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二重人格国家

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 という意味で、この大学は、就活となると、
「他の大学よりも、就職率がいい」
 といわれている。
 それは、
「体育会系の部員であっても、成績はそれなりにいいのである」
 ということで、企業が求める人間に、合致しているといってもいいだろう。
 そもそも、全国でも有名な部に所属していて、スポーツで優秀な成績を収めていれば、その学生は、そっちの道を選ぶことだろう。
 しかし、部活でもしっかりやっていて、学校の成績もいいとなると、それこそ、
「最近はやりの二刀流」
 ということで、好かれる対象ということになるのだろう。
 もちろb、企業の中には、
「なんでも平均的にこなすという人よりも、他は平均以下でもいいから、一つのことに突出していて、それをわが社でいかんなく発揮できるというような学生を求めている」
 とうそぶく、人事担当者というのもいるということになるのであろう。
 それを考えると、
「企業の体質によって、さまざまではあるが、とにかく、K大学出身者というのは、比較的、求職する側の企業からすれば、欲しい学生だ」
 といってもいいだろう。
 就職活動というと、なかなか内定がもらえない中で、
「K大学は、今も昔も人気がある」
 ということになるのだ。
 だから、K大学を目指す高校生の中には、
「就職の時、ありがたい」
 ということで、K大学を目指す人も少なくはない。
 確かに、
「大学で何を学ぶか?」
 ということが一番の優先順位なのだろうが、その学ぶこととして、
「社会に出て役立つこと」
 ということが目的だと考えれば、それも決して間違いではない。
 大学を卒業してからも、永遠に学ぶことができる」
 という意味で、
「人生終生勉強だ」
 という言葉もあるくらいなので、大学時代から、ずっと、そのことをモットーとして考えている人というのは、ある意味、
「尊い」
 といっても過言ではないだろう。
 大学には、それぞれの、
「顔」
 というモットーのようなものがあり、K大学も、
「生涯学習」
 という観点があるようで、大学生以外にも、
「開かれた教育」
 ということで、時々、
「公開学習教室」
 ということで、一般人に、夜間講座を、催していた李する。
 社会人が、仕事が終わってやってきて、勉強をしながら、そこで仲間を作っていく。
 これも、一種の、
「サブカルチャーとしての活動」
 ということで、結構、話を聞きつけて、
「もう一度勉強してみようかな?」
 と、文芸や芸術に関しての講座を希望している人も多いようで、結構前から続いているという。
 中には、
「親子二代で、生涯学習を受けた」
 という人もいるようで、昭和の頃から続いているとすると、
「親子三代というのも、いずれ出てくることでしょうね」
 といわれているのであった。
「それこそ、大学というものの、存在価値が問われている」
 といっても過言ではない。
 特に、今の時代は、年功序列や、終身雇用ではないので、別に会社に忠誠を尽くすなどということもないし、それこそ、
「滑稽なことだ」
 ということになるだろう。
 そんなK大学の、体育会系の合宿所が、大学のキャンバス中心部から、1キロほど離れたところに、あった。
 そこは、テニス部たゴルフ部などの、
「特退部活」
 などのように、単独で施設を持てるだけの予算がないので、それでも、部活推進ということで、他の大学と比較しても、他の大学にはないほどの立派な施設が施された合宿所になっていた。
 絶えず、いろいろなクラブが利用していて、一度に、3つの部活が同時に合宿できるだけの施設が整っていたのである。
 だから、いつも、この施設は満タンで、それでも、3つもあれば、
「待機期間」
 などというものがあるわけではないので、十分に、合宿が充実できるだけの施設だから、それだけ大規模なものだった。
 いつも、にぎわっていて、それだけに、閉鎖的でもなく、中には、他の大学からも、
「モデルとしたい」
 ということでの見学も、オープンにしていた。
 大学運営に連絡すれば、いつでも、見学ができるということで、大学関係者だけではなく、地元ケーブルテレビや、地元の民放局あたりの取材が結構あったりするのも特徴だった。
 確かに、
「大学イメージアップということに関しては、大きな事業の一つだ」
 といえるだろうが、それだけではない。
 実際に、大学創設以来の、
「健全な肉体が健全な精神を作る」
 という教訓もあり、それが、今のこの体制を築いているのだった。
 ただ、最近では、
「ちょっとやりすぎではないか?」
 という人もいるのだが、大学としては、
「そこまでもない」
 と思っていた。
 今のところ、世論もマスゴミも、アンチがいるわけではないので、うまくいっているといってもいいだろう。
 そんな状態で、最近の合宿所も結構多かったりする。
 実際に、少し前までは、就職難ということもあり、さらには、
「世界的なパンデミック」
 ということもあり、今まで、
「自粛」
 ということで、
「大学に入学しても、オンライン授業」
 などという時代だったことで、やっと4年ぶりくらいに、公開での授業であったり、部活ができるようになったということで、
「社会も、昔のように戻りたい」
 ということが当たり前のようになってきた。
 それを思えば、
「K大学のような学校が、注目されるにふさわしい」
 といわれるようになり、大学というもののいいところを宣伝するには、
「K大学がいい」
 ということで、マスゴミが注目していたのだった。
 最初は、
「そんなマスゴミに利用されるというのも」
 ということで、しり込みをしている人もいたが、
「いやいや、せっかく世間が求めているのだから、これがいいきっかけとなって、大学へのイメージがよくなるのはありがたいことです」
 という人もいた。
 ここでいう、
「大学のイメージ」
 というのは、
「K大学だけ」
 ということではなく、
「他の一般的な大学のイメージ回復」
 ということも重要だった。
 実際に、ここ5年間、
「つまりは、パンデミック前から、スポーツ界は、あまりいいイメージがなかったりした」
 といわれる。
 それは、大学スポーツもその例外ではないどころか、最近になって、ある大学が、ひどい状態になり、
「芋ずる式」
 ということで、どんどん膿が出てきているという状態になってきているという体たらくであった。
 全国でも有名な大学である、N大学は、有数のマンモス大学であり、スポーツなどでも、いろいろなジャンルで有名であった。
 特に、アメフト部などは、全国的にも有名で、そこでいきなり発覚したのが、
「コーチなどによる、強制命令」
 という一種の、
「パワハラ事件」
 であった。
 これだけでも、大事件なのに、その後出るわ出るわ。ひどい状態になっていた。
 N大学の問題だけでは、スポーツ界は収まらなかった。
 その少し前くらいは、
「日本の国技」
 といわれる、相撲界においても、
「力士同士のプライベートな飲み会において、暴力事件が発生し、それを他人に押し付ける」
 というような事件が発生した。
 その時は、外部からの、
作品名:二重人格国家 作家名:森本晃次