悠々日和キャンピングカーの旅:⑫信州・富山の旅
加えて、車中泊する道の駅のトイレは、温水洗浄便座があることが望ましい。そうではないトイレの道の駅もまだまだ存在しているが、そこは、車中泊場所から除外したくなるものだ。
この道の駅の駅舎の横には、チャームポイントとしての「御嶽山が見える展望台テラス」があり、手前の左右の山の間から御岳山が見えるとのことだが、残念ながら今日は、雲が掛かっていて、その一部しか見えなかった。
その後は、ショップ内の商品を見て回ったところ、多くの地酒があり、美味しそうな地のモノも多く、もちろん土産物もなかなかの品揃えだった。
道の駅のレストランのメニューを見たところ、やはりそばが多く、ここは信州だと再認識させられた。
この道の駅の色々な場所を見て回ったものの、夕食の準備に取り掛かるにはまだ時間が早く、時間をもてあそびそうだったため、もうひとつ先の道の駅に向かうことにした。そこは夕陽に映える木曽駒ヶ岳が見えるとのことで、それに期待して、この道の駅をあとにした。
その先の道の駅「日義(ひよし)木曽駒高原」にはすぐに到着した。
ここの広い駐車場は車中泊に向いているというのが第一印象だった。R9に近い場所は大型車向けの駐車エリアになっていて、その奥が普通車向けで、そこから階段を1mちょっと登った場所に駅舎が建っているレイアウトだ。
間もなく営業が終了するギリギリの時間だったが、急いで駅舎に入ると、気になるモノがあった。それは「すんき」というもので、よく分からないまま、そのフリーズドドライの「すんき汁」をひとつ買ってみた。さて、どんな味がするのだろうか?
駅舎の横には「木曽八景の一 駒岳の夕照」と「中山道 東西中間之地」と刻まれた二つの碑が立つ展望所があり、その端に幾つかのベンチ並んでいた。
そこには、何やらずっとスマホを触っている女性がいて、少し気になった。
私は、ここまでに立ち寄った道の駅で入手したパンフレットを見ながら、明日の走行ルートを考えながら、ふと正面を見上げると、木曽駒ヶ岳には少し雲が掛かってはいたが、夕陽に映えていて、そのいい感じの写真を撮った。
展望所の中央にある水道の蛇口から、水をペットボトルに入れて、クルマまで、何度も往復して、ポリタンに水を注いでいる高齢の男性がいた。
「その水は美味しいのですか」と尋ねると、そうだよと教えてくれた彼は静岡の人で、バンコンで旅をしている年上の男性だった。
この挨拶がきっかけで、「キャンピングカーの旅」の先輩として、経験がまだ浅い同郷の後輩の私に、豊富な旅のエッセンスを教えてくれた。
先ずは、北海道に2ヶ月、九州に1ヶ月と、自己紹介を兼ねながら、旅のベテラン振りの話から始まり、それから30分ほど、色々な話が続いた。
たとえば、彼の旅の目的は良い景色を見ることと美味いモノを食べることだが、出掛ける前に、旅のテーマを決めることが大切、北海道には下北半島の大間から渡るのがベター、東北の日本海側はグルメ街道、同じ道でも行きと帰りでは風景が違う、食事は外食が中心、バンコン(ベース車はハイエースのディーゼル車)の燃費は9km/リットル、道の駅「はくしゅう」の水は旨い、立山の称名滝(しょうみょうだき)は最高、等々。
かなり一方的な話だったが、興味のある内容ばかりで、これからの「キャンピングカーの旅」の参考になった。サンクス。
道の駅のふれあい情報交流館に入り、この周辺の情報を集めた。その後は、車中泊するクルマを見て回ったところ、先ほどのスマホを触っている女性のものは沖縄ナンバーの軽バンだった。もし声を掛けていたならば、私の知らない旅の話を聞くことができたのではないかと少し後悔した。
夕食の準備を始めようとしたが、今日は山間の道を214kmも走ったことで、多少の疲労感があり、準備を始める前に、先ずはコーヒーを淹れて飲み始めた。
一息吐いてからは、準備は簡単に済ませようと、レンチンご飯に、レンジで温めたレトルトカレー、イワシの缶詰、沸かした湯を注ぐだけの「すんき汁」、5分で準備が完了した簡単な夕食になってしまったが、味は美味しく、電子レンジ様様だ。
食べながら、「すんき」をネット検索したところ、長野県木曽地方の伝統的な発酵食品であり、土着品種の赤カブを使用した発酵漬物の一種だった。湯を注いだだけのその「すんき汁」は、私にはまあまあの味だった。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑫信州・富山の旅 作家名:静岡のとみちゃん