三つのわだかまり
ということになれば、少し様相が変わってくる。
前提として、あくまでも、
「そういうパターンが多い」
ということで、よくあるのが、
「中学生などが、苛めの一環として、虐めている相手に万引きをさせる」
というものもあり、また、
「受験や友達関係でストレスをためた中学生などが、そのはけ口を見つけることができず、つい、万引きに走ってしまう」
ということ、さらに、
「主婦などが、家庭のストレスからか、つい盗んでしまう」
というパターンである。
初犯の場合は、
「苛め」
が絡んでいる以外の、単独犯ということであれば、人によっては、
「自分が万引きを働いた」
という意識すらないくらいになっているかも知れない。
それだけ、世の中には、ストレスをためるだけの
「住みにくい環境」
というものがあり、そこに、
「生活格差」
というものがあることで、ストレスが生まれ、
「そのストレスを解消できず、精神を病んでしまう」
という人もたくさんいて、最近では、
「精神疾患に悩んでいる人」
というのが、たくさんいるということである。
「うつ病」
であったり、
「パニック障害」
あるいは、
「発達性障害」
に代表されるものもあれば、
「双極性障害」
のように、
「相当な種類の薬を飲み続けなければいけない」
ということで、その副作用に悩んでいる人もたくさんいるのである。
社会は、そういう人たちに対して、まだまだ偏見の目で見ている人もいるだろう。
「社会適用能力がないから、精神疾患になった」
と、口では言わないが、そう思っている人もかなりいることであろう。
それを思うと、
「人間の信頼関係なんて、一皮むけば、ろくなものではない」
ということになるだろう。
だから、自分がヒーローになりたいということで、人を簡単に、犯罪者として突き出すことができるのだ。
普通であれば、
「間違いだったらどうしよう?」
と思わないのだろうか?
思わないということは、
「その人が犯罪者であろうがどうであろうが、それは関係ない。俺がヒーローになれればそれでいいんだ」
としか思っていないからだ。
「もし、逆の立場だったら」
と少しでも感じたとすれば、そんなことは絶対にできないはずである。
そういう、
「偽善者のような連中が、本当は犯罪を生んでいるのではないか?」
ということで、そいつらが、復讐を受けたのだとすれば、それこそ、
「自業自得だ」
ということになるだろう。
だが、万引きの場合は、
「苛め」
というものが原因ではないという場合は、
「出来心」
というものか、あるいは、
「常習性によって、やめられなくなっているか?」
ということであろう。
「出来心」
ということであれば、十分に立ち直ることもできるだろう。
しかし、その時に、
「万引き」
というものと、自分の中にある欲望が結びついて。それが常習性に変わるということもお十分にあり得ることだ。
だから、
「最初は、無意識だった」
ということになるだろうが、二回目以降も、そういう人は無意識に犯罪を繰り返すということになるかも知れない。
そういう人は、
「万引きを楽しい」
と思ってやっているのだろうか?
ただ、心の中では。
「万引きを犯罪だ」
という意識がないのかも知れない。
だから、無意識にしてしまうのだろう。
「万引きをしても、誰も困る人はいない」
というくらいに考えているとすれば、それは大きな間違いだ。
「もちろん、貴重品などの高価なものを万引きするのであれば、レベルの違いから、店に大きな迷惑をかけるだろうが、数百円くらいのものを盗むのだから、別に大したことではない」
と思っていることだろう。
しかし、これは、
「お金の大小の問題ではない」
ということになる。
店側とすれば、レジをしめる時、
「1円でも違えば、何度も数えなおしをする」
というところもある。
中には、
「一円くらいなら、軽く補填すればいい」
と思うのだろうが、そんな問題ではない。
確かに、
「数百円くらいのものであれば、大したことはない」
と店側も考えるかも知れないが、それが、数人によっての犯行であれば、その額は大きなものになる。
小さな店舗で、売上が大したことのない店であれば、数千円くらいでも、損失は大きいといえるだろう。
それを考えると、
「犯罪に、大小はない」
といってもいいのかも知れない。
特に、このような
「常習性を伴う」
というものは、恐ろしいもので、本人が、
「辞めよう」
と強く思わなければ、また繰り返すことになるだろう。
何といっても、
「行動に移った時には、無意識」
ということになるのだからである。
いくら、警察や店から、
「犯罪だ」
と言われても、本人に自覚がないのだから、罪の意識がないということで、
「何を悔い改めるというのか?」
ということで、何を言われても、心に響かないだろう。
下手をすれば、それこそが、
「精神疾患のようなもの」
ということで、いくらいってもダメであれば、
「病気ということで、その治療に専念させる」
ということも大切なのだろうが、まわりが、それを分かっていないと、できることではない。
しかも、本人にも自覚がないのだから、もしまわりが、
「精神疾患があるのだから、病院で治療させないといけない」
と思ったとしても、首に縄をつけてひっぱっていくわけにもいかず、どうしようもないということになるだろう。
その間にも、店では被害が起こっていて、世の中には、そういう、
「万引き犯予備軍」
と言われるような人が、結構いるのかも知れない。
「こういう常習性があり、やめることができない人というのは、依存症というものになる人も多いだろう」
つまり、
「買い物依存症」
であったり、
「ギャンブル依存症」
あるいは、
「セックス依存症」
ということで、それらは、自分の中にある欲望を満たすことで、ストレスを解消しようというものであり、こちらも、罪の意識はないだろう。
もっとも、万引きなどのような、
「れっきとした犯罪」
ではないので、それも当然である、
ただ、欲を満たそうとすると、かならず、金が要るというのは当たり前のことで、その金をどうするかというと、貯金で足りなくなると、借金に頼るということになる。
さらに、その借金は、
「悪徳金融」
などから借りたりすると、次第に首が回らなくなり、
「家庭崩壊」
ということに繋がったり、
「風俗で稼ぐ」
ということになるかも知れない。
どちらにしても、
「堕ちていく」
ということに変わりはないのだ。
つまり、
「その時の感情にのみ、救いを求めようとすると、結局、常習となってしまい、抜けられなくなったことで、堕ちていく」
というのを、繰り返すことになる。
それは、まるで、
「麻薬」
のようなもので、そういう状況を、
「中毒」
ということになるのだろう。
そんな中において、一人の万引き犯が見つかった。
その人は、まだ中学生で、初犯ということであった。
おどおどした態度は、