになったのだ。
実際に、入院患者を受け入れるようになると、
「それまでと違って、開かれた病院」
ということであった。
それまでは、
「施設こそきれいだが、やっていることは、昔のサナトリウムと同じではないか?」
ということであった。
「不治の病で助かることのない、結核患者を、隔離して、死ぬまで、二度と出ることのできない隔離病棟に閉じ込められる」
という想像しただけで、地獄であった。
これは、
「死刑に値する」
と言ってもいいだろう。
しかも、死刑のように、
「いつ失効される」
というわけではなく、分かっていることは、
「余命、数か月」
ということくらいで、その日まで、自由もなく、表に出ることも、人と遭うこともできず、
「黙って死んでいく」
ということだ。
特攻隊であれば、
「天皇猊下のために、自分の命をささげる」
という大義名分があるが、結核の場合は、
「自分が死ぬことだけであり、人に移さない」
ということだけが、
「他の人への貢献だ」
ということになるのだ。
だから、ハッキリとは分からないが、昔のサナトリウムでは、
「どうせ、死ぬことしか待っていない」
ということで、
「特効薬などの治験」
というものを行っていたかも知れない。
「どうせこのままだったら、お前は犬死していくだけだ」
と言われれば、
「自分が犬死ではない」
ということが分かるとすれば、
「人体実験」
ということに、進んで参加するということもありえるだろう。
これは、戦時中などで、
「もっとひどいことが行われていたのではないか?」
というウワサがあった。
「さすがに、そんなことはないだろう」
と思ったが、その内容というのが、
「細菌兵器を開発するため、人体実験を行うという目的のために、わざと、不治の病を起こさせて、その人を絶望の淵に叩き落し」
そこで、
「お前は、唯一人のために役立つことができる」
ということで、
「人体実験の犠牲になった」
という話である。
それは、
「反政府主義者」
であったり、
「本来では死刑になっも仕方がない」
と言われる人を使うということで、
「最初から、人権のない人たちだ」
ということでの暴挙だったという。
そもそも、戦時中なのだから、実際にあったと言われることで、
「反政府主義者」
であったり、
「非国民」
と言われる、
「戦争反対論者」
というものは、
「赤紙で徴収したうえで、その派遣先を最前線にし、最初に突っ込ませることで、確実にっ殺す」
ということをやっていたのだから、内容的には、
「あまり変わらない」
という意識が、当時の戦時中にはあったのだろう。
そもそも、戦争遂行ということで、軍部が行った。
「虚偽の戦果」
という意味での、
「大本営発表」
というもの、それが、巻き起こした弊害ということで、
「戦争で生き残った一部の人を、除隊させることをせずに、最前線に送り込み、確実に抹殺」
ということをしたり、
「無人島に隔離して、絶対に出さないようにしたり」
ということが行われた。
その理由は、
「生き残った人間が、一般社会に戻って、実際に戦いに負けた」
などということを宣伝すれば、
「国民の繊維が喪失し。反戦運動が起こってしまい、戦争完遂がかなわなくなる」
ということになるだろう。
それは、もちろん、その理由もあるだろうが、実際には、
「自分たちのウソがばれてしまう」
ということを嫌ったのだろう。
確かに。大日本帝国の軍というのは、
「天皇の統帥権」