三つのわだかまり
ということを知らない状態において、
「ただ殺しただけでは気が収まらない」
といえるだろう。
そういう意味で、
「猟奇的犯行に見えたり」
あるいは、
「耽美主義的で、芸術的な殺し方」
であれば、それは復讐なのか。それとも、本当に、
「変質者や精神異常者による犯行」
ともいえるのではないだろうか?
それを考えると、
「犯罪というものが、どういうものなのか?」
と世間に問いかけることになるかも知れない。
これが復讐であれば、相当な恨みがあるといってもいいだろう。
そうなると、犯人は、
「犯行後のことをどこまで考えているか?」
とも考えられる。
これが、
「金がほしい」
などという犯罪であれば、
「逮捕されるということは、犯罪を犯す意義がまったくない」
といえることで、逃亡まで、しっかり考えてのことであろう。
しかし、これが復讐ということであれば、
「相手を苦しめて、じわじわと死に至らしめることさえできれば、それで満足だ」
ということが多いだろう。
そうなると、
「捕まったっていい」
と考えているかも知れない。
ただ、それでも、
「生き残りたい」
と思うとすれば、
「この事件で殺された方の家族が、どのように苦しんでいるのか?」
ということを確かめないと、腹の虫がおさまらないともいえるのだった。
これが、
「動機によって、犯行の性質がまったく違ってくる」
ということになるのであろう。
それを思うと、
「事件の性質は、動機によって、まったく変わってくる」
ということになるに違いない。
万引き犯
凶悪犯ばかりを話してきたが、そんな凶悪犯ではなく、それ以外に、別に人を殺すわけでも、強盗したりという、相手に危害を加えるというわけでもない犯罪も、世の中にはたくさん存在している。
「つい出来心で」
というのも、少なくない。
「そのつもりはなかったのに、つい手を出してしまう」
というものだ。
おちろん、最初から計画をしてのことかも知れない。
もっといえば、その手の犯罪は、
「常習性」
というものがあるわけで、たとえば、
「痴漢」
のような、性犯罪であったり、
「万引き」
のような窃盗罪などが、その例であるだろう。
どちらも、初犯ということであれば、
「出来心で」
といえるかも知れない。
さらには、
「動かぬ証拠」
がなかったり、容疑者が、絶対に認めようとしない場合には、
「無実の可能性」
というのも高いというものだ。
「冤罪というのは、警察とすれば、絶対に起こしてはいけない」
というもので、本当であれば、細心の注意を払わなければいけないだろう。
何しろ、痴漢も万引きも、
「現行犯」
でなければいけない。
何しろ、計画性がないものなのだから、あとから、その証拠を探すといっても、出来心であれば、その証拠を見つけることはできない。
そうなると、まわりの一般市民が見つけたり、店主、あるいは、
「万引きGメン」
や、
「見回りの警官や刑事」
が見つけるしかないということになる。
それでも、人がごった返している中で、
「本当にその人が犯人なのか?」
ということを、完璧に証明できるといえるのだろうか?
日本という国は、
「疑わしきは罰せず」
という原則があるくせに、現行犯の場合は、冤罪であっても、
「推定有罪」
ということにされてしまう。
確かに、犯罪の中では、万引きであったり痴漢というのは、それほど罪の重いものではないだろう。
初犯などであれば、有罪になることがなかったり、罰金で済んだりするくらいだ。
特に痴漢であれば、
「刑法犯ではなく、自治体が定める、都道府県条例」
というものに裁定があるということである。
しかし、満員電車の中で、
「この人痴漢です」
などと、皆の前で、叫ばれて、さらし者にされ、そのまま鉄道警察隊に連行されることになってしまえば、その人は、もう犯罪者でしかないということになるのだ。
そうなってしまうと、どうしようもないということになり、もし、その状況を知り合いが見ていた李、会社の人が見ていると、今度会社に出社した時に、まわりの偏見の目がすごいことになるだろう。
会社では、解雇通達を受け、家庭では、離婚問題に発展しかねない。
つまりは、
「社会的制裁」
というものが、重くのしかかってきて、本人とすれば、
「俺の人生は終わった」
ということになるだろう。
そうなると、どうなるか?
「俺を突き出したやつは、ヒーロー気取りでいるに違いない」
と思うと、復讐心は一気に燃え上がるに違いない。
「同じ目に遭わせてやろう」
として、そいつらを付け狙い、満員電車の中で、
「この人痴漢です」
といって、そいつを冤罪として、同じ目に遭わせようということになるだろう。
そうなると、その男は、自分と同じ運命をたどることになり、
「ざまあみろ」
とは思うだろうが、下手をすれば、そこからが、
「復讐の応酬」
という、
「負のスパイラル」
というものを生むことになるのかも知れない。
それを考えると、
「すべての元凶は、冤罪を生んだ、軽い気持ちのヒーロー気分だ」
ということになる。
そして、
「人間というものは、恨みを持つと、精神的に強くなるのかも知れない」
と思う。
しかし、それがいいことなのか、悪いことなのかは分からないのだ。
ただ、この痴漢というのは、実際にいるのも事実であった。
というのも、
「集団で犯行に及ぶ」
という、
「組織のようなもの」
というのが存在する。
ということである。
これは、痴漢だけではなく、万引きや窃盗にもあることだ。本来であれば、警察がマークしたり、内偵をしているのは、そういう集団犯罪の場合だろう。
もっとも、中には、窃盗や空き巣などには、
「一人でも、プロ」
という人もいて、今では少なくはなっただろうが、昔は、そういう人が結構いたということだ。
テレビドラマなどでは、
「警察の犬」
とでもいっていいのかどうか、
警察が、何か内偵を進める時の、
「情報屋」
などとして、
「裏社会を知っている」
ということで、警察と手を組んでいる人もいる。
もちろん、何かの交換条件が存在するのだろうが、本当にそんな状況があるのかどうか、謎だといってもいいだろう。
それこそ、
「昭和時代」
の捜査方法であり、今であれば、バレたりすれば、
「警察官の規定違反」
ということになり、懲戒免職も免れないだろう。
それこそ、
「コンプライアンス違反」
の問題も絡んでくることだろう。
痴漢の場合は、そういう冤罪から、泥沼を巻き起こしたり、下手をすれば、恨みが大きければ、
「殺人事件」
ということに結びついてくるかも知れない。
それを考えれば、どうしようもないスパイラルは、まるで、
「底なし沼」
か、
「アリジゴク」
を思わせる状態に引き込んでしまうであろう。
万引きについてはどうだろう?
置き引きやスリなどというものであれば、
「犯罪集団」
というものが存在するが、
「万引き」