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研究による犠牲

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 というのを見る人が多くなり、
「テレビ番組」
 などのような、
「プロが制作する」
 というものではなく、
「素人が、自分で編集したりして配信する」
 という、
「ユーチューブ」
 なるものが出てきたことで、
「さらに、時代が変わってきた」
 と言ってもいいだろう。
 何といっても、今の時代は、
「子供が大人になってからなりたいもの」
 ということの上位に、
「人気ユーチューバ―」
 というものが出てきたということである。
 しかも、今の時代は、
「スマホがあれば、賄える」
 ということで、
「家に、テレビもパソコンもない」
 という人が増えてきているということであった。

                 誘拐事件

 この殺人事件は、被害者が、ある会社の研究室にいる研究員ということである以外は、
「別に変ったところがないといってもいいだろう」
 ただ、
「研究室勤務」
 というところが引っかかっていると言えば引っかかっていて、しかも、彼は、
「研究所内でも、重要なポストにいる」
 という話であるにも関わらず、実際には、
「彼がいなくても、研究所は困っていない」
 ということだったようだ。
 もちろん、捜査としては、
「会社内のトラブル」
 あるいは、
「個人的な問題によるトラブル」
 というのが動機なのではないか?
 ということで捜査されたが、
「そのどちらも、あると言えばありそうで、ないといえばなさそう」
 という曖昧なことしか、考えられないということであった。
 しかし、まわりは皆、
「彼が、何かのトラブルに巻き込まれたということは信じられない」
 と言っていた。
 何しろ、研究所内でも、ほとんど目立っておらず、ただ、時々、皆が
「あっ」
 というような発想を出すことで、
「その存在価値が一気に湧いてくる」
 ということで、そんな状況を繰り返しているので、
「実際に、仕事にとっては、重要な人物であるが、相変わらず目立たないというのは、致し方のないことだ」
 といえるのであった。
 彼の名前は、
「高橋良太」
 という名前で、
「高橋さんは、仕事には不可欠な人ですが、人から恨みを買ったりすることのない人だということは間違いないと思います。恨みを買うような目立つ人ではないですからね」
 という証言が多かったが、そのほとんどが、
「本心を言っている」
 というように見えた。
「妬みなどがあれば、もっと語気であったり、表情に、その気持ちが出ているように思うのだが、皆が高橋氏のことを話す時、まるで、豆腐の角で頭を打ったかのように、まったく味気ないというか、迫力というものをまったく感じない」
 という感じなのである。
 それを思うと、
「高橋という男は、とらえどころのない男なんだな」
 ということであった。
 しかし、
「高橋が殺されたということは、間違いのない事実」
 ということで、しかも、
「殺意があっての殺人」
 ということも分かっている。
「ということは、プライベートな問題で、例えば、金銭関係のトラブルだったりするのではないか?」
 と考えられ、その線も当たったが、
「誰かに借金をしている」
 ということも、
「金融機関に借金がある」
 ということもなかった。
 ただ、捜査の中で、
「研究員の中で、給料が若干他の人に比べて高い」
 ということが言われていて、それが、暗黙の了解のようになっているのだが、だからと言って、
「そのことで、高橋を妬んでいたり、羨ましがっている人はいませんでしたね」
 と上司は言った。
「それは何かあるからですか?」
 と言われたが、
「それは私の口からは」
 ということで、上司も口を拭うのだった。
 他の一般社員にもそれとなく聞いてみたが、
「その件に関しては、何も言えません」
 と、
「明らかに何かがある」
 ということを匂わせる形で、それ以上のことはいわない。
 まるで、
「何かある」
 ということを警察に話しているかのようではないか。
 それを考えると、
「俺たちは、これ以上は言わない」
 と言いながらも、
「刑事が捜査しやすいようにしていた」
 といえる。
 それは、
「自分たちも実は詳しいことは知らないが、本当は知りたい」
 ということで、警察に含みを持たしているのだろう。
 もし、自分たちが警察に協力などしていると会社に悟られると、
「俺たちの立場がない」
 ということで、
「首を切られるか」
 あるいは、
「部署自体が潰されてしまうか」
 ということになると考えると、
「これ以上は、何もできない」
 と思うのだった。
 しかし、明らかに会社には。。
「何か秘密がある」
 というのは、社員全員の、
「暗黙の了解」
 だったのだ。
「その秘密を隠すことができない」
 と会社の上層部は感じているのだろう。
 そして、逆に、
「警察に怪しいということを感じさせておいて、ブービートラップを掛ける」
 ということで、手品のように、
「右を見ろ」
 といえば、
「左にタネが隠されている」
 というように、
「煙に巻く」
 という方法が使われたのかも知れない。
「かく乱戦法」
 と言っていいだろう。
 高橋良太の事件は、
「彼の会社に乗り込んで、何かある」
 という状況に持ち込んでから、今度は、まったくの膠着状態になった。
 いろいろ聞き込みができて、
「さあ、これから」
 ということであったが、実際に一歩踏み込むと。案の定、
「底なし沼に嵌ってしまった」
 というような状況になったのだった。
 そんな中、膠着状態が、数日続いた中で、今度は警察に、まったく別件の事件が舞い込んできた。
 それは、
「誘拐事件」
 というものだった。
 この事件で誘拐されたのは、
「幼児」
 だった。
 その子を誘拐した犯人は、
「子供を誘拐した」
 という犯行声明と、普通であれば、
「警察に知らせたら、子供の命はない」
 というのだろうが、この事件では、
「警察に知らせるな」
 ということを一言も言わなかった。
「後から連絡する」
 と言っておいて、電話を切ったのだ。
 誘拐された子供の家では、さっそく、警察に連絡された。
 そして警察の方では、
「誘拐事件捜査」
 の装置を設置して、
「いよいよ犯人からの電話が来るのを待とう」
 とした時であった。
 まるで、警察の装備が出来上がるのを待っていたかのように、犯人から電話が入ったのであった。
 相変わらず、犯人側は、警察について、一切口にしない。
 しかし、待っていたかのような素早い対応は、
「明らかに、警察の介入を待っていた」
 と言ってもいいだろう。
 現場に張り付いている刑事のほかに、被害者が、
「どうして、誘拐事件などが起きることになったのか?」
 ということの捜査が、同時並行で行われていた。
 被害者の家は、F市内にある、K大学の
「国家プロジェクト」
 というものを扱う、
「受注部」
 の、部長の家だったのだ。
 K大学でも、大きな問題ということで、事件の成り行きについては、見守っていたが、大学側も、
「国家機密も含まれている」
 ということで、必要以上にかかわることを避けていた。
 と言っても、
作品名:研究による犠牲 作家名:森本晃次