小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

蔓延と慢性

INDEX|12ページ/17ページ|

次のページ前のページ
 

 といってもいいだろう。
「会社も家庭も終わりだ」
 ということに変わりはない。
 というのは、
「捕まった時点で、誰かが知ることになる」
 ということだからだ。
 というのは、
「もし、そこで無罪が証明されない限り、警察から帰される時、必ず誰かが身元引受人ということになり、誰かが迎えに来なければいけないということになれば、
「会社か、家族」
 のどちらかでなければいけないだろう。
 さすがに、
「ただの友達」
 というわけにはいかない。
 普通は、
「家族か、会社の人」
 という人でなければ、身元引受人ということにはならないからだ。
 それを考えれば、警察に現行犯で捕まった時点で、アウトだということになるだろう。
 しかし、この場合は警察に捕まる場合であるが、下手をすると、もっとひどい場合があるかも知れない。
 というのは、この場合こそ、
「オンナ」
 ということで、立場が強いという場合のことで、、もし、痴漢ということで、取り押さえられたとして。その男が警察に連れていこうとしなかった場合は、怖い可能性がある。 というのは、駅の裏の誰にも見られないようなところに連れていかれるだろう。
 最初は、
「自分のことを考えて。まわりに見られないようにしているのではないか?」
 と思ったとすれば、それは、とんでもない見当違いというものである。
 というのは、相手が考えていることというのは、
「こいつを脅して、金を取ろう」
 という考えだからである。
 要するに、
「被害者の女と、捕まえた男がグルという場合」
 のことである。
 つまりは、
「美人局」
 というものだ。
 普通の美人局というと、
「街の中で、女が立ちんぼと言われるような仕事をしているところであれば、そんなところに行けば、女が男に声を掛けてくる」
 というものである。
「今晩いくらで」
 という交渉が始まるわけで、成立すれば、ホテルなどに連れ込むということなのだが、その時、女はあたかも、男のことをおだてたりして、見せかけの恋愛感情のようなものを見せて、男を気持ちよくさせたところで、誘い込むというわけだ。
 確かに、男は、おだてられたり、言い寄られれば気持ちがいいものだ。たとえ、
「金目的だ」
 ということが分かっても、
「こっちだって、どうせ金で誘っているのだから、同じことだ」
 と思うので
「金で時間と女を買う」
 と思えば、ウソでもいいと思うことだろう。
 そもそも、そういうゲームを楽しみたいと思う男だっているわけで、
「決まった時間の恋人を金で買うだけのことである」
 しかも、その時、バックには男がついていて、男は男で、
「女が誘う相手を最初から調べておいて。狙いを定める」
 ということをするわけで、誘われた男は、おだてに乗ってついてくるだろう。
 毎日の仕事が忙しかったりすると、たまに、こういう遊びをしてみたくなるというのが男というものではないだろうか。
 それを考えると、男も簡単に引っかかるというものだ。
 もちろん、女についている男が目をつけるのは、
「金を持っていて、それなりに立場がある人」
 ということで、
「どこかの会社の重役や、部長クラス。さらには、芸能人や芸人という、露出があり、名前が売れていれば恰好のマスゴミの餌食というわけだ」
 つまり、誘い込まれたホテルの一室で、
「さあ、これから」
 という時に、いきなり男が飛び込んでくる。
「俺のオンナに何するだ」
 とばかりにである。
 女は、怯えてしまうという芝居に入り、被害者に縋り付いたりする。
 すると、男が逆上し、
「お前は俺のオンナの不倫相手か?」
 ということになり、
「いえ、違います」
 といって、その後に、
「オンナから誘ってきた」
 などというと、相手の男が怒り狂う口実を与えてしまったことになるだろう。
「お前は、俺のオンナをそんな風に言って侮辱するのか?」
 ということで、完全に修羅場である。
 そうなると、相手の男は次第に冷静さを取り戻すと、怯えていた女も冷静になり、
「この人何するか分からない」
 などとこっそりといって、逆らってはいけないというだろう。
 男の方は冷静になると、
「じゃあ、金で解決するか?」
 ということになり、被害者も、
「金で解決することなら」
 ということで。最初は少し少なめの金を要求するということで、少し楽な気がしてくるので、金を渡してしまうと、それが命取りということになるのだ。
 金を渡してしまうと、相手は、
「じゃあ、また今度な」
 ということになる。
 そして、次第に要求してくる金がどんどん増えてくるということになり、泥沼に入り込むということになるだろう。
 被害者からすれば、もうどうしよもないのだ。
 まず、男の立場からすれば、
「寝取られた」
 ということで、ホテルで見つかった時点でアウトだ。
 もちろん、その時にカメラで写真も取られている。
 何といっても、ホテルで裸になっている写真で、その横には裸の女が写っている時点で、圧倒的に不利である。
 しかも、その後に。
「脅迫された」
 とはいえ。金を渡しているということは、
「罪を認めた」
 ということで、言い訳はできない。
 もし、男のバックに、どこかの組織でもいれば、それこそ、大変だ。
 しかし、問題はここからである。
 場合によっては、途中で大どんでん返しが起こるということがあるだろう。
 というのは、
「もし、その相手の美人局に、バックがいなかったら?」
 ということである。
 自分たちが単独でやっていることであれば、大きな落とし穴がある」
 ということになるだろう。
 まず男とすれば、
「被害者になる男は、金を持っていて。マスコミや世間にバレるとまずい」
 ということで、
「簡単に金を出すだろう」
 と考えている場合である。
 確かに、お金があって、立場もある人間であれば、簡単に金は出すが、あくまでも、美人局がそこまでしか考えていないとすれば、
「あまりにも浅はかだ」
 といえるのではないだろうか?
 これは、一度テレビドラマで見た話であるが、確かに美人局の計画は、ある程度は、うまくいくに違いない。
 しかし、最後の詰めが甘いといえるのではないだろうか?
 というのは、
「男には、肝心なことが分かっていない」
 ということであり、それは、
「逆転の発想ができない」
 ということである。
 というのは、男は、
「相手が金を出す」
 というところまでは計算しているだろう。
 しかし、男とすれば、
「金を出す」
 ということにだけ考えをめぐらせているのであれば、浅はかだということになるのだ。
 なぜなら。
「金を出す理由」
 というのが分かっていない。
 それは。
「自分の人気や立場が揺るぐくらいであれば、金を払った方がいい」
 ということで、
「金よりも何よりも、名誉や立場というものが大切」
 ということになるのだ。
 つまり、男とすれば、
「金はいくらかかっても構わないから、立場や名誉を守りたい」
 と考えるだろう。
「金はいくらでも貯めることはできるが、それも、名誉と立場があってからのことであり、その二つがなくなると、金はまったく手に入らない」
作品名:蔓延と慢性 作家名:森本晃次