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時代背景の殺人事件

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 これは、数年前からの、
「バブルの崩壊」
 というものが影響していて、
「その日の暮らしもままならない」
 という人が行っているとも言われている。
 中には、
「とりあえず、衣食住には困らない」
 ということで、
「後先考えずに」
 という人が多いという。
 まるで、昭和初期の、
「世界恐慌のようではないか?」
 と、中学生の康人は考える。
 あの当時は、
「田舎の農村部では、娘を売らないと、生計が立てられない」
 というほどの貧しさだったという。
 実際に、
「仲介業者の張り紙が、街のあちこちに貼られていた」
 という話も聞いたことがある。
 そこまでひどい状態であったというのは、同じ、
「経済の崩壊」
 ということでは変わりないだろう。
 さすがに今の時代に、
「人身売買などできるわけはない」
 ということであるが、
「だったら、空き巣くらいいいじゃないか」
 ということになるのだろう。
 家があっても、ギリギリで暮らしている人はたくさんいるのだ。それを思えば、
「空き巣というのは、罪は軽いかも知れないが、卑劣であることに変わりはない」
 といえるであろう。
 だから、警察も、
「防犯」
 ということを呼び掛けていた。
 しかし、これは、全国に広がったわけではなく、一部の地方にだけ、空き巣というものが広がっていた。
「犯罪を煽ることになる」
 ということで、警察も政府も、他の地域で、
「空き巣が流行っているところがある」
 などといってしまうと、他の地域でも空き巣が流行るようになり、警察では手に負えなくなってしまうということになるだろう。
 それを考えると、
「煽らないように、局地的な話」
 ということで片付けるようにしようと思うのであった。
 それを考える警察や政府であったが、今回の捜査に来た刑事たちも、
「空き巣の仕業か?」
 ということを考えていた。
 今のところ、
「空き巣の被害は大きいが、殺人まではそんなになかった」
 といえるだろう。
「まったくなかった」
 とは言えないが、目立つことはなかった。
 それは、警察の隠蔽があったのか、それとも、犯人が、他にも別の動機があったことで、「そのついでに、強盗を」
 と考えたのかも知れない。
 それを思えば、
「警察は、この状態をいつまで放っておくのか?」
 ということを、最近では、マスゴミに感づかれているところもあったりする。
 それを思えば、
「そろそろ警察としても隠し切れない」
 ということで、
「検挙のスピードを上げる」
 ということが至上命令となっていた。
 そうしないと、
「世間は黙っていない」
 ということになる。
 そして、警察の権威は失墜し。
「無政府状態になってしまうかも知れない」
 ということになる。
「警察というのは、権威があっての警察であり、ここは、今までの、家庭における、父親の威厳というものとは、一線を画したものだ」
 といってもいいだろう。
 それだけ警察には本当の権力があり、家庭の中での、父親による、
「虚空の権威」
 とはまったく違うものである。
「警察の権威は、国家権力をバックに敷いている」
 ということであった。
 やってきた刑事は、
「下瀬刑事と、八木刑事」
 であった。
(死体損壊と、犯罪の損壊事件参照)
 先輩の八木刑事が、若手の下瀬刑事を教育しながら、二人のコンビは、実際に、捜査において、多くの手柄を立てているのであった。
 今回の事件でも、二人のコンビが出てきたことで、他の警官、さらには、鑑識の間でも、その士気が高まるということであった。
 二人は、この事件に関して、最初は誰もが考えるように、
「空き巣による犯行」
 ということを考えたが、死体の第一発見者である息子の話を聞いていると、
「それは間違いではないか?」
 と思えるようになっていた。
 なぜなら、
「玄関のカギはかかっていた」
 ということで、さらに、空き巣に遭っている様子も見受けられなかったからだ。
 もし、ふいに犯行が見つかって、慌てて殺害してしまったのであれば、犯人は、ナイフで刺し殺しているのだから、少なくとも返り血は浴びているはずである。
 本来なら、
「証拠隠滅を図りたい」
 と思うのだろうが、それよりも、まずは、
「できるだけ早く、見つからないように、この場から離れる」
 ということを優先したいだろう。
 指紋に関しては、手袋をしているので、他についている心配はない。だとすると、、他に証拠隠滅を図るということで思いつくことはないだろう。
 人間の心理として、やはり、その場から、
「一刻も早く立ち去りたい」
 と思うのは必至である。
 荒らされていないところを見ると、空き巣による犯行であれば、
「犯行前に見つかった」
 ということか?
 だとすれば、二人の間に何らかの会話があったとみてもいいだろう。
 そう考えると、いきなり刺し殺すというのは、何かおかしな気がする。確かに、
「顔を見られて、衝動的に殺した」
 ということであれば、分からなくもない。
 ただ、そうなろと、相手が空き巣であれば、まわりに知らせたいということもあって、きっと、大声で叫んだに違いない。
 刑事は、第一発見者の長男に、
「お父さんの声は大きいですか?」
 という質問をしたのは、それでまわりの家から誰も出てこなかったのか?
 ということが気になったからだった。
 実際に、誰も出てきているわけではなく、長男が発見するまで、マンションは、普段の静寂の中にあったといってもいい、
 しかも、争った跡も、そんなに見受けられない。少なくとも、見ず知らずの相手が家に侵入してきたとすれば、この状況は不自然だということになるのだろう。
 それを考えると、下瀬刑事は、
「何かがおかしい」
 と感じたのだ。
「やはりここは、争った跡がない」
 ということから、
「犯人は顔見知りの犯行ではないか?」
 と感じるのは、普通なのだろうと思うのであった。
「それよりも何よりも、返り血を浴びたかも知れないと思う相手だったので、窓も閉まっていたということから、出ていったとすれば、玄関しかないわけで、そうなると、そこに血痕がまったく落ちていないというのはおかしなことだ」
 と思えたからだった。
 これは、八木刑事にも感じたことで、この時点で、二人とも、
「空き巣による犯行」
 という可能性は低いのではないか?
 と思えたのであった。
「第一発見者を疑え」
 というのは、
「捜査の鉄則だ」
 というのを、探偵小説で読んだことがあったし、テレビドラマでもよくあることであった。
 特に、当時の刑事ドラマというと、
「ヒューマンタッチの話というのが多く、その分、家族による犯行」
 というものも多かった。
 そこで、
「お涙頂戴」
 のような話だったり、一人の刑事の人情的な話が多いので、どうしても、
「家族による犯罪が多くなってくる」
 ということであろう。
 それが、昭和という時代であり、それ以前には、
「スポーツ根性もの」
 というドラマが流行ったりした。
 だから、家族の犯罪というのを、それほど疑わなかったし、逆にいえば、
「威厳」
 というものも、裏を返せば、
作品名:時代背景の殺人事件 作家名:森本晃次