時代背景の殺人事件
「野球ファンというと、サラリーマンくらいで、子供は、贔屓される球団くらいしか知らない」
という状況だった。
今であれば、
「地元密着型の球団」
というのが多いので、女性ファンも増えてきたのだ。
しかし、それでも、テレビ中継は、
「昔からの人気球団しか放送しない」
要するに、
「視聴率が確実に取れる」
ということで、放送していたのだろう。
いくら、地元球団人気が出てきたからといって、すべての人が、
「ゴールデンタイムに野球を見る」
ということはないようだ。
しかも、問題となってきたのは、
「スポンサーとの関係」
であった。
放送時間を、
「7時から9時まで」
ということにしておいても、9時までに確実に終わるわけではない。
そうなると、野球ファンは、放送の延長を望み、元々の9時から放送されるはずの、ドラマを見たいと思っている主婦層などからすれば、困ることになる。
ドラマも、視聴率が取れるから放送しているのであり、しかし、実際には、強いのは、
「お金を出している」
ということで、
「視聴者よりも、スポンサーの方」
なのである。
中を取って、
「最大延長を9時半まで」
ということにしていたが、それも、ある程度限界があるようだった。
そこで出てきたのが、
「ケーブルテレビなどの、有料放送」
であった、
これは、チャンネルごとに、ジャンルがあり、
「スポーツ専用チャンネル」
であったり、
「ドラマ専用チャンネル」
ということで、月額数百円という形で契約することで、
「見たい番組を見れる」
ということだったのだ。
その頃は、バブル経済から、10年ほどが経った頃で、社会もかなり変わってきていたのだ。
民放のような無料チャンネルは、スポンサーにすがるしかないので、
「視聴者のための番組」
というものを簡単に作ることができないということで、
「番組編成を大幅に変更を余儀なくされた」
ということであった。
だから、
「ゴールデンタイムとして放送していた、野球中継」
そして、
「野球シーズンがオフの間に放送していた時代劇などは、テレビ番組の編成から、徐々に姿を消していった」
ということであった。
特に、野球などは、スポーツチャンネルが複数出てきて、
「ひいきチームすべてのチャンネルができたことで、視聴者が、チャンネルを選びやすくなった」
というのも、
「地元球団の試合開始前から、試合終了以降のインタビューやイベントまでを放送する」
ということになるのだから、ファンとすれば、
「月額、数百円で見れるのだから、何も、民法を見る必要などない」
ということになった。
だから、今の民放は、ほとんどの時間が、情報番組か、バラエティであり、しかも、その情報番組でさえも、
「芸人ばかりが出ている」
ということになるのであった。
バブルが崩壊した時、問題になったのが、一番大きかったのは、会社で、
「事業を拡大すればするほど、儲かった」
ということであった、
だから、サラリーマンは、馬車馬のように働いた。
「24時間戦えますか?」
という宣伝文句の中で、
「企業戦士」
などという言葉が流行り、スタミナドリンクもたくさん種類が発売され、どんどん売れたものだった。
その頃になると、残業が当たり前のようになり、
「お父さんが帰ってくるまで、食事をしない」
などという風習は、
「まるで過去の遺物」
とでも言われるようになったといってもいいだろう。
ただ、
「仕事をすればするほど、お金になった」
というのも事実で、
「残業手当は、ちゃんと出た」
という時代で、
「本当はそれが当たり前」
ということであるが、その後の、
「失われた30年」
では、残業しても、ほとんど手当は出ないという時代になった。
それこそ、
「残業しないとこなせない」
というレッテルを貼られるからである。
バブルが弾けると、それまでの社会が一変した。
何といっても、
「銀行は潰れない」
という神話があったにも関わらず、バブル崩壊によって最初に破綻したのが銀行だった。
当たり前のことであり、何しろ、バブル期は、
「拡大すればするほど儲かる」
といわれていたのだから、
「利子で利益を出している銀行」
というのは、利益を余計に出すために、余計に融資する。
という、
「過剰融資」
というものを行っていた。
バブルが崩壊し、経済の歯車がかみ合わなくなると、
「貸した金が返ってこない」
つまり、
「貸与分が焦げ付いてしまう」
ということで、銀行が破綻するのも当たり前だ。
そうなると、自転車操業をしている企業は、すべてお金が回らなくなり、連鎖倒産が多くなり、仕入も、販売もできず、経済は大混乱である。
零細企業は一気に潰れていき、そのためにどうすればいいかということで、それまでの社会とはまったく一変してしまうということになるのであった。
まず何といっても、
「利益を出せないとなると、損益を減らすしかない」
ということで、
「経費節減」
という問題が大きくなる。
一番の経費節減というと、
「人件費」
ということになる。
そうなると、その時代から言われるようになってきた、
「リストラ」
という言葉である。
これは、
「会社の立て直し」
ということであり、
「クビということではない」
のだが、どうしても、リストラというと、
「クビ」
という問題が大きくなった。
そのために、
「早期退職者募集」
などということで、
「退職金や、失業保険に対して少し優遇する」
ということで、会社は人員カットに走ったりした。
だから、
「なかなか家族には言えずに、毎日家から、会社に行くふりをして、毎日どこかの公園で時間を潰している」
というそんな光景が多くみられるようになったのだ。
それまでの時代からすれば、考えられない社会であった。
こうなると、
「家庭において、父親の威厳どころではない」
そのうちに、会社をクビになったことがバレて、今度は、職がない状態になると、会社も首を斬りすぎて、仕事が回らない状態になると、今度は世の中が、
「派遣社員」
などのような、
「非正規雇用」
という対策を取るようになってきた。
そうなると、主婦も、パートなどで働きにいかないと、
「生活が、やっていけない」
ということになるのであった。
それが、バブル崩壊後の社会というものであった。
つまり、
「今までは専業主婦だった奥さんが家にいない」
さらに、
「生活費が父親の稼ぎだけだったものが、母親にも頼ることになる」
ということで、まずは、
「家族団欒」
というものがなくなり、