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黒歴史と普通という感覚

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 そこで考えたのが、
「感情と肉体の感覚」
 というものだった。
 学生時代から、
「風俗には興味があるが、怖いところ」
 という印象があった。
 下手をすると、
「ぼったくられる」
 という、昔のピンサロのようなイメージだった。
 しかし、実際にはそうではなかった。
 会社の先輩が、
「彼女もおらず、風俗にもいったことがないなんていうと、それこそ、ストレスがたまりっぱなしになって、身体によくない」
 ということで、最初に、大衆店に連れていってくれた。
 その時、年齢的には、27歳だったのだが、まだ、恥ずかしながら、
「女性を知らない」
 ということだった。
「これで、お前は本当の童貞から、素人童貞になるんだ」
 ということを言われたが、ピンとこずに、ポカンとしていたが、
「素人童貞であっても、皆最初は、素人童貞のようなものだ」
 ということであった。
 大衆店ということなので、こじんまりとした待合室ではあったが、先輩が連れてきてくれた時間は、まだ朝の時間だった。
 それでも、午前九時を過ぎていたが、休日ということもあって、
「人が増えてくるのは午後からだからな。下手をすると、今日のように予約をしてあっても、気が付けば、30分も待たされたなどということも普通にあるからな」
 といっていた。
 この先輩は、口癖で、よく、
「普通に」
 という言葉を使っていた。
 それを、違和感はあったが、慣れてくると、
「自分も自然に使う」
 というようになっていたのだ。
 その口癖は、
「伝染する」
 ということなのか、自分が使いだせば、知り合いもどんどん使うようになっていた。
 実際に、会社の部署内では流行っていたが、他の部署でいう人はそんなにいない。やはり、
「会社で使う言葉」
 というわけではないようだ。
 そんな先輩が連れてきてくれた
「お風呂屋さん」
 で、最初に相手してくれた女性を好きになるという、
「ソープあるある」
 の状態になりかかったが、先輩はそのことを分かっていたのか、
「一人の人に入れ込むのは危険なんで。せっかくもし次行くんだったら、他の人に入ってみるのをお勧めするがな」
 ということを言われた。
 確かにその通りであって、自分も、
「のめりこんではいけない」
 と思うのだったが、もし、注意を受けていなければ、かなりのめりこんでしまっていたかも知れない。
 もし、それが、最初の相手でなくとも、
「いずれどこかで、誰かに……」
 ということを考えると、少し怖い気がした。
 おかげで、最初の女の子にのめりこむこともなく、他の子でものめりこむことはなかった。
 その時教えられたように、
「同じ子を続けなければいいからな」
 ということで、他の子を間に挟む形で、また同じ女の子ということは普通にあったのだった。
「一体、何回店に行ってるんだ?」
 と言われるかも知れない。
「よくお金が持つじゃないか?」
 と言われるかも知れないが、自分には、これと言った趣味もなかった。
 最近になって、
「小説執筆」
 という趣味ができたわけだが、正直、お金がかかる趣味ではない。
「パソコン一台あればいい」
 ということで、
「このパソコンだって、今までに別件でも使っていることなので、どうせ買わなければいけないものだった」
 ということである。
 だから、執筆という趣味ができた時、
「これって、金のかからない趣味ということでもありがたい」
 と思ったのだ。
 探偵小説が好きだったので、本当であれば、昔の話を書きたかったのだが、何といっても、
「その時代を知らない」
 というわけで、その時代の時代考証を考えながら書くとなると、それはすでに、
「時代小説」
 ということになるだろう。
 それでは、
「探偵小説を書きたい」
 と思ったこと自体が、
「その筋からずれてしまった」
 ということになる。
 それでは、自分の目的とはずれてくるに違いない。
 執筆をしていると、
「時間が経つのがとても早い」
 感覚的に
「10分くらいだろう」
 と思っても、実際には、
「一時間が経っていた」
 というくらいに時間が経っている。
 それを思えば、
「時間の有効活用」
 という意味でも小説を執筆する趣味は、
「実にありがたい趣味」
 といってもいいだろう。
 しかし、実際には、時間は経っているわけで、他の人からみれば、
「無駄に使っている」
 と見えるらしく、それこそ、
「人の趣味に対しての冒涜」
 ということであり、
「趣味を持つこと」
 というのを、
「ゲーム」
 であったり、
「ギャンブル」
 という勝負事しか思いつかない人の妄想なのではないかと感じるのだった。
 もちろん、それを非難すれば、自分も、
「人の趣味に干渉する」
 ということになり、
「自分の趣味をバカにしている連中と同じではないか?」
 ということになるのだ。
「それはさすがにまずい」
 ということで、自分から人の趣味に言及することはなかった。
 確かに、自分のまわりに、
「小説を書いている」
 という趣味の人はいない。
 時々、表で執筆する時、馴染みの喫茶店があって、そこでは、結構早い時期から、常連になったのだ。
 常連になると、少々粘っても、文句は言われない。
 だからと言って、
「コーヒー一杯」
 というのはあんまりなので、
「一時間に何か一つは注文する」
 ということにしている、
「まるで、コンセプトカフェのようだ」
 ということであるが、実際にその店はコンカフェのようなところで、他であれば、
「一時間ワンオーダー制」
 ということなのだろうが、マスターが親切でそこまではすることはなかった。
 それでも、その店で小説を書いていると、
「いいよいいよ、何かの作業にこの店を使ってくれるのはありがたい」
 といっていた。
 この店は、そもそも、オーナーの本職は、
「工芸作家」
 だった。
 だら、店にはアンティークなものであったり、時々、
「奇妙なもの」
 が置かれていたのだ。
 話を聞いてみると、
「これはマスターの作品なのよ」
 とウエイトレスの女の子は教えてくれた。
 その子は、年齢的に三十代くらいであろうか。
「かわいいな」
 と思っていたが、どうやらすでに結婚しているようで、
「ああ、結婚しているのか。残念」
 ということで、
「いかにも、狙っていた」
 というような言い方をすれば、すでに彼女が結婚をしているということが分かっているだけに、
「それだけ気に入っていたんだよ」
 ということで、彼女も嫌な気はしないだろうと思ったのだ。
 実際に、女の子は、うまく笑ってごまかしていたが、
「ほんのりと自頬が赤らんでいるのを見ると、やっぱりかわいいと感じた」
 それは、彼女からの返事のようにも思え、それを見た時、
「もう、常連になっちゃったかな?」
 と感じたのだ。
 その店で彼女に聞いた時、
「なかなか、俺と同じような小説を書いているなんて人見たことないんよな」
 というとm、
「そうですか? このお店にくる人の中には、小説を書いてらっしゃる人もいるみたいですよ」
 ということだった。
「そうなんだ。お目にかかってみたいな」
 と言ったが、