知恵と本能
と感じるようになり、自己防衛のために、女性にかかわりたくないと思う男性が増えてきたのだ。
だから、出会いもなければ、出会うつもりもない。
そうなると、
「一日だけのアバンチュール」
というもので、あとくされなく。
というのが、出てくる。
だから、
「子供を作らない」
あるいは。
「結婚しない」
という人も増えてはきているだろうが、結局、昔からの
「出会い系」
というものも、形を変える形で、消えることはないのだ。
それこそ、まるで、
「世界的なパンデミック」
というものにあった。
「ウイルス」
のようなもので。
「変異」
というものと同じではないだろうか?
「昔に比べて、性欲というものが全体的に減ってきたというのか」
それとも
「今の時代は、君子危うきに近寄らず」
ということで、
「火遊びには慎重になってきた」
ということから、次第に、性欲が、昔ほど、
「人間の欲」
ではなくなったということなのか。
とはいえ、
「ストーカー事件」
のようなものが減っているというわけではない。
それを考えると、
「危ないやつは、今も昔も変わりはない」
ということであり、
「それ以外の人の性欲が減ってきている」
ということであろう。
そもそも、
「本当であれば、結婚して、子供を作る人の性欲を守らなければいけないものを、本当に守れているのか?」
ということである。
確かに。
「政府に頼るというのは、いかがなものか?」
ということになるのだが、
「政府が対策を取る」
ということは。それは、
「自分たちの税金が使われている」
ということであり、無駄に使われるということであれば、
「それは、許されることではない」
ということになるだろう。
「結局何から解決しなければいけないのか?」
という優先順位を、キチンと政府が分かっていないのが原因なのかも知れない。
それでも、独身のまま、年を取っていくという男女が増えては来ているが、
「結婚したい」
という男女もいるわけで、最近では、
「婚活」
などという言葉で、結婚相談所を利用する人も多いだろう。
ただ、値段がハンパではないということから、手軽な、
「マッチングアプリ」
などというものを利用している人も多いだろう。
正直、マッチングアプリというものがどういうものなのか分からないが、
「出会い系」
というものを知っている世代では、
「これも同じ系統だ」
としてしか見ていない。
「結局、課金させられて終わりなのでは?」
と考えるが、実際はどうなのだろうか?
そんなことを考えながら、今年年齢が40代後半になったところで、初めて結婚式に招かれたというのは昔だったら考えられない。
しかし、今の時代は、
「結婚したとしても、披露宴などはしないで、親族だけでの食事会」
というのが多いとは、前述のとおりなので、結婚式に呼ばれることがなかった。
そもそも、結婚する人が少なく、実際に、会社の所属部署でも、30歳以上で独身という人が半分以上いる。
齋藤の認識としては。
「30代後半になれば、結婚しない率というものが、ぐんと伸びる」
ということが分かっているような気がしたのだ。
だから、今回は、
「後輩の結婚式」
ということで緊張もあった。
実際に斎藤は、
「後輩から慕われる先輩ということでもないので、スピーチなども頼まれることはなかった」
だから、
「適当にうまいものでも食って、すぐに帰ろう」
と思っていたのだ。
何しろ、この年で初めての結婚式への出席なので、
「気楽にいこう」
と思うのも当たり前だった。
実際に、結婚式自体には興味も何もなかった。演出を見ても、別に何も感じることもなく、
「ああ、結婚したいな」
などとも、感じることはなかったのだ。
うまいものを食って、
「ただのパーティ」
というだけだったのだが、そこで、気になる女性が一人いたのだ。
それは、
「新婦側の知り合い」
ということなのか、年齢的には、まだ20歳代であろうか?
「彼女が新婦だ」
といってもいいくらいだった。
それを思うと、
「新婦のお友達なのかな?」
と感じたのだ。
彼女が気になったのは、
「彼女の視線が、自分に向いていた」
ということからであった。
最初の頃は、
「どうでもいいや」
というくらいに、ただ、うまいものを食べていただけだったのだが、そのうちに、
「手持無沙汰」
になってきた。
最初こそ、
「うまそうだ」
ということで、食べることに集中していたが、次第に満腹感を感じてくると、
「時間を持て余している」
と感じるようになった。
そうなると、ついついまわりを見渡すようになり、それまでまったくまわりのことなど気にしたこともなかったのに、キョロキョロしてみると、自分の方へ、熱い視線を寄せてくる人がいることに気づいたのだ。
そんな相手が、
「女性ではないか?」
ということはすぐに分かった。
それは、
「目が合う」
という前に感じたことであり、
「初めて感じたその人の視線で、目が合ってしまうと、今度は、彼女が、とっさに目をそらした」
「これはまずい」
と思い、斎藤も思わず目をそらしたが、
「相手は恥じらいからというよりも、いきなりだった」
ということからのとっさの行動ではないか?
と思うと、もう一度、
「目線を合わせてみよう」
と感じたのだ。
これは、
「彼女は視線であるが、自分は目線」
ということで、
「彼女が、何かの気持ちからなのか」
それとも、
「興味を持って自分を見てくれているのか?」
ということで、彼女が自分に対して、自分よりも、
「一歩先というものを見ているのではないか?」
と感じたのであった。
そんな結婚式は、最初こそ、
「時間がなかなかすぎてくれない」
と感じたが、
「一人の女性の視線」
というものを感じると、結構時間の進みが早くなってきたのだ。
自分の気分的には、前半と後半で結構な変化があったが、本来の結婚式というものに関しては、
「まったく気分的に変わってはいない」
ということで。
それこそ、
「まったく、見ていない」
というものだった。
「ひょっとすると、彼女もそうなのかも知れないな」
ということで、
「お互いに、二人の間には、かなり距離があるのだが、それを感じさせない何かがある」
と思わせた。
「ライトがすべて消えてしまって、スポットライトで、自分たち二人だけが照らされている」
というような演出を見せられているという感覚であった。
彼女は、見ているうちに、
「まわりから浮いている」
と感じられた。
「話しかけてみたいな」
と思っていたが、何しろ結婚式というものへの参加は初めてだったので、どうすればいいのか分からなかった。
確かに、
「結婚式というと、式の最後でチャペルの表に出てきた時、その階段のところから、新婦が投げたブーケを受け取ることができた女性は、次はその人が結婚できる」
と言ったような、伝説があると聞いたことがあり、
「ドラマなどでは、そのブーケを受け取ろうと、一生懸命になっている」