小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

黒歴史と普通という感覚

INDEX|16ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

「実際に、本当にそんな人がいるのかどうか。分からなかった」 
 休みの日には結構毎回来ているので、結構いろいろな人を見かけたが、
「小説を書いている」
 という人にいまだ出会ったことはなかった。
「本当に、小説を書いている人っているの?」
 と聞くと、
「ええ、いますよ。でも、最近はあまり顔を見せないわね」
 といっていた。
「じゃあ、俺と相性が合っていないのかな?」
 というと、彼女も冗談めかして、
「ええ、その通りかも知れないわね」
 と、真顔でいうので、一瞬、喉を鳴らしてしまったが、
「クスッ」
 と彼女は笑っていた。
 いつもこうやって彼女からはペースを崩される。
 実際に、彼女のペースはというと、他の人から見れば、
「不思議ちゃん」
 と言われるくらい、合わない時が多いという。
 しかし、それは、彼女特有の間というものであり、
「その間を彼女は自分で自由自在にできる」
 という特徴があるというのだ。
 そんな彼女を見ていると、
「お風呂屋さんに行ってみたいな」
 と思うようになった。
 だから、
「土曜日に、馴染みのカフェに来て、彼女を見ることで、
「お風呂屋さんに行きたいな」
 と思うようになる。
 そして、日曜日の朝に行くように予約を入れる。
 時間的に、人気のある子はすでに予約が入っていることがあるので、気に入った子の場合は、
「終日前からの予約が必要」
 ということになるのであった。
 だが、たまに、夜来ることもあり、それが、今日の、
「飲み会の後」
 ということだったのだ。
 いつもであれば、
「同じ子を二回続けない」
 ということを信条にしていたが、今回は、
「数か月あいている」
 ということもあり、案内所から紹介された時、
「いいですよ」
 といって答えたのだった。
 自分で、
「禁を破る」
 ということになったが、それでも、悪い気はしなかった。
 それはきっと、
「くる時間が違った」
 ということからであろう。
 最初の頃は、昼間や夕方も多かったが、最近は、
「人が少ない時間を狙って、朝一番」
 というのが多かったのだ。
 そんな中で、今回遊んだ女の子が、
「ストーカーに狙われている」
 というような話をするのだ。
 気に入った女の子ではあったが、話を聞いていると、どうも、
「ヤバい」
 と思ってきた。
「お風呂屋さん遊び」
 というのは、今まで、
「あまり人にかかわりたくない」
 と思っている自分が、
「癒し」
 というものを求めてやってくるというのが、一番の気持ちだった。
 しかし、話を聞いているうちに、
「何か、煩わしいことに巻き込まれたりしないだろうか?」
 と感じるようになった。
 冷静に考えれば、
「話を聞いているだけなので、そんなことがあるはずないのに」
 ということは分かるはずだ。
 それなのに、煩わしいと感じるのは、
「自分に何か、身に覚えのようものがあるからだろうか?」
 そんなことを考えていると、もちろん、自分にそんなバカなことがあるわけはないことくらい分かっているはずなのに、なぜ、そんなことを考えるというのだろう。
 それを思うと、
「自分で自分が分からなくなる」
 と考えた。
 あれはいつ頃のことだったか、まだ中学時代だったかも知れない。
 世間では、
「ストーカー」
 というものがあって、特に、
「女の子は気を付けなければいけない」
 と言われるようになっていたが、その頃の自分は、
「自分に被害がないなら関係ない」
 と思っていた。
 だからストーカー事件なる話を聞かされても、別にきになるということもなかったのだ。
 そんな自分だったが、中学時代は、思春期で、自分では、
「俺に思春期などなかった」
 と思っていたが、実は、ひそかにストーカー行為をしていた。
 気になる女の子がいれば、つけていって、家を探ったりもしたのだ。
 もちろん、だからと言って、
「無言電話をしたり」
 あるいは、
「家の前で待ち伏せをしたり」
 などということをしたわけではなかった。
 だから、そんな自分が怖かったのか、それも、
「黒歴史」
 ということで、自分の中で封印してきたのだ。
 そうやって考えると、
「自分には、あとから思いだすきっかけがあれば、思いだせる、人には話せない内容の黒歴史がたくさんある」
 ということを、最近思い知った気がした。
 この、
「ストーカー未遂」
 というのも同じである。
 しかし、思いだした瞬間というのは、
「ああ、俺の黒歴史は、封印していけばよかった」
 と思いだしたことを後悔する。
「だったら、また記憶の中に封印してしまえばいいじゃないか?」
 ということになるのだが、これは、夢とは逆に、
「一度思い出すと、忘れることはできないのだ」
 ということであった。
 夢というのは、
「目が覚めるにしたがって、忘れていくものなので、目が覚めてしまって覚えている夢は、実に少ない」
 ということだ。
 その数少ない、
「覚えている夢」
 というのは、
「怖い夢」
 つまりは、
「悪夢」
 というものであった。
 そういう意味では、
「黒歴史を思いだすというのは、悪夢と同じ」
 ということで、実際には、
「夢を見るというのと同じだということ」
 であり、
「悪夢と黒歴史は同じではないか?」
 と思うのだ。
 しかし、実際には、そのレベルには大きな違いがあるだろう。
 要するに、
「寝てみるのが悪夢」
 であり、
「記憶の中に封印した状態」
 というのが、黒歴史ということだ。
 どちらも、一度思い出してしまうと、もう忘れることはできない。
 つまり、
「封印したはずの記憶から、意識してしまうと、もう二度と記憶に封印することはできない」
 ということで、ある意味。
「パンドラの匣」
 というものに似ている。
 しかし、
「封印しようと思えばできる
「パンドラの匣」
 と違って、
「黒歴史」
 というものは
「封印できるものではない」
 ということになるのだ。
 しかも、黒歴史というのは、
「人の数だけ存在する」
 といってもいい。
 人には少なからず一つは黒歴史というものを持っていて、
「その一つは、子供時代に形成されたものではないか?」
 と考えるのだ。
 だから、記憶の封印は、子供の頃に一度はやっていて、子供の頃の方が、その封印が強いので、
「なかなか思いだす人は少ない」
 ということであろう。
 そんな記憶の封印も、多い人は複数あったりする。だから、人によっては、
「俺の意識は、たくさん、何かを忘れたという気持ちにさせる時がある」
 そして、それが、夢と混乱してしまい、
「悪夢というものを、今までに何度も見てしまったのではないか?」
 と感じさせられるのであろう。
 だから、黒歴史というものを思いだしていると、
「最近では、よく封印が解ける気がするな」
 と思ったのが、
「最近になって、やっと管理職の仕事が嫌ではなくなってきた」
 という時だというのは皮肉な気がした。
 ちょうど、10年くらいかかったであろうか。最初に二年間くらいは、
「嫌で嫌で仕方がない」
 と思っていたが、それからは、その状態に慣れたのか、まるで、