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二重人格国家

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「第三者委員会」
 というものが発足し、収拾を図ったが、その汚名を挽回するまでにはいくわけもなく、相撲界だけではなく、プロ野球界にまで飛び火した、
「八百長事件」
 というものまであったりした。
 要するに、
「何か一つ事件が起これば、どんどん飛び火する」
 ということになるのである。
 それを考えると、
「スポーツ界というのも、一枚岩ではない割には、悪いところでは一致団結」
 ということもあるということである。
 N大学になると、どんどん出てくる中で、今度は、
「常習的な薬物接種問題」
 というものがあった。
 これはドーピングどころではない。
 法律上の、
「麻薬取締法違反」
 と呼ばれる、違法薬物。
 つまりは、
「麻薬」
 というものの使用だったのだ。
 それをまるで、普通の、
「喫煙感覚」
 で行うのだから、それこそ、ひどいものである。
 ここまでくると、裁判所や、公安から、
「家宅捜索」
 などが行われ、
「常習的に行われていた」
 ということが分かってくると、大学は、その問題で、
「責任者の更迭をはじめとして、社会にどう言い訳をすればいいのか?」
 ということで躍起になっていることだろう。
 そんなスポーツ界であり、特に、
「学生スポーツの王道」
 といわれる、大学スポーツ界に、激震が走った時代だった。
「世界的なパンデミック」
 という、
「未曽有の事態」
 というものが、世の中を震撼させ、世相をまったく違った形に作り変えてくれたのに、
「N大学」
 を中心とした、
「大学スポーツの闇」
 というものは、逢い空らず燻っていたといってもいいだろう。
 そんな大学スポーツにおいて、どうすることもできない波のようなものが押し寄せてきたことで、それまでなんでもなかったりした大学まで白い目で見られるという、一種の、
「暗黒の時代」
 といってもいいだろう。
 そんな大学スポーツにおいて、K大学だけは、どこからも、変な目で見られることはなかった。
 それだけ、
「オープンだった」
 ということが、実に清潔感があり、好意の目で受け入れられるということだったに違いない。
 それを思うと、
「このままだと、ズルズルいってしまう大学スポーツ」
 いや、
「大学そのものの運営:
 というものに、救世主がいるとすれば、それは、
「K大学ではないか?」
 ということで、
「N大学を反面教師とした」
 という形での、逆の成功例ということで、最近脚光を浴びたのだ。
 だから、マスゴミの取材だけではなく、他の大学からも、
「モデルにしたい」
 ということで見学もひっきりなしだということであった。
 さすがに今までは静観していた大学であったが、ここまで、
「世間の手本」
 ということになると、黙ってもいられない。
 そこで、大学側も、表に出る、
「スポークスマン」
 というものを、宣伝部長として育成したり、さらには、彼らのような部署を設置することで、
「世の中に、貢献できている」
 というアピールにもなるというものだ。
 しかも、これは、大学が自ら進んで行ったことだともいえるが、それ以前に、
「世間が望んだことだ」
 といってもいいだろう。
 それを考えれば。
「大学というのは、学生よりであるのは当たり前だが、社会的影響ということを含めると、社会にも、限りなく近い」
 といってもいいだろう。
 だから、
「企業と大学のつながり」
 というのも、今に始まったことではないが、
「大学閥」
 といってもいいくらいに、密接な関係を築いているところもあった。
 だが、学生にとっても、大学にとっても、企業にとっても、
「三種三様」
 ということで、皆が得をするという状態になることで、決して悪いことではないといってもいいだろう。
 そんな時代において、大学のアピールポイントであるものに対しては、
「お金を惜しむ」
 ということをしていては、
「世間から乗り遅れる」
 ということになるであろう。
 体育会系のサークルも、さすがに、テニスやゴルフのように、有名部活でもなければ、さすがに、夜9時を過ぎて、
「夜の自主トレう」
 ということをする学生もいない。
 さすがに、外出は禁止ということになっているので、合宿部屋にて、それぞれ自分の楽しみを謳歌していた。
 昔なら、読書だったり、勉強などということだっただろうが、今は、スマホなどで、ゲームやSNS、さらには、マンガを読んだりと、
「時代が変われば品変わる」
 とばかりに、楽しみ方もいろいろだった。
 だから、合宿所は、練習場から少し離れたところにあるということもあって、日が暮れてしまうと、
「誰も練習場の方に顔を出す人はいない」
 というのが、よく言われることであった。
 それを考えると、
「夜の練習場なんて、怖いだけだ」
 ということで、誰も近づく人はいなかった。
 今回は、他の部活はおらず、サッカー部だけだったので、それこそ、
「日が暮れは、さすがに照明までつけて、ナイターで練習などはしないよな」
 ということであった。
 K大学のサッカー部というと、それほど強いわけではない、確かに、地域でのリーグ戦には、名前を連ねているが、8大学が所属するリーグで、それも、レベルからいけば、レベルが5つあるとすれば、3部くらいなので、
「もし、リーグ制覇できたとしても、全国大会に出れるレベルではない」
 というものである。
 サッカーは、30年くらい前から、
「Jリーグ」
 というものができたことで、サッカー熱が国内でも加熱することになり、一時期は、
「サッカーブーム」
 というのが沸き起こった。
 そこで、K大学も入部希望者が多かったが、ブームが去ると、それこそ、
「にわかファン」
 というものが出現したかのように、結局、誰もサッカーに関心をもたなくなると、入部希望者も、ほとんどいなくなった。
 中には、
「女の子がキャーキャー言ってくれる」
 などという不謹慎な理由での入部者も多かっただろう。
 しかし、実際にやってみると、いくら弱小といわれるチームとは言え、甘く考えている人に簡単にできるものではなく、どんどん退部者も増えていく。
 このサークルは、
「辞めたい人はどんどん辞めてもいい」
 というくらいに思っていた。
「どうせ、にわかなんだろうから、断捨離になっていい」
 というくらいに思っていた。
 そもそも、ブームというのは、しょせんブームでしかないのだから、それも当たり前のことであり、結局、
「腐ったミカンの方程式」
 のようなもので、
「怠ける体質が蔓延しないようにするには、その元を絶たなければいけない」
 ということになる。
「世界的なパンデミック」
 というものが巻き起こった今の時代だから、余計に、
「水際対策が必要なように、最初の感染をいかに抑えるか?」
 ということが問題なのである。
 それを思えば、
「弱小チームであっても、それなりに体育会としての信念を持っているのだから、楽しんでやればいい」
 と考えられる。
 その日も、皆夕方には、練習を終えて、道具の片付けも終わり、グランド整備が終わると、午後六時過ぎくらいになっていた。
作品名:二重人格国家 作家名:森本晃次