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時間の三すくみ

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「アルコールの提供はしてくれない」
 ということになると、
「店にいく意味がなくなってしまう」
 とはいっても。
「自分でコンビニや販売機でアルコールを買うのは、禁止ではないし、家で飲むのも禁止ではない」
 という。
 むしろ、
「家で飲む分には、表に出るわけではないので、問題はない」
 しかも、店にいけば、一日で、五千円くらい使っていたかも知れないが、コンビニで、
「酒とつまみを調達しても、千円にもならない」
 ということ、
 しかも、つまみは、翌日にも持ち越せる。
 ということになると、
「無駄遣いしなくてもいい」
 ということになる。
 この時期、不安から、あまりお金を使いたくない状況なので、そういう意味でう明日上がりなのはありがたい
 と思うだろう。
 そう考えると、
「お金を使わずに済む」
 ということで、
「時短」
 というものがなくなっても、
「いまさら飲んで帰るなんてことしなくてもいいよな」
 と考える人は多いだろう。
 そもそも、飲んで酔っ払って、電車に乗ってから、そして、最後は徒歩で家まで帰るというのは、結構きついだろう。
 だから、
「家で飲む」 
 というのは、時間的にも、楽なことであり、
「よっばらえば、そのまま寝てしまえばいいんだ」
 という意味で、
「これほど楽なことはない」
 と気づくだろう。
 そうなると、飲み屋にいちいち寄るという人も減ってくるのは当たり前のことで、それこそ、
「たまにいけはいいか?」
 という程度となるだろう。
 もちろん、馴染みの店に寄るのが、一日の一番の楽しみと考えている人は、前の生活に返るだけだから、店側は、
「固定客は変わらない」
 と計算するだろう。
 それでも、一度楽なものを覚えると、そっちに行くのが人間というもので、その人たちが、明らかに、どこの店に行っていたかは別にして、人通りというだけで、明らかに減っていることは間違いないだろう。
 それが、
「世界的なパンデミック」
 というものにおける、
「ビフォーアフター」
 ではないだろうか?
 そして、もう一つの問題として、
「これは、パンデミックが起こる起こらないにかかわらず言われていたことではあったが、実際に、確実に拍車をかけたということで、大きな問題となっているのが、タクシー問題であった」
 これは、
「2024年問題」
 と言われたり、
「2030年問題」
 ということで、一緒に、
「物流業の問題」
 ということであった。
 特に宅配業というのは、大きな問題で、いわゆる、
「人手不足」
 ということであった。
 一番の問題は、
「昼間に配達をしても、客が不在だった」
 という場合の問題である。
 ものによっては、
「至急届けなければいけない」
 というものもあるだろうから、それをその日のためにということで、再配達をすることになるのだが、そのための人がいないということになるのだ。
 特に共稼ぎや一人暮らしで家にいないという人がほとんどであろうし、むしろ。
「一人暮らしの息子のために、親が、いろいろ食料を送っている」
 ということであれば、
「昼間は会社に行っている」
 ということであったり、
「学校に通っている」
 ということもあるだろう。
 そうなると、再配達は当たり前のことで、下手をすれば、
「昼に配達したののが、半分以上も再配達」
 という場合も普通にあり、
「ほとんど、再配達」
 ということもざらだったりするだろう。
 問題は、
「タクシー業界」
 というものにもあるのではないのだろうか?
 タクシー業界は、パンデミックが流行り出してから、緊急事態宣言に入ると、相当な痛手になったようだ。
 何しろ、普段でさえ、なかなか客が乗らない状態で、
「週末の夜から、土日、祝日などは、それなりに客はいるが、それ以外の平日ともなると、タクシーの数が、客に比べて多いので、客の取り合い」
 ということになるくらいだった。
 しかし、今度は、緊急事態宣言によって、表に出る人が急激に減ったのだ。
 当然、タクシーを拾う人の数はその分減るわけで、しかも、
「先行き不安」
 という状態で、皆、
「無駄遣いはできない」
 ということで、
「今まではタクシーを使っていたものを、時間に余裕があれば、公共交通機関であったり、徒歩でいこうと思うに違いない」
 ということである。
 確かに、徒歩が一番いいだろう。
 そうなると、タクシーは、流しているだけで、客も乗らないということになると、それこそ、
「客と目が合った」
 ということで、乗る気もない客のところに近寄ってきて、相手の様子を見るというドライバーも出てくるだろう。
 最初は、
「保障もでない」
 ということで、
「ただ流しているだけでは、商売にならない」
 となると、
「タクシー業界にいては食ってはいけない」
 ということで辞めていくことになるだろう。
 そして、他の職に就くことになるのだろうが、そんな人たちが、
「パンデミックが収まった」
 ということで、
「果たして、タクシー業界に戻ってくる」
 ということになるだろうか?
 実際に、ほとんど戻ってきているわけではない。
 中には、
「徐々に戻りつつある」
 という人もいるが、人手不足なのは当たり前であった。
 だから、
「タクシーを使う人はパンデミック前に比べて減ったはずなに、なかなかタクシーが捕まらない」
 ということになるのだ。
 それは、
「タクシーの絶対数が少ない」
 ということで、実際には、
「タクシーの台数が少ない」
 というわけではなく、
「運転手がいない」
 ということなのだ。
 確かに、台数も少ないといえるだろう。
 パンデミックの時、人員が減ったので、
「台数も減らさなければ、経営が成り立たない」
 ということで、台数も減らしたのだ。
 それでも、減らしたタクシーに乗務する人がいないということになるのだ。
 これは、そもそもタクシー業界というものが、
「完全ノルマ制」
 というところからきている問題だ。
 確かに、基本給はあるだろうが、それこそ、
「最低賃金」
 というものであり
「一日いくら以上の売り会下を上げなければ、最低賃金しかもらえない」
 ということで、タクシーの運転手の平均年齢が高いのは、
「年金取得と同時に、年金で足らない部分を、働いて稼ぐ」
 ということで
「タクシー運転手を選ぶ人が多い」
 と聞いたことがあったが、まさにその通りであろう。
 だから、
「一度タクシー業界から離れて、他の仕事について、一月、決まった額の収入が安定してもらえるのであれば、何も、いまさらタクシー業界に戻る必要などない」
 と考えるのは当たり前のことであろう。
 それだけ、
「曖昧でブラックだった」
 ということであろう。
 だから、今は、ドライバー不足ということで、
「以前であれば、週末の夜か、休日くらいしかタクシーが捕まりにくい」
 ということはなかったが、今であれば、
「平日の夕方でも、なかなか捕まらない」
 以前のように、
「配車センターに連絡し、タクシーをお願いします」
 といっても、すぐに、
「近くにいません」
 とばかりに、早すぎる返事に。
作品名:時間の三すくみ 作家名:森本晃次