黒歴史と普通という感覚
というものだ。
こういうお店で、リピータ五として、二回目以降指名した客のことを、
「本指名」
というが、女の子も、
「初めて来てくれた客も大切だが、本指名はもっと大事」
ということになる、
というのは、店側の価格設定では、
「本指名の指名料が若干高めに設定してある」
というところがある。
その高い分というのは、
「女の子に、給料として還元される」
ということで、女の子は、本指名を大切にするのだ。
考えてみれば、どの業界でも、
「リピーターというものは大切だ」
ということになる。
客を大切にするということに繋がり、
「一見さんは、一度で終わるが、常連さんは、ずっと来てくれる」
と感じるからだ。
もちろん、常連といっても、
「気に入った女の子への常連なのか」
それとも、
「店に対しての常連なのか?」
ということであるが、そのほとんどは、前者だろう。
しかし中には、
「女の子は毎回変えるが、店の雰囲気が好きだから」
ということで、常連になってくれた客もいる。
そういう客はスタッフと仲良くなったりして、女の子でも、いい子を紹介してもらえるからだ。
これが、フリーでその時フラッときたくらいでは、
「フリー要員ということで、なかなか指名が付かない女の子に充てられたりする」
そうなると、
「いくら誰でもいいといっても、自分の好みでもない女の子が付いたり、潮対応されてしまう」
ということになると、
「もう二度と来ない」
ということになり、それこそ、一見さんということになってしまう。
店もそれくらいのことは分かっていて、それでも、フリー要員の女の子が、
「お茶を引く」
ということになると、店を辞めると言い出すことになるだろう。
フリー要員でもいないと、フリーで来た人に対して、
「今女の子がいっぱいで」
ということになると、その人は、二度と来ないだろう。
一度でも来てもらうと、ひょっとすると、常連になるかも知れないという機会をみすみす失うことになる、そういう意味では、
「フリー要員」
というのも大切だといえるのではないだろうか?
そういう意味で、今回の自分は、
「このままいけば、フリー要員ということになってしまう」
と考えた。
もっとも、今から風俗街に向かって、いきなりということであれば、フリー要員は否めない。
その時のために考えられることとして、
「無料案内所」
というものを訪れるということだ。
基本的には、フリー要員ということになるのだろうが、だからと言って、
「どうでもいい子ということもないだろう」
と思った。
最近は、風俗街から足が遠のいていたので、常連のお店でも、スタッフが覚えているかどうか怪しいものだ。
そういう時に利用するのが、無料案内所というものだった。
そこでは、店内に、業種ごとに店の案内がいろいろ乗っていて、案内所のスタッフが、いろいろ教えてくれる。
きっと、店と提携していて、店が共同出資する形で、案内所を作っているのだろう。
店としても、自分のところを宣伝して、客を誘導してくれるのだから、それこそ、昔の、「呼び込みというものが形を変えた」
といってもいいだろう。
呼び込みというものがなくなると、さすがにフリーは難しい。
それでも、フリーが付かないと、どうしても、
「お茶を引いてばかり」
という女の子もいるだろう。
せっかく待機しているのに、客がつかないと、
「長い一日を無駄に過ごして、金にもならない」
という惨めな思いと、金にならないことへのストレスがかなりひどいかも知れない。
こういうお店に入ってくる人は、昔のような、
「借金が理由」
という人は少なくなっただろう。
特に学生や、若い女の子などは、
「奨学金を払わなければいけないので、今のうちにその分を貯めておく」
という健気な人もいるだろう。
あとは、
「こういう仕事に興味がある」
あるいは、
「男性と仲良くできて金が儲かる」
ということが嬉しいという人もいるだろう、
中には、
「ホストクラブに嵌ってしまった」
という、一種の借金のかたという場合もあり、それが一番悲惨な状態かも知れないが、数的には結構いるということであった。
だが、自分は、そんな理由など、どうでもよかった。
「どうせ、聞いたって教えてくれるわけおないし、相手に嫌な思いをさせると、潮対応されて終わりだ」
ということになってしまうに違いない」
ということであった。
だから、
「こういうお店ではm話題にしてはいけないいということがいくつかある」
ということで、それらをしっかり把握して遊ぶのが、
「客としてのエチケットだ」
と思っている。
それらのことは、ネットを見ればいくらでも乗っている。
「女の子が嫌がる客のベストテン」
などというランキングなどもあり、結構参考になるだろう。
だから、普段であれば、
「酔った状態で、風俗店に行くことはない」
ということだが、今回は、飲み会の後ということで、少々は入っている。
それでも、
「いつも飲まない」
ということを会社の人間は分かっているので、進めることもなかったので、正直、最初の乾杯の一杯だけしか飲んでいなかった。
そもそも下戸だということもあり、すでに、酔いは冷めていたといってもいいだろう。
お風呂屋さんというもの
無料案内所は、結構人がいた。
そもそも、今くらいの時間に、風俗店に行くという人も少なくない。
一番多いのは、7時くらいからというのが多いのかも知れない。
というのも、
「会社が終わってからくるにはちょうどいい」
ということで、そういう客は、最初から予約をしているだろうから、案内所に姿を出すことはない。
迷っている間に時間がどんどん過ぎるのと、この時間は多いというのが分かっているので、予約をせずに店にいくと、かなり待たされるということが分かっているからだ。
しかし、午後九時くらいというと、
「飲み会の後でフラッと寄ってみたい」
という自分のような人ばかりであろう。
だから、いきなり行くと、
「もう予約でいっぱい」
と言われてしまったりすることを思えば、案内所で、紹介される方が、時間の無駄にはならないだろう。
九時に終わって店にいくと、九時半くらいになったりする。もし、すぐに入れず、
「一時間待ちです」
などということになると、
「完全に、ラストの客」
ということになり、
「帰りが最終電車に間に合うのか?」
となると、スケジュールがまったく狂ってしまう。
それを思えば、
「無料案内所が一番安心」
ということになるのだ。
最近の自分は、お風呂屋さんに行くと、
「最低でも、60分」
と決めている。
しかも、ほぼ60分ということはない。あるとしても、その子が、
「60分しか開いていない」
という場合だけで、その時は、
「じゃあ、他の子」
ということになるのだが、どうしても、その日、
「このまま帰るのは嫌だ」
と思った時、
「しょうがない」
ということで、
「不本意ながら、60分コースにする」
のだった。
作品名:黒歴史と普通という感覚 作家名:森本晃次