犯罪という生き物
ということで、
「だんだんと小さくなっていっている」
ということと、その向こうに見えている姿が、
「無限である」
と思わせることで、
「ゼロになるということはない」
という考えから、
「限りなくゼロに近い」
という発想が生まれ、それが、
「「無限をならしめるということになる」
というものであった。
だから、無限に見えているそのものは、
「どこまでいっても、ゼロにはならない」
ということで、それは、
「数学は証明している」
といってもいい。
要するに、
「整数同士の割り算であれば、どんなに分母が大きくて、分子が小さいものであっても、
ゼロになることはない」
というものであった。
自分の部屋がそんな部屋だということに気が付いたから、
「限りなくゼロに近い」
という発想が生まれたのか?
それとも、数学の授業で、公式を見た時に、
「限りなくゼロに近い」
というものの存在を感じた時、
「無限というものを、自分の部屋に照らし合わせる形で感じた」
ということなのかというのを思い浮かべるようになったということであろう。
中学時代に部屋の広さを感じた時、
「何かに救われた」
と感じた。
それは、
「孤独であるにも関わらず、自分というものが、分かっているわけではないので、何かに救いを求めることで、無限の暗さの恐ろしさに、恐怖を感じるということがマヒしていたのではないか?」
と感じたのだ。
その思いが、中学3年生で、
「受験」
というものを初めて味わった時、
「孤独を恐怖として感じなかったことがなかった」
というのが、受験をうまく乗り越えられた秘訣だったのかも知れない。
ストーカー
高校時代までは、引きこもりとなっていたが、
「受験を突破する」
という意味では、
「実に都合のいい考え方だっただろうか?」
ということである。
父親も気を遣ってくれて、
「受験生が家にいる」
ということもしっかり把握できていたはずであった。
特に。
「父親としても、娘にアドバイスの一つも上げたいのだろうが、それには度胸というものがいる」
ということになる。
しかし、いくら度胸をもって話しかけたとしても、それが、徒労に終わってしまったとすれば、お互いに気まずいということになるだろう。
それでも、大学入試が
「浪人することもなく合格できた」
ということは、父親としても、
「金銭的にも。精神的にもありがたかった」
どちらにしても、父親としては、
「いっぱいいっぱいだった」
といっていいだろう。
金銭的には、
「社会のせいにしてはいけないのだろうが、この不景気において、娘を大学にやるには、予備校代というのも、きつい」
と思っていた。
ただ、もし浪人することになれば、予備校代は、バイトして稼ぐつもりだということは考えていただろう。
しかし、だからと言って、
「バイトしたから、次の入試にも不合格だった」
などということになれば、それはそれで、本末転倒も甚だしいということであろう。
それを考えると、ある意味、
「不合格は、八方ふさがりを意味する」
といってもいいだろう。
大学入試もうまくいったことで、父親は、
「これでやっと、解放される」
と思ったことだろう。
大学生の時、一人暮らしをしてはいたが、
「家賃代以外の仕送りはいらない」
ということであった。
「入試と並行してのバイトではないので、それほどきつくもないし、当たり前のことであり、本末転倒ということにはならない」
といえるであろう。
それを考えると、
「バイト生活」
というものが、大学生活において、
「メリハリをつけさせる」
という意味で、よかったといえるのではないだろうか?
友達もそれなりにできたが、むやみやたらに増やさなかったということは、かすみにとっては、
「いいことだった」
といえるのではないだろうか。
それを考えると、
「就活の時だけは、少し焦ったが、それまでの、高校や大学の入試」
というものには、それほど危機感を感じていたわけではないということであろう。
「きつかった」
ということと、
「危機感を感じさせる」
ということは、それぞれに、違ったものなのであろう。」
そんな新藤かすみが殺されている現場が発見されたのは、かすみが就職した会社の近くでのことだった。
夜中に発見されたのだが、その場所は、普段であれば人通りの多いところで、実際に、その時間、夜中ではあったが、まったく人通りがなかったわけではない。
近くには、ちょっとした繁華街があり、その繁華街を定期的に、警察もパトロールする場所なので、何かあれば、
「普通なら、複数の目撃者というものがいて当然だ」
ということになったことであろう。
実際に、このあたりでは、数年前にも殺人事件があった。
その時は、何と、時間的には、午後六時過ぎという、夕方でも、一番人通りの多い時だったのだ。
全国のニュースでも放送され、その数日義にも、
「犯人はまだ捕まっておりません」
という情報しかなかった。
ただ、
「犯人が誰であるか?」
ということは最初から分かっていた。
何といっても、都会のど真ん中の、一つ裏に入った路地である。
そこは、普段はオフィス街と言われるところで、朝と夕方の、通勤時間、そして、昼休みともなると、人が複数連れだって歩いている光景を、
「普段の光景」
として見かけるのであった。
当然、そういう場所なのだから、防犯カメラなどあって当然である。
実際に、警察が事件が起こってから、付近の聞き込みと並行して、防犯カメラを押収し、その時間の映像を解析することくらいは、最初からやっているというものだ。
しかも、その被害に遭って殺された女性は、
「ストーカーに付きまとわれていて、警察に相談していた」
というではないか。
案の定、犯人はその男で、その男は、
「オンナを殺して逃げている」
ということになったのだ。
実際に防犯カメラには、いい争いをしている二人の姿が映っていて、刺したところも映っている。
その言い争いというのも、明らかに、男が女を問い詰めるような状態で、女が嫌がっている姿であった。
二人の関係を知らない人でも、その男が、
「彼女に対して、しつこく付きまとっている」
ということは、一目瞭然というものであった。
実際に彼女は生活安全課に相談を寄せていて、警察が動いてもいた。
「警察というのは、何か起こらないと行動しない」
と言われているので、しかも、ストーカー問題というと、
「下手に警察が絡んでいる」
ということを相手が知ると、
「逆恨みをする」
という危険性があるので、警察もうかつに手を出せないということになるのであろうが、今回は、まさに、その
「逆恨みが原因」
ということであろうか。
あまりにもひどい状況だったからだろうか、
「接近禁止命令」
のようなものが出ていた。
ということは、実際に、
「そのストーカー行為は、ある程度、度を越している」
ということが明らかであった。
いくら警察とはいえ、