黒歴史と普通という感覚
ということで、繁華街から、歓楽街、そして、さらにその奥に行ってみることにした。
風俗街事情
そこは、性風俗の街になっていて、その通りに入り込む人たちは、まず、
「性風俗の店目的」
ということになる。
性風俗の中でも、
「お風呂屋さん」
と言われるところは、風営法も結構厳しかったりしている。
しかし、それだけに、
「法律に守られている」
といってもいい。
「風営法を守ってさえいれば、ちゃんとした市民権を持った産業」
だといえる。
どうしても、性風俗の店というと、白い目で見られるような感覚だが、これを、
「必要悪だ」
ということが言われていたりする。
というのは、
「性犯罪への抑止につながる」
というものだ。
「お金を払っての自由恋愛」
といってもいい。
性風俗店というのは、法律的には結構ややこしいところがあり、基本的には、
「風俗営業法」
というものがあるのだが、実際に、守らなければいけない法律は、
「各自治体の条例」
なのだった。
というのは、各自治体が制定する条例での、性風俗関係は、
「風営法を基本として、それに沿った形で、各自治体が自由に制定している」
つまり、
「都道府県によって、微妙に法律が違っている」
ということになる。
ただ、それは、店の営業時間であったり、店を出せる範囲といったことであり、もちろん、末端の基本は、
「店ごとのルール」
ということになる。
だから、営業時間は、
「午前六時から、日付が変わるまで」
ということであれば、その間の時間で決めることができる。
というものだ。
しかも、性風俗の中でもお風呂屋さんは、
「作ることができる範囲は決まっている」
ということで、
「たとえば、中洲一丁目と言われる範囲だけだ」
ということになるのだが、実際には、風営法で、
「そんなことは当たり前」
ということになる。
なぜかというと、
「お風呂屋さんは、新規参入が許されず、しかも、お店を新しく建設することはできない」
ということになっている。
要するに、新しく新店を設けるとすれば、どこか廃業した店に入るしかないということで、店内改装も、基本的には、内装を少し変えるくらいしかできず、内部であっても、水道の位置や浴室の位置を変えるなどということはできないということになっているのだ。
それでも、店がなくなるということはない。どこかが廃業しても、別の店が、新店を出したり、別館として利用したりしている。それだけ、キャストの数や、客が減るということはないのだろう。
そんな性風俗の街というのも、何度かの、
「危機」
というのを切り抜けてきて、今があるというところも多いだろう。
警察の取り締まりなどというのも多く、その都度、マイナーチェンジを繰り返してきたといってもいいだろう。
昔であれば、店の前にいた、
「呼び込み」
と呼ばれる人もほとんどいなくなり、
「入りやすくはなった」
といってもいい。
昔であれば、気の弱い人などが、呼び込みに連れ込まれ、表には。
「三千円ぽっきり」
などと書かれてはいるが、中に入ると、暗闇のソファーで女の子という名のおばさんが控えていて、
「おビール飲みたい」
とか、言って注文させ、気が付けば
「三千円ぽっきり」
などといっておいて、数万円という請求をしてくる。
「金がない」
というと、怖いお兄さんから、裏に連れ込まれ、袋叩きに遭い、結局金を取られるということになるのだ。
もちろん、そんな経験はないが、ドラマなどでよく見た光景だった。
いわゆる、
「ぼったくり」
というやり方で、それで余計に、
「性風俗街に入ってくる人が減った」
ということになるのだった。
今では、そんな
「悪しき連中はいない」
といってもいい。
以前は、暴力団と絡んでいる店も多かったからであろう。
だから、以前のお風呂屋さんなどは、そんな悪徳呼び込みに合わないようにということで、
「中心駅からの送迎」
というものをしている店も普通にあった。
しかし、今ではそんなことをしなくとも、安心ということから、少し減ってきたのではないかと思われる。
特に最近は、ネットの普及というものがあり、
「性風俗を案内しているサイト」
というものがあり、そのサイトから、業種別、地域別に検索できるようになっていて、もちろん、すべての顔出しをしている女の子は少ないが、目元口元を隠した状態で、紹介されているので、店に行く前のネット予約などもできるようになったので、街に入っても、迷うことなく、直接行くことができるのだ。
予約という制度は、いろいろなところで行われている。
「美容室などのサイトもあって、そこで予約ができるようになっていて、今では、予約必須」
ということになっている。
そうすると、待ち時間もないし、スタッフの指名も事前にできるので、スタッフも最初から用意ができて、行ってからすぐに対応できるので、時間の無駄がないということになるだろう。
なんでもかんでも予約という時代になると、
「携帯電話のショップ」
というのは
「予約必須」
ということであった。
そういう意味で、
「便利なところもあるが、融通が利かない」
ということもあり、
「本当にそれでいいのだろうか?」
と考えさせられるのであった。
性風俗街」
に入ったが、この日は予約を最初からしているわけではなかった。
実は、自分はこういうところは初めてではない。
それどころか、最近は遠ざかっていたが、以前はよく来たものだった。
それも、
「定期的に来ていた」
というか、
「一度遊びにくると、毎月くる」
という時期が数回あり、そこで、満足するのか、またしばらく街から遠ざかるということであった。
こっちの方が、
「金銭的にもあまり使わない」
ということに気づいたことで、
「これなら、自分の考え方にあっている」
ということでこの方法でずっと来たのだ。
いつ頃くらいまでか、お風呂屋さんというと、今でいう、
「高級店しかない」
という時代が続いた。
待合室では、高級なシガレットケースに、ライターも、高級品がおいてあり、スタッフも、膝をついて対応し、タバコを吸う客に、スタッフが火をつけるというような、まるで、
「王様になったかのような気分にさせられる」
それが、昔のお風呂屋さんだった。
そして、あくまでも、
「テクニックを味わう店」
ということで、平均年齢は、今よりもかなり上だが、
「極上のサービス」
というものがあったという。
だから、昔は、
「ボーナスが入ったら、それで来る」
ということで、
「半年に一度」
あるいは、
「年に二回」
ということを決めていた人も多いということであった。
それも、
「バブルが弾ける前」
ということで、今からは信じられないが、
「忙しいので、高い給料や残業代をもらっても、使う暇がないので、お金はたくさんある」
という時代だった。
それでも、年に二回くらいというのは、お店の値段が高いというのもあったが、
作品名:黒歴史と普通という感覚 作家名:森本晃次