小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

黒歴史

INDEX|12ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

「何かの宗教的発想が、頭をもたげた」
 ということになるのかも知れない。

                 ワクチンと特効薬

 これは偶然なのかどうなのか、警察が、目撃者と思しき少年を調べてみたが、その少年が、
「次第に立場が怪しくなってくる」
 ということになってきたのは、桜井刑事も、あの時の警官も、
「想定外」
 ということであった。
「その少年、というか青年であるが、もう19歳になっているので、今の法律では、少年ではなく、立派な成人ということになるのだろう。
「予備校に通っている」
 ということで、どうしても、そういう偏見の目で見てしまうのか、
「まだまだ少年だ」
 という感覚が抜けなかった。
 ただ。それ以上に、その少年が、
「平均的な生徒だ」
 という感覚からであった。
 桜井刑事などは、その
「平均的な」
 ということに嫌悪感を感じている。
「まるで自分の子供の頃を思い出す」
 と感じていた。
 しかし、桜井は、中学に入る頃から、
「平均的なんて嫌だ」
 と明確に考えていたので、そんなまわりに対して、
「反骨審があった」
 というのは、
「俺はこのまま育てば、望む望まないに限らず、きっと平均的な、親がいうようなつまらない大人になるんだろうな」
 と思ったからだ。
 だがそれを考えると、
「少年時代」
 と呼ばれる時代があったとすれば、
「自分が嫌いだと思っていることに、まだ反抗するだけの覚悟がなかった」
 という時期ではないかと考えた時であった。
 だから、この少年が、まわりから平均的に見られているということは、
「彼がまだ少年だ」
 ということになるのか、それとも、
「まわりが、平均的では嫌だという風潮の中で、彼には、その逆らう覚悟というものが足りなくて、結局、平均的な男にしかなれなかった」
 ということなのであろう。
 平均的な人間というのは、絶対にできるのだ。
 人が複数いれば、絶対に同じ人間がいるわけではない。つまり、
「人数分の順位は必ず付く」
 ということである。
 だから、
「平均的な人間」
 あるいは、
「平均的に限りなく違い人間」
 というものができるというのは当たり前ということであろう。
 つまりは、
「望む望まないに限りなく、その人はできてしまう」
 ということだ。
 ただ、中には、
「平均的でいい」
 と感じている人、逆に、
「平均的が、一番いいことだ」
 と信じて疑わない人もいるだろう。
 それならそれで構わない。自分が平均的では嫌だと思っている以上、平均的でありたいと思っている人は、当然、いてもおかしくはないわけだ。
 しかし、そう思い通りにいかないのが、世の中というもので、
「平均的では嫌だ」
 と思っている人が平均的であったり、
「平均的でありたい」
 と思う人が、何かに特化した人間だったりと、いうことになる。
 しかし、それでも、適材適所ということでうまくいっているのであれば、今度は、考え方を変えればいいのだろうが、子供の頃から思ってきた考えを、そう簡単に変えるということもできないに違いない。
 それを思えば、
「平均的だと言われた鈴村青年が、どういう青年なのか?」
 ということを知りたいと思っても不思議はないだろう。
 むしろ、桜井刑事は、
「興味がある」
 と思っていた。
 もっとも、
「事件がない状態で知り合いたかった」
 という気もするくらいだったが、
「行方不明になっている」
 ということであるというのは、実におかしな感覚になるのだった。
 だから、余計に、
「虫の知らせ」
 というものに、敏感だったのかも知れない。
 ただ、警察というところは、
「何か事件性がなければ、率先して探すことはない」
 それは、捜索願が出ていても同じことだ。
 ただ、今回は、
「事件というものが、明らかに起こっていて、その目撃者」
 ということで、
「探さなければいけない」
 ということは分かっている。
 しかし、実際には、優先順位としては低いものだ。
 行方不明者を探すのは、あくまでも、
「事件の目撃者」
 ということでだけのことであった。
「犯人を早く捕まえて、市民を安心させ、治安を安定させたい」
 というのが、警察官としての使命であろう。
 だが、実際には、
「検挙率を上げる」
 ということで、捜査に必死になっているということで、目撃者というものが、犯人逮捕に対しても多いに大切ではあるが、その後の裁判でも必要となってくるということも分かっているので、
「決して優先順位は低くはないだろう」
 を桜井刑事は考えたが、
「そもそも、そう考えること自体、自分が警察の悪しき体制に、どっぷり浸かってしまっているのではないか?」
 と考えてしまったことが、自分では嫌だった。
 それこそ、警察にとっては模範であるという、つまり、
「平均的に、なんでもこなす」
 ということに近い警察官となってしまうと感じるのであった。
 桜井刑事はこの事件において、
「自分が、いかに推理すればいいか?」
 といつも青写真を描いていた李するのだが、今回は、推理するにも、情報が少なすぎる。実際に、今回の事件としては、
「目撃者の証言と、防犯カメラの一致が、さい優先で、その一致が大前提になることで、事件の推理が、スタートラインに入る」
 ということになると考えていた。
 というのは、推理には、まず、
「証拠となる物証と、状況証拠というものの二つが必要だ」
 と思っていた。
 普通、必要なのは、物証であり、物証から犯人を割り出すことで、まずは、
「容疑者の確保」
 つまりは、
「逮捕」
 ということが最優先ということになるのだろう。
 そして、いよいよ取り調べということになるのだ。
 つまり、犯人の確保の間には、物証が必ず必要ということになってくる。
 なぜなら、容疑者が逮捕されると、そこで出てくるのが、容疑者側の、
「弁護士」
 というものだ。
 その弁護士に対して警察側には、
「検事」
 というものがついていて、基本的には、
「検事の指示のもとに、警察が動く」
 ということが必要になってくるというわけである。
 事件が発覚すると、警察が検事の指示のもとに動き、初動捜査が始まる。
 その中で、
「現場検証」
 というものが行われ、そこで、鑑識による、検証が始まるということだ。
 これが殺人事件であれば、
「殺害手段」
 や、
「死亡推定時刻」
 さらには、指紋が残されているか?
 などというものが、調べられる。
 そして、殺人事件だったり、変死だったりすれば、そこで、
「司法解剖に回され、さらなる死亡時における暗しいデータが出てくるということになるのだ」
 刺殺であれば、凶器がどのようなものか。
 これは、絞殺でも同じことで、
「どのような形状のものが使われたのか?」
 ということだ。さらに、傷口の形から、どのような経過で殺害されたのか?
 などということも分かってくるというものだ。
 これが毒殺であれば、、毒物の特定、
「さらには、カプセルによって飲まされたものなのか?」
あるいは。
「直接飲んだものなのか?」
 ということも知る必要がある。
作品名:黒歴史 作家名:森本晃次