悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州・富山の旅
そこはまだ、北アルプスの日本海に落ち込む北端部だが、断崖絶壁の下の部分にできた狭い平地なのだろう。海側に、道の駅「越後市振の関」が見えてきたので、駐車場に入った。
広い駐車場には多くの長距離トラックが停まっており、親不知の難所を走ってきてからの小休止になってしまう場所のようだ。
ざっと見渡した感じでは、道の駅はコンビニとトイレのみのようで、「ジル」から下りずに、マップを広げて、ここから先のコースを検討して出発した。
この日の夜、この道の駅についてネットで調べたところ、駅舎はやはりコンビニだったが、新潟県と富山県の県境近くにあることから、両県の多くの土産物を販売しているほか、食堂もあり、東日本と西日本の両方の味が楽しめるという。
道の駅のあと、ふたつのトンネルを抜けると視界が広がり、長らく見えていた山は次第に後退していき、黒部川が作った扇状地に入った。この扇状地は珍しく海中にまで広がっているという。加えて、名水百選のひとつにも選ばれている「黒部川扇状地湧水群」が点在している。
あらかじめ知っていたら、そのひとつに立ち寄って、「ジル」に積み込んでいる飲み水を補給したのだが、少し残念なことをした。
今日のゴールの道の駅「ウェーブパークなめりかわ」には、R8から海側の県道に入り、海沿いを走ればたどり着くだろうと考えハンドルを切ったものの、少し迷ってしまい、地元の人に訊いたりしながら、やっと道の駅にたどり着いた。
「ジル」にはもちろん、ナビを装着しているが、正しい道を人に訊くという、ひと昔前のようなスタイルになってしまい、情けない気がした。
到着時間が遅かったため、道の駅の駅舎の営業時間は終わっており、併設されたホタルイカミュージアムの営業も終わっていた。
道の駅の裏は海で、日没後だったが、北西の空と雲が赤く染まっており、暫くその情景を眺めていた。この「暫く」が旅らしくて好きな時間だ。
今日はまだ米を食べていなかったので、夕食は少し手を掛けることにした。
エビフライを卵でとじたものを白米の上に乗せて、鮎の甘露煮とすんき汁も準備して、それに「子持ちホタルイカの沖漬け」というぜいたくな内容になった。美味かった。
その日の夜、「ジル」を停めた場所が、明るいオレンジ色の外灯の光が当たっていて、「ジル」がいい感じで浮かび上がっていたので、写真を撮った。
その時、車中泊のクルマが多くなっていることに気付いた。静かな夜でありますようにと思ってバンクベッドに上がってから寝付くまで耳を澄ましていると、意外と響くのはドアの開閉音だった。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州・富山の旅 作家名:静岡のとみちゃん