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時代背景の殺人事件

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 実際に世界情勢が、そうなってきているのだから、しょうがない。
 しかも、日本は、満州事変を、
「自衛のため」
 といっていたが、国際連盟の裁定は、
「自衛のためではなかった」
 ということで、満州国を承認されないという事実から、国際連盟を脱退してしまった。
 それにより、世界から孤立してしまった日本は、全体主義を目指す、ファシズム国家の、ドイツ、イタリアとの同盟に走ったのであった。
 これは、アメリカ、フランス、イギリスと敵対するということになり、そこが、今度は
「資源のない日本」
 にとっては、致命的となり、
「大陸、あるいは、南方に進出する」
 ということしかなくなったのだ。
 しかも、アメリカを中心として列強が、経済制裁をしてきて、それを解く条件として、
「大陸からの撤退」
 をはじめとして、
「明治維新の状態に戻る」
 というもので、到底受け入れられるものではなかった。
 これを受け入れてしまうと、それまでの戦争で死んでいった英霊に済まないという思いや、日本国民全員を裏切ることになるということ、
 何といっても、満州は、食糧問題を抱えていたことを思えば、今度こそ、本当の食糧問題が大きくのしかかり、国家の滅亡を意味するということになるだろう。
 それを思えば、前に進むしかなかったのだ。
 アメリカを中心とした列強も、そんなことは分かっていて、日本に、南方進出をさせておいて、その事実を元に、
「アメリカの世界大戦への参戦」
 というものを実現させようという狙いだったのだ。
 それは成功し、日本は、戦争に引きずり出された。
 本来なら、最初に連戦連勝を勝ち取り、半年ほどで、
「相手に、戦意を喪失させ、いい条件で講和を結ぶ」
 という方向しかなかったはずで、実際に、連戦連勝には成功したが、今度は、マスゴミの煽りであったり、軍部が過信したことからの驕りによって、戦争をやめることができなくなった。
 これが、日本を亡国に導いたのだった。
 戦時体制において、次第に追い詰められていく。制海権も、制空権もない状態で、勝てるわけもない。そうなると、物資や兵の輸送も、相手に待ち伏せされ、すべてを失うということになれば、国内も戦場も物資不足となり、戦争どころではない状態で、最悪の
「玉砕戦法」
 ということになる。
 本土に敵国の支配が近づいてくると、本土空襲に見舞われる。
 毎日のように、大空襲が、日本の都市のいくつかで行われ、最終的に、原爆投下、さらには、講和条約の仲介ということで期待していたソ連が、攻め込んでくるということになり、完全に、戦争完遂が不可能となり、無条件降伏となった。
 つまり、本土は焦土と化し、住宅、食料、すべてがない状態で、占領軍の統治を受けるということになったのだ。
 そうなると、大混乱も当たり前のことだった。
 それでも、日本の運がよかったというべきは、
「朝鮮半島の動乱」
 であった。
 連合国は、日本を民主主義の防波堤にしようと試み、
「非武装、民主化」
 を押し進めてきた。
 しかし、朝鮮半島の動乱が、
「日本の米軍基地からの連合国の参戦」
 ということになり、
「武器弾薬を日本で調達」
 ということになった。
 しかし、日本国憲法によって、参戦することはできない。
 そこで、日本は、武器弾薬だけwp供給するということになり、ここで、
「軍事特需」
 ということになり、経済が一気に回復するという、
「奇跡」
 を起こしたのだ。
 実際に、戦後10年ほどで、
「もはや戦後ではない」
 という復興を遂げ、戦後20年で、
「復興の証」
 として、東京オリンピックが開催され、さらに、戦後25年で、今度は、大阪万博というものが開催されるということで、その頃から、
「高度成長期」
 に日本は入ってきたのだ。
 電化製品なども新しく開発されていき、そこに日本も乗っかったといってもいいだろう。
 それが日本国の復興と、新たな日本が出来上がったのであった。
 ただ、そのために、いろいろな犠牲もあった。
 公害問題であったり、貧富の差の激しさなどが、大きかったであろう。
 それでも、国民の生活水準の発展は目まぐるしいものがあり、戦後30年以上経ったときには、
「世界で一番豊かな国」
 といわれるまでになったのであった。
 ただ、時代は、バブル経済から、さらに、
「バブル崩壊」
 という状態になり、戦後最大の大不況となったのであった。
 その頃から、それまでの戦後を支えてきた日本の特徴も次第に変わっていき、それ以降日本では、
「失われた30年」
 などといわれ、今の時代がひどい状態になってきたということであろう。

                 父親の威厳

 戦後から、バブル経済くらいまでは、まだまだ、大日本帝国時代を引きずっていた時代であった。
 特に、家長制度というのは、確かに、戦後から、バブル経済くらいまではあったかも知れない。
 経済がどん底だった時代は、家族を中心に、生き残っていくというのは、
「生き残りのためには、仕方のないことでもあった」
 といえるだろう。
 それこそ、
「家族が揃って食事をするのは当たり前」
 という時代。
 それができた時代だったのだ。
 戦後の混乱から、所得倍増、さらには、オリンピックなどのための、交通機関や、道路などのインフラの整備。
 それによって、失業問題は解消したといってもいいだろう。
 ただ、その反動もあったのも事実で、社会問題も発生し、結局、
「好景気は、長くは続かないが、全体的には、好景気水準で推移していた」
 といってもいいだろう。
 そんな時代は、それほど残業というものもなく、定時に終わって、父親は帰宅してくるというところが多かった。
 もちろん、会社や業種によっても違うだろうが、経済成長から、給料もどんどん増えていき、ある意味、
「希望の持てる時代だった」
 といってもいいだろう。
「三種の神器」
 などという家電も、その頃には、
「生活必需品」
 ということになり、
「テレビなどは、一家に一台」
 という時代が迫ってきていたのだ。
 だから、
「家族でテレビを囲んでの団欒」
 ということで、
 夜の7時から、9時くらいまでを、ゴールデンタイムと呼ばれ、視聴率の高い時代であった。
 ただ、家庭によっては、
「食事中は、テレビを見ない」
 という取り決めをしているところが多かったという。
 その理由はハッキリとは分からないが、
「父親の威厳」
 ということで、
「テレビを見ると、食事がおろそかになり、父親が何かを言っても上の空になることを恐れた」
 ということなのかも知れない。
 だから、食事が終わり、そこからテレビの時間になるのだろう。
 とにかく、父親の威厳ということから、
「テレビのチャンネル権は、もちろん父親」
 ということになり、そうなると、当時のゴールデンタイムというと、まずは、
「野球中継」
 ということになるであろう。
 当時は、
「嫌らしいくらいにマスゴミに贔屓される」
 という球団があり、まるで、
「そこ以外の球団は、誰もほとんど、存在くらいしか知らない」
 といわれるほどで、特に当時は、
作品名:時代背景の殺人事件 作家名:森本晃次