小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

表裏の感覚による殺人事件

INDEX|4ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

「被害者がうつ伏せになって倒れているから分かったことだ、仰向けになっていれば、コードが下になって、感じる違和感は結局感じることができずに、重要なことを見逃してしまう」
 というところであった。
 被害者が、まるで警察の捜査に協力するかのように、都合よい形で死んでくれていたというのは、
「我々警察に、早く事件を解決して、敵を討ってくれ」
 ということを言っているのではないかとすら思えたのだ。
 それは、
「都合のいい解釈であるが、そういうところにこそ、事件の真相が隠れているのではないか?」
 といえるのではないだろうか?
 そこまで考えると、今度はまた新たな疑問は、桜井刑事に浮かんできたのだが、
「そこまで門倉刑事は気づいているのか?」
 ということは、桜井刑事には分かりかねるところであった。
「コートの長さからか、なるほど、コートがダボダボに見えたのも無理もないこと」
 ということであった。
 だから、桜井刑事が、
「雨の話をした時、このコートがここまで湿気を吸った土の上を転がったわりには、それほど汚れていない」
 ということに違和感があったのだ。
 この土の汚れがまともに残っていないということは、
「水をはじく性質」
 ということでの、
「撥水性」
 というものは、新品のコートであれば、しっかり備わっているところの多いだろう。
 しかも、
「コートなどは、洗濯機で洗濯など、なかなかできないので、このようにきれいな形状記憶状態でいられる」
 というのは、
「少なくとも、おろしてからすぐのものだ」
 ということが言えるだろう。
 そう思ってコートを見ていると、
「なるほど、明らかに新品だ」
 ということが言えるのだった。
 そういう意味でも、違和感の正体が、
「このコートは、果たして、被害者の、ものなのだろうか?」
 ということであった。
 もし、この形状気置き状態でなかったり、汚れが目立っていれば、この違和感は、なかったかも知れない。
 ただ、
「ここに落ちたあとに、着替えさせたという感じもない」
 となると、少なくともここから落ちる前までには、着ていたということになるであろう。
 それを考えると、
「被害者が自分から着て、そのまま着ていた」
 ということになる。
「被害者は、そんな違和感はなかったのだろうか?」
 と考えると。
「何のために?」
 という疑問もさることながら、その他人のコートと思われるポケットに、被害者のパスケースと財布が入っていたというのは、おかしなことではないだろうか?
 実際に、被害者が転がっていたところだけでなく、そのまわりも捜索されたが、
「転がってきたわけだから、その時、ポケットであったり、衣類の一部から何かが飛んだりしていないか?」
 ということもあって、そこは重点的に調べられた。
 これと言って何か、
「遺留品なるものが転がっている」
 というものもなく、現状に関しては、初動捜査としてはできる限りのことができていた。
 現場保存も、なかなか、人が入り込む場所ではないということで、
「それほど厳重にすることもない」
 と思われた。
「形式的な黄色い規制線と呼ばれる帯さえして、立ち入り禁止を明確にしておけばいいだろう」
 というくらいのものであった。
 現場検証が終われば、今度は、目撃者捜しということになるのだろうが、さすがに、昨夜の午後八時ということで、
「バスから降りる人も、帰る方向は反対方向が多い」
 ということで、
「なかなか目撃者捜しというのも、難航しそうだ」
 というのは、最初から分かっていることだった。
 しかし、逆に、こちらに帰る人は少ないということで、的を絞って捜査することもできる。
 目撃者がいるに越したことはないが、もしいないのであれば、
「早めに分かり、見切りをつけることで、他の捜査に当たれるということはありがたいことだ」
 ということになるであろう。
 それを考えると、
「複雑だな」
 と言って、苦笑いをする二人の刑事だったのだ。
 近くに家があるというわけではない。
 しいていえば、
「この辺りの住宅地の子供が通う学校がある」
 ということであった。
 小学校と中学校が、この辺りには二つあり、
「こちら側と、住宅街の反対側に、もう一つずつ存在した」
 ということで、高校もあるのであったが、それは、
「こちら側に、一つ存在する」
 というものであった。
 また、実は反対側の学校の近くには、近くにある大学の少し離れたキャンパスがあり、そこでは、
「理数系の学部」
 ということであり、それほど広いキャンバスではなかった。
「ちょうど、こちら側にある高校の敷地と。どっこいどっこいではないか?」
 と言われることから、
「住宅地の左右の学校は、バランスよう作られている」
 ということで、
「この辺りの住宅が、新興住宅街のモデルコースとなるだろう」
 と言われるようになっていたのであった。
 新興住宅というところは、
「いまさら」
 と言われるかも知れない。
 ただ、それは、都心部ということであり、山間の場所で、まだ開発ができていなかったところも結構あっただろう。
 中には、
「地主への買収」
 というのがうまくいかないということもあるだろうが、さすがに昔のように、
「公共事業」
 であったり、
「国家の目標やスローガン」
 という名目があるわけでもないので、買収がうまくいかないと、ハッキリと、
「作業は進まない」
 といえるだろう。
 逆に、土地によっては、
「土地を売りたい」
 と言い出す人もいるだろう。
 最初から、
「土地を売る」
 ということは考えていて、その時、
「いかに高値で売るか?」
 ということを企んでいるとすれば、
「土地が高いうちに」
 というべきか、
「そろそろ値が下がりそうな雰囲気なので、今のうちに売ってしまおう」
 と考えるのか、
 当然地主だけではその判断は難しいだろうから、専門家に、その鑑定をお願いするということも普通にあることであろう。
「実際に、この住宅街も、同じように、20年くらい前に売られた土地だったのだが、この土地は、他と違って、値段の変動が特殊だった」
 と言われている。
 他の土地では、
「まだまだ値が上がるだろうから、いま売りに出すのは得策ではない」
 と言われていたので、誰も、土地を売る人はいなかった。
 この場所でも、他の人が誰も土地を売らないでいたのに、いきなり、この辺りの半分以上の土地を所有していて、不動産屋が、
「あの人は相当慎重な人だから、一番の買収には難関な人だ」
 と言われていたのだが、その人がいきなり土地を売ったのだから、他の人も、
「右倣え」
 で、ゾクゾクと土地が売られていったのだ。
 だから、
「この土地は、想像以上に一気に手に入った」
 ということであった。
 だから、開発にもそこまで時間が掛からなかったのだ。
 実際に土地が更地となり始め、更地に大きな看板として、
「新興住宅建設予定地」
 というものが立ってから、実際に、
「学校」
「病院」
 などの施設や、
「郵便局」
「交番」
「公民館」